被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
お問い合わせ

「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました


伊方原発広島裁判メールマガジン第4号 2016年4月12日


―――――――――――――――――――――――――――――
伊方原発・広島裁判メールマガジン 第4号
2016年3月28日(月)広島市長要望への回答
―――――――――――――――――――――――――――――
2016年4月12日(火)発行
編集長 :大歳  努
副編集長:重広 麻緒
編集員 :綱﨑 健太 
****************************************

今日の見出し
■伊方原発広島裁判:仮処分第一回審尋 日程告知
■広島市長、要望への回答
◇回答書本文
◇要望から回答への経緯
◇原発問題は温暖化対策課が対応
◇広島市としての認識と姿勢

■編集部感想

****************************************

■伊方原発広島裁判:仮処分第一回審尋 日程告知

本裁判では本訴と仮処分の2つの訴えを今年の3月11日に起こしました。
このうち、仮処分命令申立の第1回審尋(通常の裁判でいう公判)が4月28日(木)午後3時と決定いたしました。
○○伊方原発広島裁判:仮処分審尋開始決定に伴う緊急声明○○
http://saiban.hiroshima-net.org/report/

つきましては当日、審尋前後の時間を使って、応援団主催で催し物を企画中です。
詳細につきましては追ってご報告いたします。
また、仮処分は通常の裁判のように傍聴は出来ませんが、関心の高さ・注目度の高さを示すためにも是非、広島地裁にお越し頂き、審尋を見届けてください。
《当日のスケジュール予定》
日時:2016年4月28日木曜日
12:00~ KKRホテルにて催し
14:35  催し終了・広島地裁へ移動
14:20~ 代理人弁護士・申立人入室
15:00~ 審尋開始
15:30  終了・会場へ移動
16:00~ 第1回審尋報告会
16:20~ 質疑応答・記者会見(質疑は一般参加者優先)
16:45  終了 

☆皆でこの裁判へ理解を深め共に前進しましょう。
☆ご参加お待ちしております。

■広島市長、要望への回答
2016年2月8日に広島市長へ伊方原発広島裁判・原告団へのなって欲しいという旨の要望書を提出しました。
http://saiban.hiroshima-net.org/report/?p=110
その要望に対する回答をします、と3月9日に広島市から堀江団長へ連絡がありました。
3月11日提訴が迫っており準備に忙しかったため、日程を調整し、受け取りに行った日は3月28日でした。原告団長、原告副団長、応援団代表を始め事務局員数名で広島市を訪れ、個室にご案内頂きました。広島市環境局温暖化対策課長から回答書を原告団長が受け取り、解説をして頂きました。その時の様子を、要点をまとめてお伝えします。

◇回答書本文
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20160310_hiroshimashi.pdf
原文は堀江原告団長に渡され、ほかの参加者は写しを頂きました。
以下、回答書本文です。

平成28年3月10日
伊方原発広島裁判原告団長 堀江 壯 様
伊方原発広島市裁判応援団 代表 原田 二三子 様

広島市環境局温暖化対策課 竹内 真里

伊方原発運転差止広島裁判の原告団への参加について(回答)

 平成28年2月28日付けで要望のありました伊方原発運転差止広島裁判の原告団への参加要望について回答致します。
 そもそも、含むエネルギー政策については、国民救済や国民生活全般に重大な影響を及ぼすものであることから、国がその責任において決定すべきものと考えています。
 原発再稼働については国のエネルギー政策の一環として行われるものであることから、被爆都市である本市としては、国には再生エネルギー等の最大の導入を進めるエネルギー政策を是非実現していただきたいと考えています。
 また、国には、原発の再稼働に際しての安全性を確実に担保していただきたいと考えており、更に、現在は、原発が立地している自治体が、原子力規制委員会の新規制基準に適合していることを前提として、再稼働についての判断を求められことになっているものと認識しています。
 本市としては、こうした考えの下に、引き続き、様々な機会を捉えて、国に対し意見や要望していきたいと考えています。

