被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
お問い合わせ

「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました

第10回口頭弁論期日 2018年3月26日(月)

14:00~進行協議 14:30~口頭弁論

裁判長:末永雅之裁判官
右陪席:山本由美子裁判官
左陪席:岡村祐衣裁判官

2018年3月26日 第10回口頭弁論時 提出書面

原告側

準備書面15「水蒸気爆発」 A4版26枚
意見陳述書 原告 久保祐子 A4版3枚
まぼろしの意見陳述書 原告 片岡あいら A4版3枚

被告側(四国電力)

準備書面7 A4版23枚

2018年3月26日 本訴第10回口頭弁論期日報告

▼御案内チラシ


※本報告は同種のものに比べ非常識に長くなっています。
 最初に本報告の構成を明示しますので、どこからでもお好きにお読みください。
【本報告の構成】
 ・コンセプトは「未来への責任を果たそう」
 ・盛りだくさんの進行協議
 ・初の試み:地裁前アピール行動
 ・口頭弁論意見陳述に思わず拍手
 ・胡田弁護士による期日報告
 ・2陣・3陣原告の意見陳述披露
 ・被団協佐久間理事長、広大崔准教授の発言
 ・活発な質疑応答・討論


 2018年3月26日、伊方原発広島裁判は第10回口頭弁論期日を迎えました。昨年12月13日広島高等裁判所は、四国電力伊方3号炉に対して、その運転は憲法に保障する人格権侵害の具体的危険性があるとして、松山市の住民及び広島市の住民の人格権を保全するため、四国電力に対して3号炉の運転を差し止める仮処分命令をだしました。しかし本案訴訟(本訴)では別な結論が出るかも知れないとして差止の期限を18年9月30日としました。従ってにわかに本訴にも大きな注目が集まることとなったのです。そういう雰囲気の中で開かれたのが第10回口頭弁論期日でした。

【コンセプトは「未来への責任を果たそう」】


 伊方原発広島裁判事務局も、こうした本訴の重要性を十分に認識し、この期日への取組を象徴するスローガンとして「未来への責任を果たそう」と決め、準備を積み上げてきました。

 当日は晴天、しかも気温もあがり春らしい穏やかな日よりとなりました。
恒例の乗り込み行進は、午後1時40分頃開始で第2陣原告・第3陣原告を先頭に約60人。 すでに午後1時30分からは大旗や「未来への責任を果たそう」など今回テーマを横書きしたバルーン(内々では“クジラ”と呼んでおります)を掲げて今回初の試みとなる「地裁前アピール行動」のグループと合流して賑やかな「地裁乗り込み」となりました。




 賑やかな行進となったのにはもう一つ大きな理由があります。春休みとあって小学生や高校生の参加があったことです。
 この日法廷で意見陳述する予定の神石高原町の久保祐子さんは、後学のためにと高校生の息子さんと参加しましたし、仮処分の抗告人(申立人)の綱崎健太さんは小学生の娘さんと一緒に参加しました。 また2陣原告で意見陳述を予定していた片岡あいらさん(法廷では意見陳述は認められませんでした)は生後4カ月の赤ちゃんを乳母車に乗せて参加しました。


当裁判最年少傍聴者、4カ月の男の子。


【盛りだくさんの進行協議】


 午後2時きっかりに地裁の209号ラウンド法廷で進行協議が開始されました。
 進行協議では、第10回口頭弁論期日で第2陣原告と第3陣原告との併合を行うこと、所与の原告以外の提訴はいったん取り下げること、また第2陣原告と第3陣原告に3名の二重起訴者(松山地裁に申し立てている同様の訴えと重なる提訴原告)がいることなどが指摘されました。
 弁護団は、広島裁判での訴えのうち、伊方原発の運転差止・廃炉の訴えは取り下げるが、もう一つの訴え、すなわち廃炉が完了するまで損害賠償金を支払えという訴えについては取り下げない、と主張し認められました。
 末永裁判長は今後新提訴が続くものだとすれば、今後このような二重起訴者が出ないようにと注意を行い、弁護団は今後厳重注意をすると了承しました。

