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報告【第23回中区定期ミニ学習会】

2017年09月30日(土)

9月28日(木)に開催した【第23回中区定期ミニ学習会】の報告です。
ご参加くださいました皆様、誠にありがとうございました。お疲れ様でした。
伊方原発広島裁判応援団事務所にて約2時間の開催でした。

テーマ
「ABCC・放影研の歴史的役割その3
―T65Dの根本的見直しを迫るマンキューソのハンフォード研究
ー原爆被爆者データの非科学性をはしなくも曝露―」


▽第23回配布レジュメ



前回のミニ学習会では、
ICHIBANプロジェクトによって作成された線量推計体系『T65D』が
1人の研究者の些細なミスによって修正を迫られる事態となった、
これは公式見解ですが、
大きなプロジェクトでそんな些細なミスが起きるはずもなく、
実際は他に理由があったのです…、というところで終わりました。

早速その”理由”に迫っていきます。
それはアメリカ原子力委員会やICRPも無視することができない事態が起きてしまったからです。

アメリカ・ワシントン州に兵器級プルトニウムを製造するハンフォード工場がありました。
そこで働いていた労働者に起きた放射線障害と、被った放射線被曝の関係をみると、
『T65D』と辻褄が合わなくなってしまったからです。
つまり『T65D』で想定している被曝線量よりもはるかに低い線量でさまざまな健康被害が発生していることが明らかになったのです。

当時アメリカでは核実験、原発の操業によって各地で放射線障害が起こりました。
放射線防護の指針となるICRPの放射線リスクモデルに対し、批判が高まります。
アメリカ原子力委員会(AEC)はそれに対抗し、
「許容線量以下の被曝では健康被害が発生しない」ことを
科学的に証明する必要があると考えました。
そこで目をつけたのがハンフォード工場だったのです。
労働者はフィルムバッヂをつけており、それによって被曝線量の推計ができました。
少なくとも原爆被爆者の被曝線量推計よりも正確です。

その研究を依頼されたのがトーマス・マンキューソです。
そして、研究を進めることで先述したように、
アメリカ原子力委員会の意図とは反した結果が現れてくるのです。

マンキューソは疫学者で公衆衛生の専門家です。
ハンフォード工場の研究は大掛かりで本格的なものでした。
その研究が進行している時期に、ハンフォード工場があるワシントン州でとんでもない研究があらわれます。

ワシントン州政府の健康・社会サービス局の医師サムエル・ミラムの研究によって、
ハンフォード工場で働いたことのある労働者の死亡率が、そうでない労働者よりも25%も高かったことが明らかになります。
この研究はアメリカ原子力委員会や、ICRP放射線リスクモデルに疑念を持つ人々の意図とは全く関係なく、あくまで公衆衛生を司る科学者の立場から行われたものでした。

ミラムはアメリカ原子力委員会にこの研究を報告します。
もちろんアメリカ原子力委員会はその情報が漏れないようにミラムに働きかけます。
ミラムは説得され、
マンキューソの研究が進行中であること、労働者の間で急速に心配が広がることを懸念して
研究の公表をしないことに決めました。

このように核施設と放射線障害の関係が明らかになっていく現状に、
焦ったアメリカ原子力委員会は早急にハンフォード工場研究を公表するよう
マンキューソに依頼します。
”許容範囲内であれば放射線障害は起きない”という科学的根拠としての研究結果を
欲していました。
しかしマンキューソは研究がまだ途中であったため、それを拒みます。
アメリカ原子力委員会は意向に沿わないマンキューソのとの契約を打ち切りました。

マンキューソは資金源を断たれてしまいますが、研究を継続しました。
そしてイギリスのアリス・スチュアートのチームと協力し、
のちに研究の結果を公表するまでに至ります。

次に”ハンフォード工場のデータの意味について”へと続いていきます。

今回のレジュメ、◆契約を打ち切られるマンキューソ、10頁の半ばまで進みました。

このテーマは次回に続きます。
ミニ学習会の内容をかいつまんで報告させて頂きました。
詳細はレジュメをご覧ください。


《やや脱線話 》***********************

*映画【シルクウッド】
実際に起こったカレン・シルクウッド事件を元に制作された映画です。
[核関連企業のカー・マギー社の核燃料製造プラントで行われていた、安全規則違反と不正行為を巡るスキャンダルの中、内部告発をしようとしたカレン・シルクウッドが28歳で謎の死を遂げた有名な事件です。]