________________________________________
以上、回答書本文です。
課長から回答書の解説をして頂いた後、事務局からいくつか質問をしてお答え頂きました。
========================================
◇要望から回答への経緯
原告団事務局長 哲野:
「要望を出した際、特段に回答をお願いしてはいなかったにも関わらず、このように丁寧にご回答くださったことはなにか意味があってのことですか?」

広島市環境局温暖化対策課長 竹内:
「回答が不要であることを特に明記されていない限り、連絡先が分かれば所管である私の裁量にもよりますが基本的にお答えすることにしております。
広島市長宛てであるはずの要望に対して私が代理でご回答する経緯についてですが、要望書は秘書から市長へ確実に渡されました。そして市長から私共に担当するよう指示を受け、市長と協議し回答書にまとめました。ですからこれが広島市長の見解とお考えいただいて構いません。」

◇原発問題は温暖化対策課が対応
哲野:
「広島市は広島市民の生存権を守ってください、という旨の要望に対して温暖化対策課が対応するということは、原発、即ちエネルギー問題である、と。それは、原発は国のエネルギー政策であり、エネルギー政策は国の選管事項であるということをそのまま受け入れている、ということ。国のエネルギー政策は原発を推進しています。つまり広島市は原発推進を容認しているということですね?」

竹内:
「それは違います。原発に関することは国のエネルギー政策であるというところは一致しています。ですが先程も言ったように、根底に市民の安全・安心を守るという立場で、どの部署がやるのかといった時に、政策に焦点を当てて、エネルギー政策を受け持っている我々が応対する、ということです。原発を容認するかを決めるのは国であって、それに対して広島市として出来ることは何か。希望や意見は言わせてもらいます。
今回二つのことをこの回答書で示しております。原発の安全性を確実に担保して頂きたい。これは国に求めていることでございます。もう一つは、国には再生可能エネルギー等の最大限の導入を進めるエネルギー政策をぜひ実現してください、ということです。これが私共のエネルギー政策に対する考えです。」

◇広島市としての認識と姿勢
哲野:
「今おっしゃられたことは次の私の質問なのですが、御終いから四行目「原発が立地されている自治体が、原子力規制委員会の新規制基準に適合していることを前提として、再稼働についての判断を求められることになっているものと認識しています。」と書かれています。
この二行の意味合いは原子力規制委員会の新規制基準に適合すれば当該原発が安全であると原子力規制委員会が認定をしたと、そうお考えでしょうか?」

竹内:
「今の組立の中で原子力規制委員会が基準を作られているのはそれなりの法令の体系になっているので、我々としては、全くなんの基準もなく審査しているのではなく、その基準には適合しているということを前提しています、という事を認識しています。」

哲野:
「だからそこが私の質問のポイントですよ。規制基準に適合しているということは、原子力規制委員会つまり国の行政機関が“当該原発が安全である”と認定したとお考えですか?というのが私の質問です。」

竹内:
「安全か安全でないかといったとき、ゼロつまり“全く安全だ”ということには規制委員会でも言っていなかったというように思います。」

哲野:
「”絶対、安全ということは申し上げられません”ということを田中規制委員長は何度も仰られています。」

竹内:
「ですよね、私どももそういう立場を取っています。」

哲野:
「ちょっと待ってください。そういう立場を取っているということは、絶対安全であるという保証をしたものではないと認識しておられる?」

竹内:
「はい。」

哲野:
「にも関わらず(伊方原発から)100km離れた広島市としては一言も言わないということですか?」

竹内:
「一言とも言わないとは?」

哲野:
「抗議をしないということです。」

竹内:
「ここで私が一番ポイントだと思っていたのは、同意を求められるのは立地自治体なんですね。
立地自治体は規制基準に適合したという前提で同意を求められると、そういう仕組みになっている。うちとしてはこういうことを認識しています。
だけれども、うちでできることとしては政策論にたいしては直接政策を作る国に対して、繰り返しになりますが(先程の)2点について要望なり意見なりを広島市として、していきます。」

