被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
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「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴します

(▼以下の内容は広島1万人委員会第74回チラシを転載しています。)

トリチウムの放出量

なぜICRPは極端なトリチウム過小評価をするか

 さていよいよトリチウムを見てみましょう。

トリチウム

トリチウムは長い間人体にはほとんど影響のない放射性物質とされてきました。現在でもそうです。ちょうど1960年代のアメリカの核産業界におけるヨウ素131の扱いに似ています。

 現在トリチウムがほとんど無害とされているのは、ICRP(国際放射線防護委員会)の線量係数の設定によります。

 線量係数は放射性物質1Bq(ベクレルは濃度の単位です)が人体全体に与える影響度の単位(単位名称はSv=シーベルト)に換算する「係数」のことです。1Bqという科学的に確定できる物理量を「人体全体に与える影響度」などという科学的に確定できない「量」に換算する、という話自体が詐欺師のような疑似科学の胡散臭さを感じるのですが、ともかくICRPは放射線核種とその化合物及び摂取の仕方(吸入摂取か経口摂取か)にわたって事細かに定めています。それによれば、トリチウム水(全国の原発から通常運転時大量に放出されています)を経口摂取した場合、トリチウム1Bqあたりの人体全体に対する影響度は、10万分の1.8マイクロシーベルト(HTO:1Bq=1.8×10-5μSv)だというのです。トリチウム水を経口摂取して人体全体に対する影響度1.8mSvに達するには1000Bqのトリチウム水を一挙に飲み干すしかありません。

 なぜICRPがこうした係数を設定しているのかというと、トリチウムの崩壊電離エネルギーが極めて微弱であり、水中の飛程距離が1mmと非常に短いことが表面の理由となっています。

有機結合型トリチウムの危険

 ところが、トリチウムは体の中で有機結合型トリチウム(OBT)に変化し、OBTとなったトリチウムはなかなか排出しにくく、かつ細胞を構成する重要分子となることが知られるようになりました。細胞を構成する重要分子が電離放射線を発するのですから細胞の受けるダメージは大きく、またOBTが核壊変でヘリウムの同位体にかわってしまえば、ヘリウムには結合を維持する力がないので、細胞結合が破壊されます。(9頁図5・6表7参照)人体の中に入り込んでOBTに変化したトリチウムは、日本政府やICRP学説信奉者がいうように、「トリチウムは人体にほとんど無害」どころではありません。こうした事実は一般市民社会ではともかく、現在学術界ではほぼ通説として承認されるようになりました。




 にも係わらず、ICRPがなぜこのように人体に無害とみなされるほどの線量係数を、依然として設定し続けているのかといえば、「無害」でなければ困るからです。それは60年代ヨウ素131が人体に「無害」でなければ「困っ」た事情によく似ています。それでもヨウ素131は除去装置の開発によって相当程度排出前に除去できるようになりました。

核産業にとって「トリチウム無害」でなくてはならない事情

 ところがトリチウムはこれまでのような除去装置では、取り除くことができません。トリチウムは実は水素の同位体なのです。トリチウム水とは酸素と結合したトリチウム(すなわち水です)を含んだ水ということで、物理的にも化学的にも水そのものです。いってしまえば水から水を取り除くことになりフィルター除去ができないのです。研究室レベルではトリチウムを取り除くことができるということですが、原発で本格的に導入することになると、コストがかかりすぎる、原発による電気料金は禁止的に高価になるという事情があります。トリチウムの危険について学術論文を数多く生み出しているイギリスのイアン・フェアリーという科学者は、トリチウムの物理的半減期約12年に着目して、せめて放出前に30年間程度保管して放出すれば、危険は1/4に減ると提案していますが、30年間の保管は確実に原発の発電コストを上昇させます。また伊方原発のように物理的に保管スペースがない原発も多いのです。

 しかし、大量の水を冷却剤や減速材に使用する核施設では、トリチウム水の大量発生は避けられません。コストを低く抑えて原発を運営するには発生した大量のトリチウム水をそのまま海や河、あるいは湖に放出する他はありません。そのためにはトリチウムは無害な存在でなくてはならないのです。これが、ICRPがトリチウムに対して極端に低い線量係数を与え続けている真の理由です。




(▼以上の内容は広島1万人委員会第74回チラシを転載しています。)


「伊方原発運転差止を
ヒロシマから提訴」のトピック

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