被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
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「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました

第28回口頭弁論期日 2022年6月8日

進行協議 14時~ 口頭弁論 14時30分~


 2022年6月8日、本訴第28回口頭弁論期日も無事終了しました。以下はその「期日報告」です。

【期日準備】  事務局は、第28回口頭弁論期日に向けて数回にわたって準備チーム(今回リーダーは小田眞由美)会合を開いて、準備を重ね、期日コンセプトに「人びとを危険な被曝被害に導く日本政府」を、原告意見陳述者に切明千枝子さんを申請、第9陣原告を実施することなどを決め、当日に臨みました。 【会場設営】  記者会見・報告会場は、広島弁護士会館3階大ホール。12時かっきりに会場設営開始しました。  今回はコロナ規制も緩和気味であることもあり、久々に「図書販売コーナー」が復活しました。ZOOM併用でもあり、ZOOM対応機器設置もしました。 【乗込行進】  今回も乗込行進を行いました。高松の尾崎チームは、このためにクジラ2匹(広報・宣伝用横断バルーン)を引き連れての参加。(本当にお疲れ様でした。高松日帰り往復は大変です。)  行進は、第9陣原告提訴の高東征二さん、大杉登さん、弁護団から胡田弁護士と竹森弁護士の4人を先頭に20人程度で行いました。報道陣も4-5人取材にきていて、写真撮影や行進後胡田弁護士から話を聞いていました。 (下記添付写真参照のこと) 【第9陣提訴】  行進後、高東さん、大杉さんのお二人が第9陣提訴原告を代表して広島地裁に書面を提出しました。  弁護団からは竹森弁護士が立ち会い、事務局からは網野沙羅原告団事務局長、山本幸造が付き添いました。(なお添付の原告団内訳表参照)  第9陣提訴は新原告6名と、これまでの中でもっとも規模の小さい提訴ですが、「黒い雨」被爆者が初めて、「伊方原発差止裁判」の原告となった点で意義の大きい提訴となりました。 【傍聴席抽選】  裁判所は6月6日から「コロナ対応」をやめ、傍聴席も通常席数に戻りました。従ってこの日傍聴席は通常通り34席。  ところが傍聴希望者は27人で、結局抽選は行われませんでした。  常に「傍聴席はいっぱいにして裁判所に対して関心が大きいことを見せつける」が、スタート当初の弁護団との約束でしたが、「コロナ対応」に慣れすぎて、私たちの動員力が低下している点は今後の課題でしょう。 【進行協議】  進行協議は、午後2時から209号法廷で開始されました。原告側弁護団は所用で欠席した松岡弁護士を除く全員が参加。  原告側の傍聴者は事務局から哲野と網野が参加しました。被告四国電力はいつもの弁護団が全員参加、被告側からは3名の傍聴者でした。  今回進行協議の最大トピックは裁判体(裁判長、右陪席裁判官、左陪席裁判官)の全面交代です。  新裁判長は大浜寿美裁判官、右陪席は長谷川健太郎裁判官、左陪席は森谷謙太裁判官。本訴の進行状況や裁判官の任期からみて本訴地裁判決を書くのはこの裁判体であることは確実な情勢です。  大浜裁判長の訴訟指揮ぶりはきびきびしている、という印象を持ちました。協議の中心議題は裁判の進行です。  前裁判体から要請のあった、原告・被告双方の主張要点説明書面(要約書面)についても、今回原告側は、準備書面51(立証責任)、準備書面52(水蒸気爆発:被告準備書面30に対し)の2通を提出。  一方被告側弁護団は、被告側は「被告の主張の要約」(6)(司法判断枠組み)、要約(7)(地滑り)、要約(8)(水蒸気爆発)の3通を提出しています。  これで残る書面は被告側の「地震」に関する要約書面1通を残すのみとなりました。  被告側の主任弁護人も、「規制委の『震源を特定せず策定する地震動』に関するルール(「地震ガイド」)が変わったので、それに対応する書面を今作成中」と説明していました。  また大浜裁判長からは「そのルール変更は、従前の地震に関する主張が大幅に変わるものですか?」