被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
お問い合わせ

「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました

第15回口頭弁論 2019年5月15日


▼御案内チラシ



広島地裁乗込行進時の様子

期日報告

参加者数増加!~リーフレット第3版効果か、チラシの効果か?

本期日に先立って今年3月11日に提訴から丸3年を迎えるにあたり、私たちは「共に学び共に行動する」をコンセプトに
広島裁判のリーフレット第3版を制作し、3月中に原告団・応援団・支援者の皆様のお手元に届けました。


第3版リーフレット(クリックするとリーフレット紹介ページに飛びます)

被爆地ヒロシマから「核兵器反対ならば原発反対は当然」であることを訴え、
その根本は同じ放射線被曝被害にあることを多くの市民の共有知にすることを目指して、
私たちの活動の「原点」と「これまでの歩み」と「これから」を18ページにまとめたものです。

そのリーフレット効果なのでしょうか?
あるいは「原発業界の常識は一般産業界の非常識」をタイトルにした期日のご案内チラシの効果なのでしょうか?
13時00分。集合場所の広島弁護士会館3階大ホールは、開場前から、従来に比して多くの皆様がご来場くださいました。

なかでもドイツのマインツ在住の体育学博士であり著作家であり
福島事故後の日本での反原発運動を取材し続けているジャーナリストでもあるアンドレアス・シングラさんは、
2018年4月23日の広島高裁での仮処分の第一回異議審 審尋期日に続く2度目のご参加です。
今回はドイツから”Don’t Nuke the Climate!” (原発推進に気候変動を利用しないで!)の黄色い大旗を持参の上、私たちに寄贈下さいました。

また、広島市西区観音のワールドフレンドシップセンターからはダニー館長を始め、若いスタッフの皆さんも駆けつけてくださいました。

13時半過ぎ、広島地裁への乗込行進に出発。
先頭集団が「被爆地ヒロシマが被曝を拒否する」と書かれた旗を持ち、
また後方ではアンドレアスさんから寄贈を受けた黄色い大旗を高く掲げて、大勢での行進となりました。




進行協議報告-訴訟指揮の変更

14時半からの口頭弁論に先立って、14時からは、原告被告当事者、代理人、裁判官出席の下、口頭弁論の前に進行協議が開催されました。
進行協議は口頭弁論の流れの確認と内容の事前打合せで非公開です。

今回の口頭弁論では原告から意見陳述を行いたいと申し出ていました。
意見陳述は口頭弁論の冒頭に行われるので、進行協議の流れの確認の際に最初に言及され、
尚且つ、高島裁判長より、今後、意見陳述は必要性を検討し双方の意見を聞いた上で行うかどうかを決定する、という方針が示されました。

以前の末永裁判長時代は、意見陳述は新原告の提訴及び併合があった時に限るという条件でした。

四国電力側「意見陳述については慎重に、前々から消極的に…」といった反応が即刻あり、
原告側「事案が事案なだけに、お立場上、裁判官にも被告にも聞いていただきたい」といったやり取りの末、今回の意見陳述が実現しました。

この他に大嶺裁判官からは原告準備書面25の最後の「この点」の主旨確認があり、
四電側は本件に対して現段階で釈明の準備はできておらず検討するとしたのみでしたが、
正に「この点」が重要であることは記者会見報告会で弁護団から説明があります。


口頭弁論報告-Remember FUKUSHIMA Disaster-

14時半からの口頭弁論は進行協議の打合せ通り、まず原告意見陳述から始まりました。

第15回口頭弁論期日 原告 森本 道人さん 意見陳述要旨

出張中の千葉で東日本大震災に遭遇し、原発事故の恐怖を味わい、
原発に対する意識が変わったプラントエンジニアの森本道人さんによる意見陳述は、
あの福島原発事故を契機に原発反対を決意した多くの人の心を代弁したような内容でした。
その内容に、傍聴席はそれぞれの「あのとき」を思いだした空気が拡がり、また、決意を新たにするような雰囲気に包まれました。

時々顔を上げて裁判長をみながら意見陳述をしていた森本さんは、途中で四国電力側を向いて
「四国電力の方にお聞きします。
 伊方原発が絶対に事故を起こさないと約束してくれますか?
 放射性物質を敷地外に出さないことを約束してくれますか?」
と問いかける一幕がありました。

