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報告【第19回中区定期ミニ学習会】

2017年07月21日(金)

前々回の第17回では、ICRP勧告の基となった疫学調査は「広島・長崎 被爆者寿命調(LSS)」であるという事、そしてそのLSSはどのような調査であったかを見て、ICRP勧告の被曝影響評価がいかに過小評価であるか、ということを学びました。更に、そのICRP勧告を基に今現在の日本で放射線防護体制が作られているということ、それがとても過酷な防護体制であるということを再確認しました。

前回の第18回では、そのLSSを根拠にしたICRP勧告が、現在採られている放射線防護体制にどのように反映されているのかを具体的に検証しました。
また、チェルノブイリ前とチェルノブイリ後のICRPがどのように進化(原発推進側から見て)したのか、その進化したICRP勧告が、如何に無批判に、法令さえ蔑ろにし、現在の日本の放射線防護体制に組み込まれているのかを学習しました。


そして、今回の学習会の冒頭ではテーマにもあるように「伊方原発広島裁判と被曝問題」について考察しました。
裁判に住民側が勝利し、司法によって実行力を発揮するのは”伊方原発3号機を止めること”です。
「しかし、裁判も含めたこの運動は伊方原発3号機を止めることだけが目的でしょうか?」と、報告者の哲野さんは参加者へ問います。
参加者の何人かは首を横に振りました。
その場にいた報告者・参加者にとってこの運動は、スローガンにもあるように、もうこれ以上の「被曝を拒否する」事が目的であり、伊方原発3号機を止めることはその内の1つに過ぎないのです。
(異論はなかったので全員がその想いだったと解釈します)
裁判が終わればこの運動も終わるのか、といえばそうではありません。
伊方原発3号機が止まったとしても、私たちの放射能危機は止まりません。
福島第一原発事故によって拡散される放射能、原発が動くことによって放排出される放射能、増え続ける使用済み核燃料、これから始まる廃炉ラッシュによって生み出される放射性廃棄物、などなど、ひとつの原子炉が止まったところでこの様な放射線源による被曝を防ぐ事は叶わないのです。
例え伊方原発3号機が止まったとしても、この放射能危機に迫られる状況は変わりません。
裁判で伊方原発3号機を止めることだけが運動の目的ではない事は明確になったのですが、それ以外の事が裁判の取り組みなど実務的なことに追われ、具体的にはなっていない事が指摘されました。

そしてレジュメの内容に戻っていきます。項目番号17〜22の最後までに当たります。

[17.ヒロシマの立場とLSSの関係]
[18.偽善のヒロシマ]
『偽善のヒロシマ』このフレーズは報告者の哲野さんが2011年、広島で行われた小出裕章さんの講演について記述した中で用いられたフレーズです。
小出さんは講演の中で
「被爆地・広島で核兵器廃絶の活動をする事はありがたく思う。しかし、核と原子力は同じものです。原子力発電廃絶のために使う力はないということであれば、理解できる。しかい、原子力の平和利用ならいいということであれば間違いだと私は思う。」
と語っているのを受け、核兵器の廃絶を訴えながら原子力には目をそらし続けるなら、それは「偽善のヒロシマだ」と云っているように思える。
と表しました。
広島では「原爆に反対」することは大いに推奨されますが、「原発に反対」すること、話題にすることさえ憚れる空気が流れています。
実際に「原爆の話題ならOK、でも原発の話題はNG」とするお達しが下っています。

2013年に伊方原発広島裁判の前身である「広島1万人委員会」として「四国電力伊方原発 3 号機再稼働に反対する広島市議会決議を求める請願」を広島市に出していました。その時、対応してくれたのは《広島市環境局温暖化対策課》でした。
「事故の可能性がゼロでない限り被害を被る可能性があるのなら、広島市は市民を守るために伊方原発再稼働に反対してください」という主旨で請願を出したので、なぜ危機管理課ではないのだろう?と疑問に思いました。
その旨を質問すると、慣例だそうです。
環境省は原発はCO2出さない発電方法なので温暖化対策に貢献していると認定し、原発を推奨しています。故に原発に関する事は環境局が対応する様です。
その縦割り行政に広島市が従うのなら、実質的に広島市は原発を推奨していることになります。また、それは福島第一原発事故がまるでなかったかの様に事故前と変わっていないことになります。

