被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
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「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴します

(▼以下の内容は広島1万人委員会第74回チラシを転載しています。)

2011年ウクライナ政府報告「チェルノブイリ事故後25年」


 (なお以下の記述は2014年4月25日第97回広島2人デモチラシの抜粋に若干の修正を加えたものです)
 2011年にウクライナ政府緊急事態省が公表した「チェルノブイリ事故後25年:未来へ向けての安全」報告書はフクシマ事故直後の2011年4月にウクライナの首都キエフで開かれた同名の国際会議で発表されたものであり、この国際会議はウクライナ政府、ベラルーシ政府、ロシア連邦政府、欧州委員会(EC)欧州評議会(Council of Europe)、 放射線防護核安全研究所(フランス)、技術及び核安全協会(ドイツ)の共催で開かれ、さらにIAEA、国連開発計画(UNDP)、 ユニセフ、世界保健機関(WHO)の4機関が後援しています。

 つまりどちらかといえば、「チェルノブイリ事故は大したことはなかった」という報告を提出しているグループが中心となって開催した国際会議で公表した報告であり、IAEAもWHOも国連科学委員会もこの報告の内容を公認せざるをえず、この報告を頭から否定したり無視したりすることはむつかしいという点が重要です。
 少なくともこの報告の学術的権威、信頼性については認めざるをえないのです。

 またウクライナ緊急事態省は、その学説上の立場は別として、実際にウクライナで何が起きているのかを淡々とまた綿密に報告してくれています。最終評価や結論を私たちに押しつけようとはせずに、チェルノブイリ事故で何が起きているのか、事実を報告してくれている点が貴重です。





最大の違いは中央政府の事故に対する責任のとりかた

 チェルノブイリ事故とフクシマ事故では様々な違いがあるのですが、その中で際立った違いを1点だけ取り上げておきます。
 フクシマとチェルノブイリの違いの中で、最大にしてもっとも象徴的で鋭い違いは、事故に対応する中央政府の姿勢の違いでしょう。

 ウクライナ政府報告は第1章3節「人口集団保護に関する活動」の中で、事故が発生した4月26日の翌日から強制避難を開始し、最終的には5万2000家族以上16万4700人以上を避難させたいきさつを説明した後、次のように述べています。

 「身の回り品を持ち出すことは厳禁だった。大多数の人々は着の身着のまま避難した。(ウクライナ独立前なので旧ソ連政府は)パニック拡大を防ぐため、避難住民に3日で帰還できると伝えた。家畜やペットを持ち出すことも厳禁だった。(後にこれらのほとんどは死に絶えた)避難ルートはあらかじめ線量調査した安全なルートが選択された。にも係わらず、4月26日はもちろん27日になっても人々には現にそこに存在する危険に関してはなんらの警告も受けなかった。放射能汚染による健康影響を軽減するための振る舞い方に関しても何らのアドバイスも受けなかった」(同報告書21頁)

旧ソ連政府もウクライナ政府も事故の責任を取ろうとした

 しかし、旧ソ連政府も1991年に独立したウクライナ政府も自らの責任として、事故の終息と人々の救済の最前線に立ちました。

 「1986年のチェルノブイリ事故の直後ただちに、チェルノブイリ事故で苦しむすべてのカテゴリーの人々に関連した補償政策がウクライナに導入された。補償は現金支払いの形でも、あるいは無料・特別に、あらゆる種類の行政サービスを受けられるという形でも行われた。これは国家予算のコスト増大の原因となった。独立を果たした時、有権者に成り代わって成立した初期の政治機構は、活発にチェルノブイリ事故に起因する諸問題を議論した。その結果、議会は財源の適切な当てもないまま、損害からの回復政策に繰り返し賛同したのである。莫大な負債は完遂されないままだった。そしていわゆる『チェルノブイリの支払い』(“Chernobyl payments”)は国家予算に重くのしかかったのである」(同報告書24頁から25頁)
 この報告書は、財源の当てもないまま、一種の人気取り政策で『チェルノブイリの支払い』に突き進んだ政府や議会の対応に冷ややかですが(それは当然です)、旧ソ連政府やウクライナ政府がチェルノブイリ事故の被害に直面して、その責任を真正面から取ろうとした事実は動かせません。(その結果、国家予算は破綻状態になり、西側の支援で再建するかロシアの支援で再建するかをめぐって今分裂状態となっているウクライナの政治問題とも密接に関係してくるのですが)また事故を起こしたチェルノブイリ原発の気の遠くなるような廃炉責任もウクライナ政府が引き継ぎ、これも深刻な財政負担となっています。


『チェルノブイリの支払い』の一例

 表11はウクライナ政府の『チェルノブイリの支払い』のほんの一例です。慢性的な放射線被曝環境にある人々には定期的な“転地保養療養”(サナトリウム)が必要です。これはあるグループの人には無償としました。また慢性被曝環境を軽減するにはクリーンフード摂取が欠かせません。これは最寄りの店で手にはいるようにしました。また避難者の人たちにはアパートを建てて無償で入居できるようにし、休職手当ての全額支給や仕事の斡旋なども実施しています。立ち入り禁止区域(30kmゾーン)からの避難者には入れ歯の無償提供などもあります。




 なかでも国家予算に重くのしかかっているのが、医療の無償化・医薬品の無償提供です。

 表12は年々膨らむウクライナ政府の医療負担額です。しかし国庫はカラッポですから、医療負担のための予算額は年々膨らむのですが、実際の支払い額はむしろ減少しています。従って支払い率(表12の折れ線グラフ)は急激に落ち込み2004年には10%近くまで下がっています。




責任を取ろうとしない日本政府

 『チェルノブイリの支払い』のために財政破綻状態となっているウクライナ政府ですが、翻って日本政府はどうでしょうか?事故の責任、補償、フクシマ事故そのものの終息・廃炉作業をすべて今や死人同然の東京電力に押しつけ、全く責任を取ろうとしていない、と少なくとも私には見えます。

 愛媛県の中村時広知事は、伊方原発再稼働同意にあたって苛酷事故発生時、国が全面的に責任をもつことが確認できたことを理由の一つに挙げましたが、表11に見られるような法律上の支援措置まで確認して同意したのでしょうか?フクシマ事故に対する日本政府の責任のとりかたを見ると、今回も口先だけであることは明らかです。





(▼以上の内容は広島1万人委員会第74回チラシを転載しています。)

「伊方原発運転差止を
ヒロシマから提訴」のトピック

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