被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
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「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました

第9回口頭弁論期日 2018年1月31日(水)

14:00~進行協議
14:30~口頭弁論

裁判長:末永雅之裁判官
右陪席:山本由美子裁判官
左陪席:岡村祐衣裁判官

▼御案内チラシ


2018年1月31日 第9回口頭弁論時 提出書面

原告側

準備書面14「外部人為事象」 A4版26枚
意見陳述書 「瀬戸内海を死の海にしてはならない」原告 山下徹 A4版3枚

被告側(四国電力)

準備書面5 A4版34枚
準備書面6 A4版36枚

第9回口頭弁論期日報告

厳しい寒さの続く中、当日午後の広島は、その時だけ陽光溢れるあたたかな日和となりました。
広島地裁への乗り込み行進後、原告の内5名は進行協議へ、その他の原告15名が口頭弁論法廷へ、残る30名が傍聴の抽選会場へ向かいました。
抽選会場では、用意された座席数が傍聴希望者数35名と同数だったため結局、抽選なしで全員が法廷に入り口頭弁論を傍聴できました。

■進行協議
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進行協議は209号法廷で行われました。14時02分に裁判官が入室。
全員起立して迎えると、末永裁判長が「お待たせしました」。
進行協議の内容はおよそ次のようなものでした。

■第1陣と第4陣原告の併合
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第9回口頭弁論で併合するつもりとの末永裁判長の話がありました。
ですからこの進行協議ではまだ併合前ということになります。
4陣で弁護団に参加する村上朋矢代理人弁護士の同席があり、「第4陣で併合する弁護士ですけど(進行協議参加)いいですかね?」と四電側代理人弁護士に村上弁護士が進行協議に同席することの同意を求め、了承を得ました。また、このあとの口頭弁論で第4陣との併合があるが、その際、第4陣原告は第1回目の口頭弁論になるので意見陳述を認めるという話がありました。

■従前から言っていた?
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次に、双方からの提出準備書面の確認となりました。
末永裁判長からちょっと意外な発言が飛び出し、ちょっと驚きました。

「これまで被告側が出された地滑りや津波に関する準備書面は主に3号機に関する主張で、1号機2号機に関する主張も必要だ。従前から言っていたが、3号機とは場所も設備も位置も違う。地震に関してはどれも共通でかまわないが、それ以外は設備も位置も違うのできちんと主張して欲しい。」
と述べました。後で進行協議に出ていた全員に聞くと、みんな驚いていました。
というのも従前もなにも、これまでそんな話はでていなかったと記憶しています。
少なくとも初めて聞く話です。「そんなこといってかな?」と。

仮処分の裁判とは違って、本訴では1号機、2号機、3号機運転差止と廃炉を求めています。
1号機については四電は廃炉を決定したものの、現実に廃炉にいたっていません。
ですから1号機も本訴対象案件です。しかし四電の答弁書や準備書面は、これまで3号機に関する疎明(説明)ばかりです。
1-3号機とも全く同じならこの疎明もあるのかも知れませんが、1、2号機と3号機は同じ加圧水型といっても型式も違えば、運転年数も違います。このままだと、1、2号機については裁判にならないので裁判長は、前述の指摘になったものだと思います。

四電側の弁護士は、確かに指摘通りなので、「わかりました」と答えるしかありません。

■提出準備書面の確認
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今回は原告側から準備書面14「外部人為事象」が提出されています。

次回第10回は原告側から2点準備書面が提出され、被告側からは火山についての反論書面、しかも高裁仮処分異議審で提出された準備書面を流用する形で提出するという話になりました。

さらに第11回口頭弁論期日にて被告は準備書面14の反論を予定し、原告は被告から第11回で提出される反論を受け、第12回で原告側から再反論するとの予定が弁護団側から述べられました。

■第2陣・第3陣原告併合問題
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なお末永裁判長は、第2陣・3陣原告の委任状再提出事件について相当気になっているようで「委任状の集まり具合はどうか」と尋ねてきました。
弁護団は70%強で前回とあまり違っていない、原告団の事務局も手一杯で進んでいないと伝えると、