裁判官と四国電力とに、真剣に問題に向き合うことを求めた意見陳述でしたが
被告代理人弁護士は終始うつむき、顔を上げることはありませんでした。
裁判長は意見陳述人の目を見ていたそうです。

次回期日8月7日、次々回11月20日を確認して、約15分で弁論は終わりました。

この日、法廷の外では、傍聴にあぶれて待つ人が四電側8名、原告側3名。四電側は上役だけが入廷した様子でした。
傍聴に来て下さる方が増えていることは、市民の関心が高まってきていることの反映と捉え、喜びを覚えると同時に、
原告意見陳述は四国電力の若い社員の皆様にも聞いていただきたいと考えているので、その点は少し残念でした。


胡田弁護士からの全体報告


写真は、会場ステージ全体。全体報告を行う胡田弁護士。
横断幕は今回のテーマ「原発業界の常識は、一般産業界の非常識」にする予定だったのですが
「一般産業界というより一般社会全般」だということになり「原発業界の常識は、一般社会の非常識」となったものです。

裁判所から弁護士会館に戻り、口頭弁論が早く終わった分、予定より少し早く記者会見報告会がスタート。
最初は、胡田弁護士からの今回期日の全体報告です。

■胡田弁護士
 「だんだんシンプルでわかりやすい訴訟進行になってきました。
  進行協議で打ち合わせた内容にしたがって第15回弁論期日が行われました。
  事件番号の読み上げ前に意見陳述をしました。
  訴訟の内容には取り込まないけれども、当事者の意見は直接うかがいます、というのが、
  事件番号の読み上げ前に意見陳述をしてもらうということの意味だと思います。
  意見陳述が今まで何度もありまして、それぞれ自分の生活と密着した形での、この問題に対する意見をおっしゃって、
  大変にいい意見陳述を今日も聞けたと思っております。」

原告側からは
準備書面23「過酷事故対策」 A4版35枚
準備書面24「水蒸気爆発2」 A4版18枚
準備書面25「緊急事態に対する管理体制についての求釈明」 A4版3枚
の3つの書面、

被告側からは
準備書面13(安全論) A4版4枚
準備書面14(避難問題に関する被告の反論) A4版51枚
が提出されたことを報告。

次回8月7日は、被告側から、準備書面23・24に対する反論が提出予定、
準備書面25の原告から被告に対する求釈明に対しては、検討すると四電側が回答、
原告側の予定は、次回は準備書面の提出はなく、次々回11月20日に、地震についての再反論を提出予定と報告されました。

続いて、準備書面解説の前に、法廷に入れなかった皆様のために、森本道人さんより原告意見陳述を壇上で再現していただきました。
第15回口頭弁論期日 原告 森本 道人さん 意見陳述要旨




能勢弁護士による準備書面23解説-過酷事故対策

原発の「確定的安全」が必ずしも保障されていないのが問題

解説する能勢弁護士
準備書面23「過酷事故対策」 A4版35枚

■能勢弁護士
 「準備書面23は、過酷事故対策についての続編ということで作成しました。
  大きな地震が来て外部電源が喪失するということは想定されており、
  規制基準でも、外部電源が喪失したときに備えて
  冷却機能を維持するような設備をきちんとそろえておきなさいよ、というのが基準の中身なんです。
  それについて、この準備書面は、まだまだとても十分ではない、ということをいろいろ指摘しているという内容です。

  この中で主にポイントになるのは、電源の確保ということです。

  原発の内部電源は、大きな地震が来たら当然にストップされます。
  そして外部電源も、大きな地震が来たときには喪失する可能性が高いということです。

  前回の北海道地震の泊原発のときも、外部電源は喪失した状態になって非常用電源装置で冷却をし、
  この前の熊本地震でも、非常に広い範囲で停電になってしまったという事実があるわけです。
  要するに、あれくらいの規模の地震が来れば、まず外部電源が喪失する事態が生じるということは、かなり確実に想定されるということです。

  それに対応する方策として、いろいろ被告のほうは主張しているわけですけれども、
  主に、非常用電源装置とタービン動の補助給水ポンプの二つが機能して、
  電源を維持するはずであるということが、被告の骨子になっております。
  それとスプリンクラーによるホウ酸水の散水というようなことも言っております。

  それについて、こちらの準備書面では、
  まず、安全と言えるのかどうかということについて、「確率的安全」という言葉と「確定的安全」という言葉を使い分けております。
  つまり、確率的に高く安全性が保障されているということでは足りない、
  確定的な安全を確保できていないと、ほんとうに事故を防ぐことはできないのだということを、一般的な安全論の中で述べております。
  そういう観点から見ると、それぞれの設備は、いろんな点で問題があるということを述べております。