[19.実践的契機となった福井地裁「樋口判決」]
報告者の哲野さんは、伊方原発広島裁判は”福井地裁「樋口判決」”が無ければ踏み切れなかった、と。樋口決定によって実際に効力をし原発を止めたのを見て裁判も有効であるとわかりました。

[20.本訴。仮処分の同時提訴に踏み切る]
「この場にいる参加者ならよく存じていると思いますので、」と割愛

[21.広島地裁仮処分申立却下]
哲野さんは7月12日に行われた第6回口頭弁論定例学習会に触れ、学習会の報告では「決定文が論理矛盾していて支離滅裂なのは、結果を先に決めたからだろう」と結論付けたことに対し、学習会に参加していた当裁判弁護団の甫守弁護士が意見を求められ、「どんな決定でも結論は先に決めるもので、裁判官は『本当にそれで良いのか?』と自問し、真摯に取り組むことで決定文の内容が定まっていく。あの決定文にはその真摯に取り組んだ姿勢が見受けられなかった」という旨の解説をしたことを取り上げ、その通りであり、学習会で弁護士としての意見を聞けた事は有意義だったと振り返りました。

[22.今後もご支援、ご指導、ご鞭撻を]
「この場にいる参加者ならよく存じていると思いますので、」と割愛

その他、裁判に関連することがたくさん話し合われましたが、お伝えし切れませんので割愛させて頂きます。

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◯次回告知◯

※隔週で定期的に開催してきましたが、
翌々週にあたる8月3日は夏休みとなります。

第17回配布レジュメ「伊方原発広島裁判と被曝問題」

第17回配布参考資料「LSSの信頼性に関する疑問点一覧」

第17回配布参考資料「瀬木比呂志 意見書骨子」

第17回配布参考資料「原爆被爆者寿命調査(LSS)の概要」

第17回配布参考資料「ABCC−放射線影響研究所の生い立ちと役割」

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過去の学習会レジュメ・資料は伊方原発運転差止広島裁判のウェブサイトの"参考資料"でご覧いただけます。

第19回中区定期ミニ学習会

2017年07月20日(木)

時間19:00〜約2時間
場所:合人社ウェンディひと・まちプラザ(市民交流プラザ)
南棟 3階 会議室B

テーマ「伊方原発運転差止広島裁判と被曝問題」
(17・18回から引き続き)

*事前申し込み不要
*参加費・資料代無料

どなたでもご参加いただけます。
第18回中区定期ミニ学習会

2017年07月06日(木)

時間:19:00〜21:00
場所:まちづくり市民交流プラザ 南棟4階 会議室C

※事前申込不要 ※参加費・資料代無料
どなたでもご参加いただけます。
どうかふるってご参加頂くようお願いいたします。

第17回広島市定期ミニ学習会
日時:2017年5月11日19:00~21:00
場所:まちづくり市民交流プラザ 会議室B

*予約不要
*参加費・資料代無料
どなたでもご参加いただけます。

第17回から引き続き同じテーマで報告いたします。

第17回配布レジュメ「伊方原発広島裁判と被曝問題」

第17回配布参考資料「LSSの信頼性に関する疑問点一覧」

第17回配布参考資料「瀬木比呂志 意見書骨子」

第17回配布参考資料「原爆被爆者寿命調査(LSS)の概要」

第17回配布参考資料「ABCC−放射線影響研究所の生い立ちと役割」


《報告》

前回の第17回では、ICRP勧告の基となった疫学調査は「広島・長崎 被爆者寿命調(LSS)」であるという事、そしてそのLSSはどのような調査であったかを見て、
ICRP勧告の被曝影響評価がいかに過小評価であるか、ということを学びました。
更に、そのICRP勧告を基に今現在の日本で放射線防護体制が作られているということ、それがとても過酷な防護体制であるということを再確認しました。