「そこは原告団事務局ではなく、弁護団のほうでやっていただいて進めてほしい」
「処理は次回までにはなんとかできないか。(第2陣・3陣原告の裁判が一度も口頭弁論が開かれず)止まっているのは異常だと思っている。」

との発言がありました。弁護団は極力努力するといい、進行協議が終わりました。
進行協議が終わったのは14時21分でした。

■異常事態を招いたのは末永裁判長自身
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廊下に出た進行協議出席者は「裁判所も異常事態だと思っていたのか」と苦笑い。

事の発端は第2陣・第3陣原告の委任状提出書類の形式にあります。
第1陣原告の委任状には一人一人の原告に代理人弁護士目録がついた形で提出されました。
第2陣・第3陣原告の委任状は、いわゆる集団訴訟形式で提出されていました。
つまり、すべての委任状のあとに代理人目録を1部つけ、全体を1ファイルの形にしたものです。
これは原告人数が多い時によくある形式です。

裁判所の事務方も不備なしと判断し、確認もスムーズに行われ、第1陣原告と第2陣原告の併合さえ、いったんは行われました。

ところが第1陣と、第2陣・第3陣の委任状の提出の仕方が違うと知った末永裁判長は、

「書類不備である。代理人目録直前の委任状に関しては代理人がついているものとし、それ以外は代理人弁護士がいないものと判断する」

と、いったん行われた併合を取り消しました。
そして第2陣・第3陣原告に対して訴訟委任状の再提出を命じたのです。
第2陣原告と第3陣原告には代理人弁護士が存在しない状態が長く続きました。
従って原告が提訴したものの、一度も口頭弁論が開かれない、しかも1年近くにもわたって店ざらし状態が続いています。
このことを指して末永裁判長は「異常な状態」と表現したものと思われます。

書類不備といっても、委任状ひとつひとつに訴訟代理人目録がついておらず、どの代理人に訴訟を委任したのか不明確だ、というだけのことです。
弁護団からは裁判長立ち会いのもと、訴訟代理人目録をつけていくのはどうかという提案もされましたが、理由も示されず「ダメだし」が行われ、
あくまで訴訟委任状の再提出を命じた、といういきさつがあります。
委任状再提出を原告の方々にお願いしながら、そこにかかる膨大な手間と時間、コストを思いやると、原告団事務局の中には「こうなると、嫌がらせだよね」とのぼやきも出ていました。

再提出には時間がかかります。
委任状再提出があまりに遅いので、進行協議で末永裁判長の「催促」となったものと思います。

■口頭弁論・意見陳述
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口頭弁論は302号法廷で14時30分から行われました。
なお、今回、なんと法廷には暖房が入っておりました。
最初に第4陣の併合がされ、第4陣は初めての訴訟になるので意見陳述を認めるという話がありました。
第4陣原告の山下徹さんが意見陳述を行いました。

意見陳述書 「瀬戸内海を死の海にしてはならない」原告 山下徹 A4版3枚

意見陳述が終わると拍手が起こりました。
末永裁判長は「拍手はやめてくださいね」と一言いいました。
次に進行協議で確認したり、決めた内容が申し渡されました。

準備書面や証拠書類等の確認のあと、次回第10回は3月26日14時から進行協議、14時半から口頭弁論、第11回は6月18日、14時から進行協議、14時半から口頭弁論の予定であることが述べられ、14時46分に口頭弁論は終了しました。

■傍聴者にやさしい?口頭弁論
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今回口頭弁論では前回と違う点がいくつかあります。
1.法廷に暖房が入っていたこと
2.裁判長がマイクを使ったこと
3.進行協議で決まった提出書面の確認や次回期日の予定が述べられたこと

前回は11月の寒い日であるにも関わらず暖房なし、マイクなどの拡声器なしで、傍聴者には裁判長が何をしゃべっているのか全く聞こえず、さらに進行協議で決まったことなどが口頭弁論で詳細に述べられませんでした。