  特に、外部電源が喪失して炉心溶融が始まるまで何分くらい時間があるかということについては、
  前回の準備書面18で指摘しておりますけれども、おおむね22分と言われております。
  つまり、その22分の間に電源を確保して冷却機能を復活させなければいけないということになるわけです。
  そういった短い時間の中で、非常用電源装置が何かトラブルがあったときはどうするのかということです。

  それから、給水ポンプについても、原子炉の蒸気で圧力によって作動しているけれども、途中で止まってしまうということ。
  あるいは、補給される油も7日間維持と言っているんだけれども、その期間でほんとうに足りるのかというようなこと。
  それから、そもそも安全装置自体がきちんと想定どおりに機能する保障がほんとうにあるんですか、ということを指摘しております。

  これまで原子力発電所でいろんな事故が発生しているわけですが、
  準備書面では、その事故が発生している原因を実証的にいろいろ指摘しております。
  また、ECCSという安全装置、これは非常用の設備ですけれども、
  それがなんらかの事由で作動した作動実績が外国の文献でとりまとめられております。
  それを基にした分析もしております。

  結局、「確定的安全」ということが必ずしも保障されていない状態で原発が稼働しているという実態が
  そもそも問題だということをこの準備書面では述べています。」


能勢弁護士による準備書面25解説-緊急事態に対する管理体制についての求釈明

福島原発事故時の事態やその対応問題がなおざりの可能性
準備書面25「緊急事態に対する管理体制についての求釈明」 A4版3枚

■能勢弁護士
 「準備書面25は、被告にこの点を明らかにしろということを求める(求釈明)書面です。

  これはどのようなことかというと、緊急事態が発生したときに、きちんとその状態をしかるべき人に情報伝達して、
  かつ適切な判断を下すシステムが確立されていなければならないのではないですか、ということです。

  福島事故については、準備書面18で福島事故の問題点をNHK報告で素描したんですけれども、
  その中にあるとおり、はっきり言えばお粗末な体制で処理したがために、
  結局は、ICという復水器の閉栓は、結局、当直長一人の判断でなされているのです。
  つまり、吉田所長なり上の人の意見を何も聞かないでストップされた経緯があるわけです。

  そんなことがあってはならぬということで、現実に伊方原発についても、そういう非常事態について、
  誰がどういう決定をするのかということについてきちんと検討していますか、ということの釈明を求めている内容です。

  被告のほうは今日、この釈明に対して答えるかどうか、どう答えるか、
  もう一回検討しますみたいなことを言ってましたけれども、
  そういう対応、それ自体が実は問題です。

  福島の事故を十分に知っていたならば、そういう事態をきちんと正確に想定して、
  それに対して伊方原子力発電所としては誰がどういうふうに決断するのかということを、
  本当は事細かく整理して、考えておかなければいけないだろうと思うのですけれども、
  しどろもどろしているところを見ると、そういう問題意識はおそらくあまりないんじゃないかと、
  私はずっと今日、被告代理人の対応を見て思いました。


一人一人には変える力がある-たったいま、みんなが世論を動かし、変えている現実を指摘

■胡田弁護士
 「準備書面24について説明する前に。
  先日、テロ対策室ができないということで、その間は原発は止めろ、と規制委員会が言いました。
  規制委員会は素晴らしい所だなんていうのは大間違いで、
  実は、みなさんがこうやって、やっているから、規制委員会は止めざるを得なかったんですよ。

  原発は実際に動いていますし、なかなか裁判をやっても難しいから、
  われわれがやっていることは無意味なんじゃないのかとか
  成果があがっていないんじゃないかとか思われる人もいるかもしれません。

  でもそれはまったく違う。

  われわれがこうやっているから、みなさんがこうやって、やっているから、ああいう結論になる。
  上関原発も、計画から50年近く、できないわけです。
  あれも、反対運動があるからなんです。
  おとなしく静かにしてたら、もうあそこで原発は稼働しています。
  だから、われわれの運動は、こうやって非常に役に立っているんだという確信を持っていただきたいと思います。」

(ここで会場からは大きな拍手が起こりました)

