被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
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「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました


第27回口頭弁論期日 2022年3月14日

期日報告

記録撮影

予定通り当日午後1時半ごろ、裁判所前で実施、意見陳述人の山口さんを中心に約15名程度が記録撮影に参加。
中国新聞とTSSのカメラクルーが取材にきていました。




右の写真は今回意見陳述者の山口裕子さん。前年から強直性脊椎炎のため車椅子で入廷しました。

進行協議 14時~

進行協議は、午後2時から209号法廷で開かれました。
裁判体(裁判長・大森直哉裁判官、右陪席・大嶺崇裁判官、左陪席・塚本友樹裁判官)の他、原告弁護団7名、被告側弁護団8名のほか、傍聴者5名が出席しました。
協議の中心は、今後の裁判進行で、まず裁判所が原告・被告双方弁護団に要望している、これまでの主張の要約準備書面の提出状況の取り調べが行われました。

結果、原告側は裁判所要望のうち、「司法判断の枠組み」を除いてすべて提出しており、今回期日に向けては、以下準備書面6通が提出されております。


一方四国電力側は今回4通提出。
なおも地震や水蒸気爆発、司法判断の枠組みなどが未提出であることが確認されました。


今後の提出については原告側は次回期日で「司法判断の枠組み」を提出、四国電力側は、おそらく次回ではすべて間に合わず、次回以降にずれ込むことになるだろう、との見方が示されました。

裁判長は、今後の立証計画についても触れ、原告側立証計画の提出の予定について尋ね、原告側は人証が一部決まっていないところがあるものの、おおむね決まっており、次々回ごろには提出できるとしました。

四電側は、原告側立証計画を見て、本格的に人証の人選作業に入り、立証計画を提出する、と回答しました。

次回期日(第28回口頭弁論期日)と決まっていましたが、次々回期日は9月14日と決まりました。

なお裁判体のうち、大森裁判長、大嶺右陪席の2人がこの年度末の人事異動で交代することが決定しており、次回期日からは新しい裁判体に交代することが明らかにされました。

大森裁判長は広島地裁総括判事に就任してまだ約2年なので、やや早いかなという印象を持ちます。

進行協議の一番最後で、申請していた山口裕子原告意見陳述が認められました。四国電力側弁護士も「10分程度なら」と今回はすんなり認めました。


口頭弁論 14時30分~

口頭弁論は2時半に開始されました。
傍聴席もほぼ埋まり、事務局が事前に山口意見陳述要旨を傍聴人や記者団に配布しました。
受け取りを断った人が3人いたとのことです。
四国電力の関係者だと思われます。原発を推進するにしろ反対するにしろ、さまざまな原告の意見を聞いておくことは決して無駄にはならないはずです。
頑なに原告の意見に耳を塞ぐ姿勢は、やや狭量かな、という印象があります。
裁判長から提出書面の確認や、今後の立証計画の確認が行われました。
(中身は進行協議の内容と同様です。)

四国電力側主任弁護人が、「水蒸気爆発」に関する主張書面の提出に、新たな証拠を近々入手予定であり、 その証拠を踏まえて準備書面を作成したい旨を述べると、原告側弁護士から「その証拠を入手した時点で、事前に乙号証として提示してもらえないか?」との要望が出されました。

これに対して四国電力側は「できるだけ要望に沿うよう検討する」との回答がなされました。
地震以外に「水蒸気爆発」が意外に大きな争点となりそうな気配です。

山口さんの意見陳述は、車いすの座ったまま行われました。

裁判長が「それでは山口さん、どうぞ」と原告の名前を呼んだのが印象的でした。
これまで意見陳述者の名前を呼んで、陳述を促したことはなかったからです。
山口さんは淡々と、しかしはっきり自分がなぜ原発に反対するようになったか、を被爆者原告の立場で、陳述しました。

被爆者原告 山口 裕子 A4版3枚「被爆者としての証言を求められた時には、原子力平和利用とはと語ったが、いつも削除されてきた」

山口さんは事前提出の陳述要旨にはなかった、ロシアのウクライナ侵攻に伴う原発の危険についても触れました。
静まりかえって、山口さんの声のみが響く法廷の中で、傍聴者が陳述要旨を、一斉にめくる音のみが聞こえました。
なお、陳述台のマイクは議事録記録用のマイクで、普段は法廷に拡声しないのですが、この日は拡声用にも使われました。
裁判事務局が配慮してくれたものと思います。

次回期日、次々回期日(仮予約)の確認がおこなわれ、この日の口頭弁論が終了しました。
(なお、双方提出準備書面、山口意見陳述要旨はすでに当Webサイトに掲載されています。)

記者会見・報告会 15時00分~

記者会見・報告会は、午後3時ごろから開始されました。


記者会見・報告会の様子
当初会場(広島弁護士会館2階大会議室)はZOOM会議の基地会場としてのみ使う予定でしたが、3月6日以降広島県に対するコロナまん延防止措置が解除となったこともあり、 厳密には運営せず、来場の原告、応援団・支援者、記者団のかたにも解放することにしました。

ところが当日、ちょうど口頭弁論の時間帯に、広島地検が「河井事件」の被買収者略式起訴を発表したため、司法担当記者団が一斉にそちらにいってしまっため、 記者会見というには寂しい状況となりました。
それでも会場には弁護団を含め約30人、ZOOM参加者は16名(最大)いう状況でした。

司会者の開会宣言のあと記者会見・報告会は次のような流れで進みました。

(1)期日報告
竹森弁護士が、期日の報告をしました。裁判長交代にも触れ、やや早いかも知れない、と感想を述べました。


期日報告をする竹森弁護士

(2)意見陳述再現
山口さんの体調を考え、いつもとは順序を変えて「再現」を先に行いました。山口さんは淡々と陳述再現を行い、会場からの質問に答えていました。


意見陳述を再現する山口裕子さん
後、体調の限界だったようで退席、帰路につきました。期日によく参加していただきました。御礼を申し上げます。

(3)準備書面解説
今回は6通の準備書面を担当の弁護士からそれぞれ短く解説がなされました。
主題は様々ですが、要約していえば、四国電力も規制当局であるはずの原子力規制委員会も、新規制基準を自分に都合のいいように解釈、運用している実態が明らかになったといえましょう。


書面の解説する松岡弁護士(左)と前川弁護士(右)

(4)期日スローガン解説
事務局から、「期日スローガン」である「今こそ司法の正義を」について、スローガンの意味、なぜそのことが今必要なのかについて解説がありました。


コンセプトの解説をする山下さん

(5)質疑応答・討論
質疑応答というより、期日の準備書面の内容や裁判の内容、司法の正義に関する意見がだされ、活発な討論だったように思います。



記者会見・報告会は、予定の午後4時半を少し越えたところで終了、この日の全日程が終了しました。

御案内チラシ



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