[第128回広島2人デモ・「その後反核の闘士に変貌を遂げるカール・モーガン」]
より引用
(ミラムが配慮をして研究の公表をしなかったエピソードを受け、その場の参加者から
その配慮よりも研究はもっと重要な事で、迅速に公表すべきで当然のことではないか、
という旨の意見を受け、内部告発しようとした人も居た、という一例として、カレン・シルクウッドの話題になりました。)

*各国で起きた少数派への抑圧の歴史と原発立地地区
【フランスにおける言語分布と言語分布】をみると、少数派民族の言語が使われている地区に原発が多く立地されていることがわかります。

[哲野イサク地方見聞録・雑観広島2人デモその④
大飯原発再稼働、政府・関電のウソと朝日新聞の拡声器ぶり
「原発がないのは誇るべき現実」という思想]
参照
(アメリカの核実験が行われた地域周辺や原発が建設された地域は、経済的に都市部より遅れている地域です。アメリカで行われた事はそのまま日本に持ち込まれているようだ、という感想に対して、どの国も同じ背景がある、という1例として話題になりました。日本は二番煎じどころではない、ようです。)

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過去の学習会レジュメ・資料は伊方原発運転差止広島裁判のウェブサイトの"参考資料"でご覧いただけます。


◯次回告知◯

※次回開催はいつも利用しているひと・まちプラザが催事で利用できない為、
変則的ですが、10月前半2週をとばして後半2週を連続開催いたします。
10月の開催は19日と26日となります。ご了承ください。

次回【第24回中区定期ミニ学習会】
日時:2017年10月19日(木)19:00〜約2時間
場所:ウェンディひと・まちプラザ 北棟 研修室〈A〉
テーマ
「ABCC・放影研の歴史的役割その3
―T65Dの根本的見直しを迫るマンキューソのハンフォード研究ー
原爆被爆者データの非科学性をはしなくも曝露」
(続き)

※事前申込不要 ※参加費・資料代無料
どなたでもご参加いただけます。
どうかふるってご参加頂くようお願いいたします。


報告者:哲野イサク(伊方原発広島裁判原告、Webジャーナリスト)
世話係進行係:重広麻緒(伊方原発広島裁判原告)
問い合わせ先:ミニ学習会係 mini-kkr@hiroshima-net.org
【第23回中区定期ミニ学習会】

2017年09月28日(木)

日時:2017年9月28日(木)19:00〜約2時間
場所:伊方原発広島裁判応援団事務所
〒733-0012 広島市西区中広町2丁目21-22-203

googleマップ


テーマは「ABCC・放影研の歴史的役割
―放射能安全神話と原発など核施設―」の続きとなります。
報告【第22回中区定期ミニ学習会】

2017年09月17日(日)

9月14日(木)に開催した【第22回中区定期ミニ学習会】の報告です。
ご参加くださいました皆様、誠にありがとうございました。お疲れ様でした。
ウェンディひと・まちプラ

テーマ
「ABCC・放影研の歴史的役割
―放射能安全神話と原発など核施設―
その2 ーICHBANプロジェクトとは一体何だったのか?
原爆被爆者の被曝線量推定根拠のいい加減さー」


▷第22回配布レジュメ


《ICHIBANNプロジェクト》
前回の第21回ではABCCの設立の主旨、目的について学習しました。
ABCCは原爆の影響を調べ、原子力の産業利用に向けた労働者の被曝線量上限の設定と
予期される核戦争に備え兵士や市民の放射線防護に役立てる為に設立されました。
原爆の影響を知るには、原爆被爆者がどれだけの放射線を浴びたのか、
そしてそれによってどんな症状が現れたのかを調べる必要があります。
原爆被爆者がどれほどの放射線を浴びたのか、をどうやって調べたのでしょうか?
原爆被爆者が線量計を持っていたわけがありません。
ですから原爆被爆者が浴びた放射線量は推定するしかありません。
推定するためには線量推計体系が必要です。
そのためにアメリカ原子力委員会(AEC)が行った実験が「ICHIBANプロジェクト」です。
ICHIBANプロジェクトにより線量推計体系(Dosimetory System=DS)は作成されました。
その線量推計体系はLSS(広島・長崎原爆被曝者寿命調査)研究に用いられます。
線量推計体系の成り立ちを知ることはLSSの信頼性を評価する上で重要な事です。

《BREN(ブレン)作戦》
「ichiban 研究」は、当時AECが行っていた「民間影響実験作戦」(Civil Effects Operation=CEX)の中の「ブレン作戦」の一部分を指す用語です。
ブレンとは
BREN=Bare(裸) Reactor(原子炉) Effects(影響),Nevada
=”ネバダの裸の原子炉”という意味になります。
その名の通り、ネバダ砂漠に鉄塔を立て、そのてっぺんにむき出しの高速炉を設置し核分裂をさせ、地上、空中、屋内、地表、地中で放射線を計測しました。
その鉄塔は「ブレン・タワー」と呼ばれました。

