被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
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「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴します

(▼以下の内容は広島1万人委員会第74回チラシを転載しています。)

伊方原発がフクシマ並の苛酷事故を起こせば100万都市広島は壊滅します


 最初に伊方原発が苛酷事故を起こした場合の事態を想定しましょう。断っておきますが、伊方原発が苛酷事故を起こすという想定は、なにも私たちの妄想の産物ではありません。現在の原子力規制委員会の規制基準を下支えする根幹の想定です。ですからその事態を想定して、特に原発立地自治体に法令(原子力災害対策指針)で30km圏自治体住民に避難と避難訓練が義務づけられているのです。

 まさに「原子力規制委員会の規制基準に適合したからといってその原発が安全だとは申し上げません。原発にリスクゼロはない、のです」と田中俊一規制委員長自らが何度も繰り返すとおりです。

規制庁の放射性物質拡散シミュレーション

 日本の各原発がフクシマ並の苛酷事故を起こしたら(事故によって、福島第一原発からの保有核燃料損傷拡散と同じ割合で各原発から放射性物質が拡散したら)という想定で「放射性物質拡散シミュレーション」が行われ、2012年12月に原子力規制庁から公表されています。図1はその資料を抜粋して作成したものです。100km離れた広島市では、1週間の蓄積被曝線量は4.32mSvの被曝線量となります。福島原発事故での避難基準は20mSv以上ですから、この基準を当てはめれば避難しなくていいということになります。1986年のチェルノブイリ事故では、5mSv以上が避難、1mSvから5mSvが「任意居住保証地域」で、移住を希望する国民には国家がすべての費用をもつ、というものでした。チェルノブイリ事故の基準を当てはめれば、恐らく「自主避難者」続出、ということになるでしょう。

 ただし以上は単純に伊方原発からの距離のみを考えたケースの被曝線量です。これに風向きを加えて考えて見ると図1段の汚染マップ(コンタ図)のようになります。このコンタ図は伊方原発から50km四方の表示しかありませんが、100km圏四方に頭の中で拡大しても大きく外れません。見ると伊方原発を中心に、ほぼ南北の方向に扇状に放射能汚染が拡散する形になります。
 マップを作成した原子力規制庁によると、風向きは1年間の平均の風向きを参考として作成したとのことです。もちろん1年中こんな形で風が吹いているわけではありません。春から秋にかけては、「南風」、つまり豊後水道方面から北に吹き上げます。秋から翌年の春先にかけては風向きがちょうど逆転します。中国山地から瀬戸内海を渡って風は北から吹き下ろします。

 つまり、図1のコンタ図は年間でちょうど南北逆転する風向きを同じ図に書き込んでいることになります。

原子力規制委員会のシミュレーション 【参照資料】原子力規制委員会「拡散シミュレーションの試算結果」2012年12月
http://www.nsr.go.jp/activity/bousai/data/kakusan_simulation1.pdf


いったん苛酷事故となれば炉心インベントリー全放出を覚悟しておく必要がある

 言い換えれば、もし伊方原発の苛酷事故が春先から秋口にかけて発生すれば、図1の蓄積被曝線量は4.32mSvでは済まなくなるということです。
 それにつけても思い出されるのは2014年8月に発生した「広島土砂災害」です。死者(行方不明者含む)74名という大惨事になりました。これは豊後水道付近で発生した強烈な南風が瀬戸内海を渡るうちに多量の湿分を含み、広島市をぐるりと取り巻く山地帯にぶつかって積乱雲を発生させ集中豪雨を生み、これが土砂災害の原因になったものです。(図2参照)

土砂災害土砂災害 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NAMYYJ6KLVR801.htmlより引用
This aerial view shows the damage caused by a landslide after heavy rains hit the city of Hiroshima, western Japan, on August 20, 2014. Source: Jiji Press/AFP/Getty Images


 この時豊後水道付近で発生した強風(上空の風速15~20m/秒程度)が広島市に到達した時間は、風速20m/秒として約90分といいますから、逃げ出す暇などなかったわけです。 (公益社団法人土木学会 社会支援部門「平成26年8月広島豪雨災害調査報告書(2015年5月)」最終版 11~15p参照)

 つまり、伊方原発苛酷事故が発生した時、状況によっては広島市北部がホットスポットになりうるということです。もちろん広島の被曝線量は4mSvや5mSvではすまなくなります。政府やそのご用下請け機関である広島市当局が、いくら避難しなくてもいい、と声を嗄らしたところで、低線量被曝、放射能の恐ろしさをよく知っている人から広島から逃げ出すことでしょう。

 しかもこのシミュレーションは、「もし、伊方原発がフクシマ並の割合で苛酷事故を起こしたら」という前提条件がついています。伊方原発が苛酷事故を起こしたら、福島原発事故を上回らないという保証はどこにもありません。むしろ敷地面積の極端に狭い伊方原発の場合、どこか1カ所が放射性物質の大量放出という事態となれば、人が近づくことができず、敷地内放射性物質全放出となる可能性の方が高いと考えておかねばなりません。

 原発の圧力容器内にある炉心が抱える放射性生成物(いわゆる死の灰)を“炉心インベントリー”といいますが、福島第一原発の場合1号炉から3号炉の炉心インベントリーの合計のうち、セシウム137で1京5000兆Bq、ヨウ素131で16京Bqが放出されたと推測されています。(たとえば日本語ウィキペディア『チェルノブイリ事故との比較』)しかし、この量も炉心インベントリー全体のそれぞれ2.1%、2.6%にしか過ぎません。大半の炉心インベントリーは炉内に残ったままです。(これがフクシマ第2苛酷事故の大きな危険要因になっています)

 福島第一原発の場合、数々の幸運に恵まれてこの程度の大量放出で収まったというべきでしょう。伊方原発で苛酷事故が起こったら、フクシマのような数々の幸運に再び恵まれると考えるべきではありません。

 炉心インベントリーの全放出が発生すると見ておかねばなりません。

 「伊方原発がフクシマ並の苛酷事故を起こせば100万都市広島は壊滅」と、決して大げさではなく、この記事の見出しで掲げたゆえんです。




(▼以上の内容は広島1万人委員会第74回チラシを転載しています。)


「伊方原発運転差止を
ヒロシマから提訴」のトピック

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