哲野:
「今のお答えをしっかり踏まえると、広島市の姿勢としては原発安全神話時代そのままの姿勢というふうに理解してもよろしいでしょうか?」

竹内:
「どうしてそういう理解になるのですか?」

哲野
「はい。福島原発事故で我々が学んだことは、国の政策だということで我々が口を出さない、発言をしないことが結局、福島原発事故につながった。それを踏まえる我々の反省とすれば、立地自治体であれ、市民であれ“危ないものは危ない”と指摘することが今後必要だ、そのことを我々は原発安全神話時代の失敗から学んだのですが、今のお答えでいうと“国が認めたことなんだから、我々は当事者でもないんだから”といって“静観する以外にはないよ”というようなお答えに聞こえたもので、私にはそういう理解になります。」

竹内:
「でしたら私の喋りが悪いですね。皆さんが裁判を起こす相手は四国電力さんですよね。私たちはこの問題は国が政策をつくる問題である、だから国に対して意見を言う。私たちも福島原発事故で学びました。それで国に対して安全面を繰り返し確保してほしい、担保し続けて欲しいと、」

哲野:
「だけれども、国は”絶対安全だ”とは一言も言っていませんよ。」

竹内:
「でも、そこの部分に対しては国が責任にもってやることですから、やっていただきたいと」

応援団代表 原田:
「それができないわけですよね。安全性の担保ということを国ができていないということですよ。」

竹内:
「できませんと言っていますよね。できないけれども、では今何をやっているのかというと万が一に備えてどこまでやるのかとやってらっしゃるのですが・・・。
ひとつのところだけを見て、ひとつの観点からだけで全体の社会は見られないわけで、我々からすると現実のこの社会の中で、どういうふうな道筋を見せていくのかということのなかで、訴え続けるのと、こういうふうなやりかたもありますよね、と・・・」

◇決して起きてはならない人災
応援団事務局員 上山:
「この回答書の中で、”原発再稼動の安全性を確実に担保していただきたい“とありますが、この安全とはどういうことなのでしょうか?どうあれば安全だといえるのでしょうか?」

竹内:
「いま国において万が一の事故を起こさないということで、努力をするというふうに規制委員会のほうで努力をし、そしてそれを国の責任において安全性ということをですね、努力するといっておられるので、努力し続けて欲しい、ずっと担保し続けて欲しいと・・・、万が一ということはどれだけ努力をしても、東日本震災もそうでしたが、起こりうることですが、それであっても100%を目指し続けるということを国としてずっとやってほしいということを書いてます。まったく完全無欠の100%ということがこの世の中に、ひとのやることでできるとは思っていませんので、そこはそういう意味です。ただ国として最大限努力するというのは、自治体に向けていろいろ言われるから、それは国としてやってほしいと、で、うちはそれを求め続けると、そういう意味です。」

上山:
「国は万が一の事故を考えている、国というか規制委員会は過酷事故の対応も考えている。ただし新規制基準というのは福島事故の結果作られているのですが、福島事故の原因とか燃料棒の状態とか未だにわかりませんよ。」

竹内:
「そこの詳しいところは規制委員会のほうに問い合わせていただかないと、私のほうでなんとも言えないですよ。」

哲野:
「今の上山の質問、安全とは如何なる定義なのか、という質問にたいしてはまだお答えになっていないように見えるのですが。」

課長:
「比べるものが何と比べていいのかがちょっと」

哲野:
それは92年伊方最高裁判決と比べてみてもいいし

竹内:
「いや、そういうものではなく原発もありますし」

哲野:
「今の話を聞くと問題をすり替えておられる。絶対安全はないとおっしゃるのですが、地震や津波は天災です。ですが、原発事故は国会事故調が指摘するように人災です。で、92年伊方最高裁判決が指摘するように、万が一にもあってはならない人災です。これは皆さん認識されるのではないでしょうか?例えば、飛行機事故は万が一ありうる人災です。ですがチェルノブイリ事故や福島事故は万が一にもあってはならない人災です。この点をすり替えておられるのではないでしょうか?万が一にもあってはならない事故というものが世の中にはあるということをいわゆる人災一般にすり替えておられるのではないでしょうか。」