[11.福島県民健康調査][12.ICRPリスクモデルとその勧告]
本日の第18回では、ICRP2007年勧告が福島県民健康調査でも「100mSv以下の被ばくでは健康の影響はない」「被ばく影響による疾病はガンと白血病のみである」「被ばくによる症状が現れるのは5年後である」という説の根拠に用いられ、福島第一原発事故に起きた健康被害が、福島第一原発事故による影響であることを否定する材料としてフル活用されました。
もちろん、これらの説が必ずしもそうではないこと、LSSから導き出される結論ではない事は前回学習したとおりです。

ICRP勧告はチェルノブイリ事故を受け、2007年の勧告では更にパワーアップしました(原子力推進勢力にとって)。今までの放射線防護体制のままでは、安全コストや事故時の損失・補償の為に原発コストは禁止的に高価になるためです。

[13.ICRPの放射線防護の3原則]
2007年勧告で「放射線防護の3原則」を掲げ、放射線被ばくによる害よりも核施設など運転することで得られる便益を優先すべきであると言い切っています。

[14.3つの被曝状況][14.「3つの状況」最初の適応例が福島原発事故]
これまでの勧告では公衆の被曝限度は年間1mSvとしてきましたが、2007年勧告で初めて「3つの被ばく状況」を設定しました。

「緊急被曝状況」原発の過酷事故などで施設の敷地外へ大量に放射性物質が放出された時です。20〜100mSv。
フクシマでいうと事故直後から数ヶ月後までです。

[現存被曝状況]事故などによる放射性物質の大量放出期が終わったけれど年間1mSv以下までには下がらない状況です。1〜20mSv。
フクシマでいうと年間被曝線量20mSv以下になったとして、避難解除された区域内の状況です。

[計画被曝状況]原発など核施設の運用に伴う被曝状況です。1mSv以下。広島に住む私たちのいる状況です。

現在、日本国内で現存被曝状況の区域と計画被曝状況の区域が存在するはずですが、明確に区別はされておりません。避難困難区域が解除された報道が流れても、この「3つの被曝状況」については触れられていません。

[15.法令上は現在も1mSvが上限値]
日本では3・11が起きるまで原発は事故を起こさないという安全神話にどっぷりとつかっておりました。なので、事故が起きたらこうしよう、という決まりはなかったのです。現行の放射線防護体制は法令にはなっておらず、事故が起きてからICRP勧告を取り入れて作ったものです。法令上は、今も年間1mSvが上限値です。
では20mSvがまかり通っているのはなぜかというと、
福島第一原発事故が起き、原子力災害特別措置法によって原子力災害対策本部長に就任した内閣総理大臣による指示であるから、ということだけです。
緊急事態とは言え、法令違反が今もなお続いていることになります。後追いでもその放射線審議会で審議するべきです。
(その指示文書は見当たらず、当時の大統領・菅直人が指示したという事実も確認されていません)

[16.100mSvを上限とする根拠]
2007年勧告前までは公衆の年間被曝線量は1mSvを限度としてきましたが、2007年勧告では、いかなる状況であれ限度を100mSvまで引き上げたのです。その100mSvの根拠はなにかというと、やはりICRPの拠り所とするのはLSSのみなのです。
そして「被曝量と被曝影響の度合いは比例する」というLNT仮説を立てながらも、100mSv以下の影響を調べるのは適切ではない、として調べる事はせず、ないものとしています。

他にも学術的知見は膨大にあるのに広島・長崎原爆で行われた調査が、今もなお
原子力推進のために使われている状況です。

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今回はレジュメの「16.100mSvを上限とする根拠」まで進みました。
次回は引き続き同じテーマで、より詳細に解説していく予定です。

過去の学習会レジュメ・資料は伊方原発運転差止広島裁判のウェブサイトの"参考資料"でご覧いただけます。

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