胡田弁護士による準備書面24解説

原発業界の常識は、一般産業界・一般社会の非常識-世界も心配する水蒸気爆発対策
準備書面24「水蒸気爆発2」 A4版18枚

■胡田弁護士
 「その上で、準備書面24を説明いたします。
  水蒸気爆発というのは、溶融炉心が冷たい冷却水の中に落ちるとそこで瞬時に水が蒸発するわけです。
  二千数百度の溶融炉心がバタバタバタッと落ちるわけですから、
  下の水が急に沸騰して、だいたい理論的には1,600倍になるということですけれども、すごい爆発が起こる。
  そういうのを水蒸気爆発と言うわけですけれども、
  この「水蒸気爆発は、PWR(加圧水型原子炉)では絶対に起きません」ということを四国電力は言っています。

  けれども、アルミであるとか、鉄であるとか、水蒸気爆発自体はいくらでも起こっていますし、
  どうして起こらないと言えるんだ、ということです。
  世界は本気で心配していて対策を検討しているんだよ、というのがこの準備書面24です。

  平成25年の7月に、四国電力は伊方の3号機について変更許可申請を出しました。
  規制委員会は27年の7月に許可を出します。
  この間2年です。この2年の間、3号機についての審査を行ったわけです。

  その審査書を見ますと、四国電力が「水蒸気爆発は起きません」ということで
  「水蒸気爆発についての対策は取っていません」ということが、明確に審査書の中に書かれています。
  代わりに、圧力スパイク程度なら起こるんではないかということで、
  もっぱらそっちの対策のことのみを書いているんです。

  そこで審査委員会が、「どうして水蒸気爆発が起こらないと言えるんだ」と、
  その趣旨を簡単に整理して出せと四電に言っています。

  四電は「過去の実験に基づいて、起こらないと言っていいんだ」という言い方です。
  「ある施設で、クロトス、コテルス、ファロというプロジェクト名の、溶融核燃料を用いた実験が3回行われていて、
  そこでは、まず、ファロとコテルスではまったく水蒸気爆発は起こらない、
  それから、クロトスでは3回起こっているけれども、起こりやすい条件を設定して起こしているんで、
  あれは実際の原子炉ではそういう状態はないんだから起きないんだ」と、
  そういう説明をして、規制委員会はOKを出しているんですね。

  クロトスとかファロとかコテルスとか、なるほどそれは確かに実験結果はそうなっている。
  こういう形で四電は、規制員会の審査をパスしたんですけれども、
  これらはいずれも、おそらく、20世紀の実験、1990年代の初期かその前後の実験なんです。

  これに対して、トロイといいまして、韓国がやはり新型の原子力発電所を作るのに実験をしております。
  このトロイの実験では、水蒸気爆発が随分起こっているんです。

  さらに2000年頃から、OECDが原子力発電所の安全性、特に水蒸気爆発について疑問を持ちまして、
  「過去の実験では十分な解析ソフトができない、計算ソフトができていない」ということで、
  独自にセレナプロジェクトと銘打って実験をやります。

  そのセレナプロジェクトが「従前のでは十分でない」と言った、
  その十分でないと言われているのは、クロトスでありファロでありコテルスなんですよね。
  これらでは十分に信頼できるデータが無いから、解析コードができないから、自分たちでやるんだと言って始めたわけです。

  この結果、トロイの設備とクロトスの設備を使って6回ずつ実験をやって、
  12回やって、12回のうち8回、水蒸気爆発が起こっているんです。

  この事実は公表されていますから、当然、四国電力も規制委員会も知っているわけです。
  ところが、審査書の記載を見ますと、まったくセレナについて触れないんですね。
  審査書ではまったく触れていない。

  そうすると、セレナでそういう事実があったということを、
  規制委員会はきちんと検討したのだろうかという非常に強い疑いが今出てきております。

  最高裁が、平成4年の伊方判決のときに、二重の基準と言いまして、
  審査基準が合理的であること、その基準にあてはまっているかどうかを審査する過程が合理的であること、
  この二つが、合格の、安全性パスの基準だと言っています。

  その審査基準へのあてはめの合理性を審査するときに、どういうことが重要かと言えば、
   「きわめて大切な資料を、判断する過程で、落としていること、欠落していることがあってはいけない。
    もしそうならば合理的だとは言えない」