竹内:
「そういう意味で書いた文章では全くないのですが、そういうふうに受け止められる文章なのかな、いま少し、”ん!?”と思っていて」

哲野:
「要は、原発事故は万が一にも起こってはならないものか、万が一起こってもやむを得ないものか、広島市としてはどうお考えてなっているか。」

竹内:
「万が一にも起こってはならないものです。」

哲野:
「ならば反対されるべきです。」

竹内:
「ですが、世の中に100%、それは、何においても、我々からすると、これとは非常に比べものにならない、レベルが全く違うものに、交通事故は万が一にもあってはならないものとして我々はいろんな対策を打っていますけれども、それでも起きてしまう。そこをどういうふうに言及・・、うーん、ちょっと難しいですね、いい例もなく。」

========================================
以上、事務局からの質問と温暖化対策課長の回答を、特に重要なものをかい摘んでご紹介しました。より詳しく、全ての質疑応答を記載した記事をウェブサイトにて公開する予定です。

■編集部感想
私はこの場に同席していました。質問があればするよう促されたのですが、正直に言いますと、途中から辟易しており質問をする意欲を削がれました。というのも回答に明瞭性がなく意図を汲み取るのには辛抱強く聞かなければならなかったからです。私の忍耐が足りなかったと言えばそれまでですが、簡潔にお答え頂きたかったと思います。
市民を守ることが責務である自治体は、その仕事を完遂するために率先して独自に行動するのが本来あるべき姿だと思います。しかし実態はひたすら“国の指示待ち”。そうこうしている間にも原発は再稼働へと進み、そして万が一が起きた時、自治体は責務を果たせるとは思えません。指示されたこと以上のことはしない、ということですから、指示されなかったからやらなかった、ということで責任を負うこともないのでしょう。
その自治体を変えることが出来るのは私たち市民です。聞き入れざるを得ない程の大きな市民の声にしていきましょう。
(重広)

自動車運転免許をとるときに「青信号になったら進まなければならない。○か×か?」という引っかけ問題がありました。答えはもちろん「×」です。
だって青信号になることは、目の前が安全であることの保証ではありませんからね。
では、なぜ私たちはそれでも青信号は安全だと錯覚してしまうのか?それは、もう片方が赤信号だから。そこには赤信号は止まるという約束があるからです。

温暖化対策課課長が交通事故を引き合いに出してきたのでついついのって言ってしまうのですが、交通事故は互いが約束を守ることで限りなくゼロに近づくことが出来ます。
そして、それは私たち人間が、人間社会を人権という面から成熟させていく上では、チャレンジする価値のある取り組みだと私は思います。
では原発再稼働はどうでしょうか?
原発事故を乗り越えながら成熟した社会に、私たち人類は到達していけるでしょうか?
原発が内包するとても不均衡な力の前では、私はそれはないだろうと思っています。
(綱﨑)

長々とした議論でしたが、結論から言えば、広島市は「原発の過酷事故はありうる。しかしその時の具体的な対応の仕方までは、まだ考えていない」ということでした。
原発の過酷事故が社会に与える衝撃に匹敵するのは、巨大な天災、パンデミック、テロ、戦争などです。したがって国が今の状況下で、原発の再稼働をしようとする行為はそれ自体が「テロ行為もしくはテロ未遂行為」です。
自治体であろうが個人であろうが声を上げなければなりません。
(大歳)
==================
伊方原発運転差止広島裁判
URL http://saiban.hiroshima-net.org/
◆伊方原発広島裁判メルマガ編集部◆
メールマガジンを退会されたい方は
メルマガ編集部 mm@hiroshima-net.org
までご連絡ください
==================



ページのトップへ戻る