《ネバダ砂漠での核実験》
国内にあるネバダ砂漠での実験が行われましたのは、大気中核実験はコストがかかりすぎたためです。
国内で核実験を行えば国民へ影響が及ぶ危険がありますが、アメリカは核戦争政策を国民に認めさせるため
「微量の放射線被曝であれば何らの被害もなく、核戦争に勝利することができる」
と宣伝し、核兵器や原子力の必要性とそれによる利益を強調しました。
公衆の被曝線量の設定はそれ自体が放射線被曝の危険性を知らしめるものになります。
ですから、当時のアメリカ原子力委員会はその導入をなんとしても阻止しなければないと考えていました。
それはまさしく「放射能安全神話」の布教です。
まるで福島原発事故後の日本国内で起こったことです。

《2011年晩秋の「オークリッジレポート事件」》
アメリカ原子力委員会は1972年12月にオークリッジ国立研究所へ「放射線降雨(いわゆる「黒い雨」に被曝した原爆生存者の考察と類似集団との比較」という研究論文を提出していました。そして、その直接執筆者はアメリカ原子力委員会へ出向していた、当時のABCC広島の調査課長だった山田広明氏でした。
この研究論文の要約には
「放射線降雨に遭遇した生存者の人体組織の上皮凸面部に全くベータ熱線傷が見られなかったのは、放射線降雨よる有意な放射線被曝はなかったと考えられてきた。しかし、ABCCが収集した証拠はそれと逆のことを示唆する傾向がある。この論文は軽い被曝の集団に関して、これまでに反して放射線降雨の影響を詳細に分析すべきか、それに及ばないのかの結論を確立することを企図した一つの試みである」という旨が記されています。
この論文はインターネット上に掲載されていましたが、誰も気づかず、
最初に指摘したのは長崎県保険医協会副会長(当時)の本田孝也氏でした。
2011年11月の事です。
それによって、広島・長崎の放射線損傷は外部被曝よるものだけだった、としてきたアメリカ原子力委員会の内部からそれを見直そうという動きがあったのではないか?そしてその動きは結局潰されたのではないか、という推測が生まれました。

《線量推計体系も信頼できなかった》
後になって、ICHIBANプロジェクトに関わったカール・ジーグラー・モーガンは
「同僚の1人が放射線量を評価する際、広島・長崎の8月の湿度を計算に入れる事を忘れていた。中性子は水によって阻止される。だから空気中に水分を多く含んでいれば中性子線量は減る(減衰する)。」と説明しています。
例えば、白血病にかかり死亡した人がいたとします。その人の被曝線量はその線量推計体系によると中性子線は10ミリシーベルトと推定されていました。
が、湿度を考慮し中性子線が10分の1に減衰するとしたら、
1ミリシーベルトと推定される、ということになります。
つまり、湿度を考慮すれば、より少ない中性子線量で被曝影響があらわれるという事です。
広島・長崎の原爆生存者の研究は「電離放射線リスクモデルの土台中の土台」です。線量推計体系に誤りがあるのだとしたら、電離放射線リスクモデルの理論が大きく覆ることになります。モーガンはたった1人の研究者の誤りでそれが発生したというのです。

実際には、1人の研究者の些細なミスで線量推計体系に致命的なエラーが発生したのではありません。もっと大がかりな政治的配慮が働いて線量推計体系の全面的修正を迫られたのです。
それは次回に続きます。

このテーマは次回に続きます。
ミニ学習会の内容をかいつまんで報告させて頂きました。
詳細はレジュメをご覧ください。

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過去の学習会レジュメ・資料は伊方原発運転差止広島裁判のウェブサイトの"参考資料"でご覧いただけます。


◯次回告知◯

※次回の会場は変則ですが当裁判応援団事務所にて開催いたします。

次回【第23回中区定期ミニ学習会】
日時:2017年9月28日(木)19:00〜約2時間
場所:伊方原発広島裁判応援団事務所
〒733-0012 広島市西区中広町2丁目21-22-203

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※事前申込不要 ※参加費・資料代無料
どなたでもご参加いただけます。
どうかふるってご参加頂くようお願いいたします。


報告者:哲野イサク(伊方原発広島裁判原告、Webジャーナリスト)
世話係進行係:重広麻緒(伊方原発広島裁判原告)
問い合わせ先:ミニ学習会係 mini-kkr@hiroshima-net.org

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