  ということを明言しております。判文に書かれている。

  もし今回、規制委員会が平成27年に許可をするにあたって、セレナプロジェクトを考慮していなかったとすると、
  その審査過程に重大な過誤・欠陥があり、これは二重の基準に照らしてよろしくない、ということになるはずです。
  セレナプロジェクトがいかに世界的な規模の重要な実験プロジェクトであるかということを書き、
  そのことが判断の対象にされていないのではないか、ということを書いたのが、準備書面24です。」


遠来参加者による活動報告

ドイツ アンドレアス・シングラ博士

質疑応答の冒頭に本日の遠来からの参加者を代表してお二方に活動報告を行っていただきました。

まず最も遠いドイツ、マインツ在住のアンドレアス・シングラー博士。
今回は果敢にも日本語での報告にチャレンジしてくださいました。


アンドレアス・シングラ博士
発言は要旨に事前にまとめられ、全員に配布されました。
欧州の原発の今と再生可能エネの将来 要旨

香川県 吉冨さん
続いて香川からお越しくださった吉冨さんからのご報告です。


香川から参加の吉冨さん

■吉冨さん
 「皆さんこんにちは、四電本社前、金曜行動参加者の吉冨と申します。
  高松の反原発の現状についてご報告いたします。
  毎週金曜日には、高松の四国電力本社前で抗議要請行動を続けております。
  明後日の5月17日金曜日で第358回を数えます。
  夕方6時少し前から本社の門前に集まって、今日使った小旗や大きな旗や各種アピールグッズ、
  歌などで退社する四電社員さんたちに原発反対をアピールして、
  そのあと近くの三越前でも行動してきた仲間と合流して
  マイクリレー・シュプレヒコール・情報交換を行っています。

  一つ大きなニュースが4月の統一地方選挙の後半戦で、
  高松市議会議員選挙で市民派の太田あゆみさんがトップ当選を果たしました。
  この方は3.11をきっかけに政治に関心を持たれて、また子供のころはご両親に連れられて、
  88年の出力調整反対の四電本社前のその場にいたという、その記憶をご自分の原点として大事にされています。
  この太田市議が第2期目をトップ当選でスタートさせたということは今後大きな意味を持つと思いますし、
  そうなるように私たちも一層の協力関係を築いていきたいと思っております。

  今月初めには脱原発アクションとして、原発ゼロ法案の早期審議入りを求める緊急団体署名に署名いたしました。
  11日には、伊方現地ゲート前座り込みに高松から4名参加しています。

  6月の行動としまして、6月1日におしどりマコ・河合弘之「半径5メートルを変えていこう」と題して、
  芸人で記者、参議院議員選挙で立憲民主党比例区公認予定者のおしどりマコさんと河合弘之弁護士のトークライブを
  「半径5メートルを変える会」主催の形で行います。
  6月9日に「告発!東京電力は万死に値する」という題で蓮池徹さん四国一周リレー講演会香川県会場の講演会を
  脱原発アクション主催で行います。
  柏崎刈羽原発の地元出身者として、東京電力で原子力に関わってきた蓮池さんのお話を聞いて、
  原発について一緒に考えます。
  四国一周リレー講演会ということですので、他の会場は松山・八幡浜・高知・徳島で開催いたします。

  そして、6月26日は四国電力の株主総会です。
  今年も「未来を考える脱原発四電株主会」という株主さんの集まりが会社法で定められた合計3万株以上の賛同を集めて
  株主提案議案を提出いたします。
  今年はなんと過去最高の13万株133人の賛同が集まりました。
  当日には会場の四電本社前で脱原発株主の皆さんを株主総会に送り出して、
  その後、総会の間中、歌やスピーチ、旗やグッズで脱原発株主を応援し、
  中からも聞こえるそうなので、しっかりエンパワーしようと思います。
  また街に対しても反原発アピール行動を行います。
  この日はマスコミ各社も取材に来てくれます。
  四電本社の真向かいのビルが、毎週の金曜行動は全く無視しているテレビ局の西日本放送というのですけれど、
  さすがにこの日には来てくれます。
  もちろん、他のテレビ局や新聞も集まりますので、大いに脱原発・反原発の私たちの民意を
  アピールする場にしたいと思っております。
  以上、高松の反原発の現状をご報告しました。」

◆蓮池透氏の伊方現地訪問が「ハーパー・ビジネス・オンライン」(牧田寛氏執筆)に掲載されています。

質疑応答


テレビ局の取材も入った当日の記者会見会場

■中国新聞 小笠原さん
 「能勢先生に伺いたいのですが、準備書面23の確定的な安全が確立されていない状態で稼働しているという部分で、
  地震発生時に電源が確保できるのか、冷却が上手くいくのか、いろいろ主張されている中で
  裁判所に一番訴えたい部分というのはどちらでしょうか。」