傍聴者からは毎回、批判の声が聞かれていましたが、前回はるばる愛媛県から傍聴にきていた女性がメルマガに傍聴記を寄稿してくれましたのでこれまでの「異様」な口頭弁論の様子が分かると思います。
▽メールマガジン第24号11月15日発行参照のこと
http://saiban.hiroshima-net.org/mm/24_20171115.html

■記者会見・報告会―弁護団解説がわかりやすく好評―
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口頭弁論が早く終了したため、記者会見報告会は15:10~16:40の開催となりました。
弁護団の胡田先生から進行協議及び口頭弁論についての報告、松岡先生から今回の準備書面14「外部人為事象」についての解説がありました。

私たちの弁護団は準備書面を「一般のみなさんにわかりやすく読んで貰うため」を目的として書いてくれています。
今回の準備書面14も分かりやすく好評でした。
準備書面14「外部人為事象」 A4版26枚

伊方原発上空が沖縄の米軍基地から岩国基地に向かう飛行ルートになっており、松山空港も管制権は米軍にあること、加えて非常に頻繁に伊方原発近傍で航空機事故が起きていることが述べられており、伊方原発に関して「外部人為事象」はかなりウェイトを置くべき問題であること
がつまびらかになっています。

質疑応答も様々な角度からなされ充実したものとなりました。
テロ対策でドローンを心配する声が会場からでた際に、伊方原発付近を訪れたことがある同じく会場の原告からは「大丈夫です。伊方原発の敷地境界線の柵にドローン禁止って書いてありますから」と発言があり、会場が笑いの渦となったのは印象的でした。

■活発な質疑応答
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質疑応答中、「裁判の進行は全体からいうとどれくらいのところに来ているか?」という質問がありました。
弁護団の胡田先生から回答があり、
「裁判全体で2~3の山場を想定しているが、今はその最初の山の7~8合目。」
という解説でした。

裁判の進行については、今後、再反論・再々反論に際して検証の修正あるいは外国の専門家の招聘なども行っていきたい、それにはお金がかかるので皆さんの更なる支援をお願いしたい、という話がありました。

また、仮処分の期限9月30日以降も伊方原発を止めておくためには何をすればよいか、という質問に対しては、期限到来前に当然仮処分の申請を決めて行うが、まず「実力をつける」ことが重要だとの回答でした。
具体的には、画期的で新しい論点や視点を付け加えていくこと。
可能性を広げるための必須事項です。

■報告会
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報告会では「伊方原発を止める山口裁判の会」より原告団共同代表の木村則夫さんが光市から駆けつけ、壇上で山口での直近の伊方に対する取組や上関原発についてお話をしていただきました。
山口は仮処分が先行していましたが、2017年12月27日に本案提訴し、これから本格的な本訴の闘いがはじまる旨が報告されました。
▽伊方原発をとめる山口裁判の会
http://ikata-yamaguchisaiban.jp

さらに「福島原発ひろしま訴訟」原告団団長の渡辺美和さん、
「伊方原発をとめる大分裁判の会」の事務局長・小坂正則さんからのメッセージも披露。
志を同じくする他団体との連携を確認しました。
▽福島原発ひろしま訴訟
https://hiroshimafukushima.jimdo.com
▽伊方原発をとめる大分裁判の会
http://ikata-sashitome.e-bungo.jp

本来総会議題・協議となる「脱原発福島ネットワーク」の代表・佐藤和良さんから呼びかけのあった「原子力規制委員会更田豊志委員長への抗議・要請書」
http://fukushimaaction.com/?p=1573
に伊方原発広島裁判原告団として賛同するかどうかについて、この報告会の場で臨時に諮り、団体賛同する承認を得ました。

また、当原告団からも、原子力規制委員会更田豊志委員長のトリチウム海洋放出発言に対する抗議声明を出すことに決定しました。

毎回期日の取組ではカンパを募っていますが、今回¥37,970.のカンパを頂戴いたしました。
ここにご報告の上、大切に使わせていただきます。

第9回口頭弁論写真集


















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