という質問があり、被告側は大きく変わるものではありません、という回答がありました。  これも次回期日までに提出ということになりました。  そうすると、話題はいつ「人証」(物証に対し人証。つまり証人が口頭弁論期日で証言すること。証拠調べともいう。)が開始できるのかという最終段階の手続きのことになります。  この証拠調べの手続きの鍵を握るのが、原告の提出する「立証計画」です。  胡田弁護士は次々回期日では、立証計画を提出できる見込みと回答していました。  また伊方原発現地での「進行協議」についても、新裁判体に提案がありました。  最後に意見陳述のことを持ち出すと、「ああ、切明千枝子さんですね。」と新裁判長は応じ、意見陳述が認められました。  なお、次回期日は12月7日となりました。また、切明さん不在のため、代読は網野がすることも急きょ決まりました。 【口頭弁論】  口頭弁論は、バー内原告席に5名、バー外原告席に11名、傍聴席に原告側11名、四電側7名、その他5名、記者席に8名という内容で開始されました。前述のように、傍聴席はいっぱいというわけにはいかず、空席がありました。  口頭弁論は、定刻2時半をやや過ぎてはじまりました。これは進行協議終了が2時半近くなったためです。    裁判体が現れて、型通りの提出書面及び証拠書面の確認を行った後、次回期日が12月7日になることが確認され、すぐ原告意見陳述に移りました。  切明さんが高齢(今年93歳)のため、不在で原告団事務局長の網野がバー内原告席に入って代読しました。(原告意見陳述書はこの報告に添付)  網野によれば、代読中、3人の裁判官と担当書記官(今回書記官も交代)は、代読中、ずっと網野に視線を注いでいたとのことです。  網野によれば、このようなこと(裁判体がずっと意見陳述者に視線を注いでいたこと)は初めてではないか、と感想を漏らしていました。 【記者会見・報告会】  記者会見・報告会は、弁護士会館3階大ホールで午後3時を少し過ぎたころ開始されました。  参加者は弁護団5人、原告・支援者・マスコミ関係者を含めて会場に約40人、ZOOM参加者10人の計50人でした。  応援団事務局長の原田二三子によれば、当初に比べると女性の参加者割合いが減少傾向にあるとのことでした。司会は小田眞由美で進められました。  今回は、予定時間1時間半の中に様々な要素が詰め込まれ、質疑応答に避ける時間が少なかった点が挙げられます。  記者会見・報告会の運営の在り方について、今後課題を残した格好です。  また参加のマスコミ関係者も春の人事異動で、全員入れ替わり、ある記者さんによれば、「何をきいていいかわからない状態」で質問も出ませんでした。  今後マスコミ向けに「伊方原発運転差止広島裁判」に関する記者説明会(記者レク)を行う必要がありそうです。  裁判体同様、今回司法担当になった記者さんたちが、私たちの裁判の判決記事(本訴)や決定記事(仮処分)の記事を書くことになりそうだからです。  記者会見・報告会はおおよそ次のような順序で進行しました。 1.第9陣提訴報告 報告担当者は竹森弁護士でした。また当日時点の原告団総数と内訳の報告がありました。また第9陣提訴は次回期日までに本訴と併合が行われる見込みです。 原告第9陣提訴と原告数及びその内訳
2.第28日回口頭弁論期日報告 これも竹森弁護士から、前述の進行協議や口頭弁論の内容がかいつまんで報告されました。 後の質疑応答で出てくるやりとりですが、竹森弁護士は、年明けぐらいから人証がはじまり、来年度中(2023年度中)に結審、判決となるだろうとの見通しを述べました。 3.今回提出準備書面解説(弁護団による) 前述のように弁護団は今回期日に向けて、準備書面51(立証責任)、準備書面52(水蒸気爆発:被告準備書面30に対し)の2通を提出しており、本来解説は2点になるのですが、「立証責任」の執筆者の松岡弁護士が「解説は自分で行う。」とのことで代理解説(代打ち)とはならず、解説は次回回しとなりました。 「水蒸気爆発」に関する解説は、執筆者の胡田弁護士が行いました。 「水蒸気爆発」は、原発裁判の中で広島弁護団が独自に取り上げた争点で、いまや隠れた主要争点といえます。 