■能勢弁護士
 「特に非常用電源がきちんと作動するのか、というところが一番の問題ではないかと思います。
  非常用電源装置それ自体が、その時に機能する保証があるのか、ということです。
  泊原発の時は何とか無事作動して事なきを得たようですけれども、
  必ずそう行くのかどうかということが一つの大きな問題ではないかと私は思っています。」

■事務局 哲野
 「準備書面23の4ページ、『1.放射性物資の閉じ込め機能は「五重の障壁」という詭弁』
  ここの中身をもう少し詳しく教えてください。
  五重の壁の問題は、我々もよく説明をするんですが、
  これほどズバリ詭弁だと言っているのを見たことがないので、ご説明をお願いいたします。」

■能勢弁護士
 「この表現は私が書いたのではなくて、後藤政志先生が言いきったところなんです。
  要するに被告が五重の障壁によって防御されているんだと言っている、
  五重というのが、ここにも書いてある通り、
  燃料ペレットと被覆管と原子炉圧力容器と原子炉格納容器と建屋と指摘されているわけですが、
  それぞれここに書いてある通り、いろいろ問題があって、
  最終的に障壁として評価されるのは格納容器だけだろうということを言っているんです。

  5ページに書いてある通り、「実際は原子炉格納容器だけが実質的な閉じ込め機能を有しているだけであり、
  過酷事故時にはその原子炉格納容器さえも、種々の爆発や高温・高圧、格納容器のベント等により
  閉じ込め機能を失う可能性もある。」ということで、
  格納容器も障壁にはなっているけれども、その閉じ込め機能を失う可能性はあるんだと、そういうことだと思います。
  後藤先生のお話では、ここまで行ったらある意味終わりだ、要するに一番大事なのは、炉心溶融迄だろうと。
  炉心溶融が起こってから何とかするのは非常に難しいことなんだ、
  閉じ込めの前に、電源を喪失したとしても、炉心溶融をいかに起こさないようにするか、そこが一番のテーマだろうというお話でした。
  そこに重点が置かれています。」

■会場出席者A
 「ドイツの低レベル放射性廃棄物、高レベル放射性廃棄物の区分を知りたい。」

■事務局 哲野
  (先にアンドレアス・シングラ氏から専門家ではないのでわからないので調べて回答する、と返事のあと)
 「これは非常にあいまいです。
  日本でも高レベルと低レベルは非常にあいまいだし、IAEAの基準によると中レベルというのもあるんですが、
  日本では中レベルは飛ばして制御棒も低レベル放射性廃棄物です。
  だから非常にあいまいにしておいて、本当は危険なものを危険じゃないんだ、と見せようとしている。
  それがドイツではどうなのか。それは調べてもらって後で報告を致します。」

■共同通信社 野口さん
 「今回、四電からは安全論と避難問題に対しての反論が出たということですが、
  その被告の主張に対する原告団としての評価、感想をお聞かせ下さい。」

■胡田弁護士
 「被告から出た準備書面13、14に対する感想ですか?
  今日の期日のために水蒸気爆発と過酷事故対策の自分の書面を書くのに一所懸命で
  先方の書面がいつ出たのかもよく知りませんが、これから読んで再再反論を考えます。」

■共同通信社 野口さん
 「今後、どういった点が主張として積み残しになっているか、見通しを教えて下さい。」

■胡田弁護士
 「積み残しはない。
  要するにどこまで深めていけるかということで、科学技術的にはものすごく難しい話ですから、
  本格的にそこでの優劣をつけようという話になると勝つのが難しくなる。
  どこをどういう風な切り口で裁判所に迫れば、こういった専門的な事件で勝てるのか、有利に運べるのか、というのは常に我々のテーマで、
  そういうことを意識しながらこれからやっていくということです。
  例えば先ほどの水蒸気爆発でしたら、被告はセレナプロジェクトを本当に考えたのか、考えてないならば重大な欠落ではないか、とか、
  過酷事故対策であれば、被告からあいまいな回答しか出てこないので、
  それに対しては、これで被告は安全性を立証できたと言えるのか、というようにです。」

