被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
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「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴します

(▼以下の内容は広島1万人委員会第74回チラシを転載しています。)

低線量被曝で生命・健康が損なわれるとする研究や報告


 これまで日本の原発、特に私たちが問題としているのは四国電力伊方原発ですが、こうした核施設から私たちから見れば大量の放射性物質が放出されていることを見てきました。
 また、2011年3月11日の福島第一原発事故で初期大量放出期に拡散した放射性物質はいったん北海道から九州まで日本列島をおおったであろうことを見てきました。私たちから見れば、日本列島全体(もちろん、福島地方、東北・関東地方を中心にまだらではありますが同心円状に)が、生命と健康の危険に曝されていると見えているわけです。

 もちろん私たちの見方が、「過剰反応だ」、「今程度の放射線量であれば、生命や健康に対する害はない」、「将来発生する健康障害でも“がん”だけで、それも電離放射線の影響なのかそれとも他の因子(交絡因子)の影響なのか見極めがつかないほど電離放射線の影響は小さい」などという意見もあります。代表的には日本政府がこの見解を採っていますし、NHK、朝日新聞をはじめとする主要なマスコミもこうした見解に立っています。さらに一歩進んで日本の厚生労働省や食品安全委員会がそのパンフレットで主張するように、「積算被曝線量100mSvまでなら放射能汚染食品をいくら食べても安全」などといった科学的には全く無根拠なデマを流す官庁もありますし、あるいは「あまり放射能汚染のことをいうのはいかがなものか?福島の人たちが気の毒ではないか」などといった自分たちを局外者の立場に置いた上で情緒論を述べる人もいます。共通するのは、福島原発事故による放射能汚染と健康被害は福島の問題とする点で、自分たちの地域は大丈夫だとする見解でしょう。ところが実際にはフクシマ事故は日本列島全体の問題なのです。

日本政府は全面的にICRP学説に依存

 日本政府の見解、一言でいえば、高線量被曝は健康に悪い影響を与えるが、低線量被曝(人体への影響度の単位でいえば100mSv以下)は健康に悪影響を与えない、あるいは悪影響を与えるとする科学的証拠は存在しない、というものです。この日本政府の見解は、全面的に国際放射線防護委員会(ICRP)という国際的ではあるが、あくまで私的な学者や研究者の集まりが提案している勧告に基づいたものです。「放射能を怖がりすぎるな」、「100mSvまではいくら食べても安全」、「食べて福島を応援しよう」、「放射能汚染の話を強調するのは風評被害になる」といっている人たちの根拠を調べたどっていくと、すべてICRP学説に帰着するようです。

 先ほどご紹介した、日本の原発が通常運転で大量に放出される放射性物質による健康影響についても、同様にこれら放射性物質による健康影響は、すべて低線量被曝の影響であり、人体に有意な影響をあたえるものとは認めがたい、許容範囲である、として放任されているのが現状です。

ICRP学説の根幹

 そこでICRPが電離放射線による健康被害に関してどのような学説を展開しているのか、を大ざっぱにでも知っておく必要が出てきます。
 ICRPの学説は、1945年広島と長崎に投下された2つの原子爆弾による被害者(ヒバクシャ)のうち、1950年1月時点で生存が確認されている原爆被爆者の追跡コホート研究、原爆被爆者寿命調査(LSS)の結果に基づいています。
 LSSでは、原爆の放射線(ガンマ線と中性子線)による一時高線量外部被曝の度合いとコホート(研究対象群)の健康状況を主として白血病とがんに関して長期間・系統的に調査・研究したものでした。ICRPはLSSの高線量外部被曝の結果をもとにして、
     
  1. 積算被曝線量100mSv以下の被曝では、電離放射線の影響を科学的に確認できない。
  2.  
  3. 100mSv以下の低線量被曝では、仮に発生するとしても致死性がんと白血病のみである。(部分的に目の水晶体への悪影響や知能に対する影響も認めています)
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  5. それも電離放射線の影響によるものかどうか見分けがつかないほど小さな影響でしかない。
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  7. 同じ被曝線量なら、短期間に受ける被曝は長期間にわたって受ける被曝よりも影響度合いは大きい。(線量線量率効果)

  8. 同じ線量なら内部被曝も外部被曝も受ける影響は同じである。(内外被曝同一リスク)

 などを骨子とするICRP学説を打ち立て、この学説に基づいて放射線防護政策に関する勧告をとりまとめて、各国政府に勧告し、とりあえず日本政府は全面的にこの勧告を採用して一連の「放射線被曝防護政策」を実施しているのが現状です。

高線量外部被曝影響は内部被曝影響にあてはまるのか

 従って問題の中心点は、このICRP学説の骨子が正しいのかどうかという点となります。
 というのは、LSSは、1949年12月までに放射線障害のためになくなった広島・長崎の被爆者のデータを全く含んでいないという点で被曝影響の過小評価はあるものの、一時高線量外部被曝の人体に対する影響に関しては世界中の科学者が、概ね正しいものとして受け入れています。問題は次の点にあります。
     
  1. 一時高線量外部被曝による健康影響としてあてはまったことが、長期間にわたる低線量外部被曝にもあてはまるのか。
  2.  
  3. 同様に一時高線量外部被曝にあてはまったことが、慢性的な低線量内部被曝にもあてはまるのか。(内部被曝は被曝源が体の内部にあるため、被曝源が体の外に出るまで電離放射線の攻撃を細胞が受け続け、結果慢性的な被曝とならざるをえません)

 ICRPの学説は外部高線量被曝に関しては概ね正しいが、長期間あるいは慢性低線量外部被曝にはあてはまらない、ましてや慢性的低線量内部被曝には全くあてはまらない、という批判は1960年代からすでに存在しました。しかしICRP学説を信奉する学者や研究者は、これら批判に対して「学術的権威・信頼性がない」として無視し続けてきました。



 ところが2000年代に入ると学術的権威・信頼性がないとして無視することのできない報告や研究が相次ぎます。気がつけば、ICRP学説は誤っているとする証拠や報告に取り囲まれ、“裸の王様”になっていたのです。

 そうした夥しい研究や報告のうちこのチラシでは3つだけ取り上げてみなさんにご紹介します。



(▼以上の内容は広島1万人委員会第74回チラシを転載しています。)


「伊方原発運転差止を
ヒロシマから提訴」のトピック

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