四国電力が新証拠を準備中というので、ある意味期待をしていたが、フタを空けてみると「核燃料溶融時、キャビティに張った水槽に落ちても水蒸気爆発は起こらない」とする、四電お手盛りのシミュレーションだった、という話、またこの主張の論点は、水蒸気爆発は必ず起きるとか起きないとかという話ではなく、原子力規制委員会の審査に落ち度があるという主張であることなどの説明がありました。 4.原告意見陳述再現(他原告による代読) 原告意見陳述の再現は、原告の嶋末和子が代読しました。(意見陳述要旨は本報告に添付) 5.直近発行パンフレット類紹介 資料コーナーにも置かれた直近パンフレット類3点の紹介が行われました。3点とは今回期日に合わせて発行したチラシ「原発ホントはどうなの?第3回「ウクライナ侵攻」で明らかになった原発の致命的弱点」、パンフレット「ICRP勧告に支配される日本の放射線防護対策 人びとを危険な被曝被害に導く」、それに3月11日に事務局が発効した小冊子「戦後最悪の司法判断の一つ 広島地裁吉岡決定」を指します。紹介役は事務局の井上豊が務めました。 6.会場販売書籍コーナー紹介 久々に開設した書籍コーナーの紹介です。紹介役の原田が特に力を入れたのは、広島県「黒い雨」原爆被爆者の会連絡協議会発行の「内部被曝の告発 黒い雨」です。(販売価格500円) 「黒い雨」裁判原告の証言集で、中身は裁判の証拠としても使えるレベルの信頼性の高い証言集です。内部被曝を考える際に、被曝線量からではなしに、被害の実態に向き合うことの重要性を教えてくれる必読の書だともいえます。 なお当日書籍コーナーの売り上げ金額は11冊10600円でした。 7.新原告決意表明(高東征二さんによる) 新原告高東征二さんによる決表明です。高東さんは、自身の体験を述べるとともに、内部被曝被害者という点では黒い雨原告と福島原発事故被害は全く同じという認識を示し、「被爆地ヒロシマが被曝を拒否する」というスローガンの元に裁判闘争を行う私たちに共鳴して原告になった、とその決意を示しました。(高東決意表明の要旨は本報告に添付) また黒い雨原告らの運動の在り方から私たちが学ぶ点が多いことも事実です。 第9陣原告代表決意表明 高東征二
8.質疑応答・討論 後述。 9.「青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地としない青森県条例制定」署名運動への参加呼びかけ 「青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地としない青森県条例」制定を求める県民の会の呼びかけに応じて、この署名運動に参加することはすでに決定していましたが、広島市民・県民向けのチラシを作成し、今回期日報告会で正式に署名運動に入ることになりました。(チラシはこの報告書に添付)  呼びかけは事務局の佐藤周一が担当しましたが、なし崩し的に青森県を最終処分地とすることは社会正義に反する、もう危険な放射性物質の一極集中はやめよう、と訴え署名運動参加を呼びかけました。 10.「東電福島第一原発過労死裁判」署名運動参加の御礼と結果報告 東電福島第一原発で働く労働者(自動車整備士)が、勤務中に突然死した事件を巡ってご遺族原告が、東京電力の責任を問う訴えの福島高裁判決が近づいた5月の初旬、2週間という短い期間にも関わらず「公正な裁判を求める署名」に多くの方が参加しました。その運動に対する御 礼と結果報告です。(「御礼と結果報告」は本報告に添付) 「イチエフ過労死裁判」署名参加の御礼と報告
 私たちの参加に対して、ご遺族原告が御礼の手紙を福島の「ひだんれん」経由で送ってこられました。ご遺族のお手紙は、参加者みなさんの前で披露されました。(このお手紙公開は現在検討中です。) さて、8の質疑応答討論ですが、短い時間にもかかわらず、ZOOM参加者のコメントを含めて7人の方の討論がありました。(討論内容を動画公開するかどうかは検討中です。) 記者会見・報告会は予定を少しオーバーして午後4時45分ころ終了しました。 なお当日の寄付金は17500円でした。本報告を借りて厚く御礼申し上げます。 以上 期日案内チラシ

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