■能勢弁護士
 「私自身、この事件は基準地振動が一番のテーマだと思っているんです。
  基準地震動のところで、今の伊方で四電が設定している基準がおかしい、これではおかしいという裁判所の判断は出ていないんですよ。
  だけど我々弁護団の恐らく全員の認識でしょうが、これで本当にいいんですか、という問題意識を強く持っています。
  そこのところをもう少し深めて問題点を明確にすることが大きなテーマだと思っています。」

■原告 西本さん
 「東電福島原発事故以来8年間、未だに避難されている方たちがどういう状況にあるかについて、
  私たち自身の課題として受け止め、深く掘り下げていかねばならないという思いがあります。

  四電の場合と、政府の場合と、8年前の事故のどういう点を問題点として整理して対応していこうとしているのか、

  むしろ更に原発推進し、安全神話から安心神話といいますか、
  原発事故が起きても安心だよという流れになっているんではないかと思います。

  国会事故調査報告の中に事業者としての事故対応の問題点として、
  事故時に会長と社長が揃って不在で、シビアアクシデント対策が機能せず、
  緊急時マニュアルも役に立たなかった、といった点が挙げられています。

  四電ではそれをどのように整理して、確率的な安全が確保できているのか。
  地震津波と原発事故の同時発生の問題、事故の長期化・重度化、8年経った現在状況、
  そうした想定の上での備えがなかった、といった点を政府・国会事故調は問題点として出しています。
  こういった点について、四電なり政府なりが、どのように整理して対応していこうとしているのか、
  わかることがあれば、またはその点について感想を教えてほしい。」

■松岡弁護士
 「今のお話はもっともで、私もそのように思っています。
  基本的に四電は、規制庁に定められた規制基準に基づいてクリアしているから問題はないといっています。
  基準地震動の件についても津波火山の件についても、基本的にはこれまで取っているデータで全部予想済みで、
  それに基づいてしっかり予測ができるのだということを前提として、
  今、仰られている安心神話が作られて行っているのではないかと危惧しています。

  特に仮処分で出た火山の問題については、まさにそのようなところがあって、
  そんな昔の火山のことを言ってもというような形で向こうは言ってきて、
  最終的には、しかしそういう火山の巨大噴火は起こりうるのだ、という話が一回広島高裁で出た。

  しかし、それでも、それについて言い出したらきりがないでしょ、と社会通念論という形で逃げられている。
  どこまで科学論争をするのか、という話もありますが、
  素朴な本当に絶対に安心な原子力発電はないんだということろからスタートして、
  裁判所にも、広く多くの人にも理解してもらいたいというのが私の思うところです。」

会場から、原発問題・政治問題を報道しない日本のマスコミ批判
会場から、日本の報道に対する批判の声が出ました。
裁判の報告会に来なければ、みんなが考えるのに必要な、大事で基礎的な情報がわからないのはおかしい。
少なくとも私の周りは誰も知らない。
マスコミ報道の役目なのに、報道をしていないのが原因ではないか、というものです。

ドイツのシングラー氏から見ると、来日した昨年も、今年も、
日本では新聞・テレビなどで原発問題をほとんど見ることはなくなった、というのが感想でした。


山口裁判 広島高裁抗告審の進行について
また山口で仮処分で3月に負けて、昨日(5月14日)、広島高裁で抗告審の第一回進行協議が行われたことが報告されました。


以上で記者会見・報告会が終了いたしました。 この日、皆様からのカンパ総額24,711円と5ドル札でした。
みなさまの当裁判へのご支援に心から感謝いたします。

次回は8月7日です。ぜひ傍聴にお越し下さい。お待ちしております。


会場の様子


会場後方に設営された「リーフレット第3版紹介コーナー」と「街頭アンケート紹介コーナー」




左は2016年4月時点で、伊方原発が広島市から一番近い原発だと知っていた人は15%でした。
右は2016年10月。このころ伊方原発が再稼働され、その認知度は20%を超えました。
日頃から生活のなかで、いかに折に触れるかが大事なことかということがわかります。



広島市民より呉市民のほうが、認知度も、危険を感じることも多いことがわかりました。

また、広島の仮処分裁判が知られるようになってきました。

アンドレアス・シングラ博士のミニ講演会

なお、19時からワールド・フレンドシップセンターで、アンドレアス・シングラ博士のミニ講演会が開催されました。


講演中の様子。30人が参加


写真は質疑応答の様子。活発な議論が行われた。


5月19日、毎日新聞に講演の記事が掲載されました。(小山美砂記者執筆)


ページのトップへ戻る