 また第10回口頭弁論期日では、第3陣原告から意見陳述が了承されました。
 しかしこの時、末永裁判長は、原告意見陳述は裁判の本筋に関係のない内容が多いので、という意味合いの発言をし、原告意見陳述には大きな意義はないことを示唆しました。
 本来原告意見陳述は裁判官の心証形成のために行うもので、裁判の直接証拠を提示したり、原告の主張を疎明したり論証することを目的としたものではありません。
 これまでの意見陳述は、伊方原発や原発一般に対する不信感や不安を原告のそれぞれの個人的な体験や見識、知見に基づいて行われてきました。
 今回の意見陳述も中学生と高校生をもつ母親の立場から、伊方原発の運転を差し止めるよう訴える内容です。
 立場や見方にそれぞれ個性はあるものの、これら一連の意見陳述には「福島原発事故」という厳然たる事実を踏まえてなされている、という共通点があります。
 これら意見陳述が「裁判の本筋には関係ない」とする末永裁判長の見識には、福島原発事故に対する一裁判官としての評価が含まれていて興味深いものがあります。

 さらに進行協議では、四国電力に対して「1号機と2号機に関する疎明がない。本裁判では1号機と2号機も訴えの対象であるにもかかわらず、四国電力は3号機に関する疎明ばかりを行っているので、繰り返し指摘していることだが、早く1号機と2号機固有にかかわる疎明を行うように」という指摘も末永裁判長からありました。

 また、原告側が今回提出した「水蒸気爆発」に関する準備書面に関して末永裁判長から「求釈明」(裁判用語で説明を求める、といった意味合いの言葉)がありました。
 求釈明は「書面に“実機条件”と書かれていたが、この実機条件の絶対温度が説明されていない。書面で説明するように」というものでした。これに対して弁護団側は書面で説明することを約束しました。
 実機条件とは試験条件に対する言葉で、水蒸気爆発実験の条件と実際に運転中の原子炉がメルトダウン・メルトスルーで水蒸気爆発を起こす条件の違いを論じた箇所で、末永裁判長は試験条件の絶対温度は書かれているが、実機条件の温度が書かれていないと指摘したものです。今回で10回目の口頭弁論期日となりますが、恐らく裁判官から原告側に提出した書面の内容に関して求釈明があったのは初めてのことではないでしょうか。

 次回口頭弁論期日は6月18日(月)と決まっていますが、この時までに双方が提出する予定の準備書面の確認が行われたのち、次々回期日(第12回口頭弁論期日)の日程が協議され、なんと8月6日(月)の午後2時から進行協議、午後2時30分から口頭弁論と決定しました。

 また4月以降人事異動で裁判官の一部が交代することが告げられました。

(なお4月6日時点で広島地裁民事第2部の裁判官を検索すると以下のようになっています。
 合議ア係 高島義行、大嶺崇、岡村祐衣
 合議イ係 高島義行、久保田寛也、岡村祐衣
 A係 高島義行、B係 大嶺崇、D係 久保田寛也)

【初の試み:地裁前アピール行動】


 こうして進行協議が終わりましたが、進行協議の最中、一方では傍聴席の抽選が行われていました。予定されている法廷の傍聴席は60席。うち30席は原告席で確保してもらっていましたので、残るは30席。うち9席は記者席に予定されているとみられるのでさらに残りは21席。傍聴席抽選は21席を35人で争うこととなりました。(実際には抽選に外れ補欠となった人も、記者席に空きができたので、傍聴席に滑り込むことができた、と話していました)

 これでいよいよ口頭弁論に入るわけですが、その前に今回初の試みとして行われた「地裁前アピール行動」について触れておきましょう。

 「地裁前アピール行動」は今回口頭弁論期日準備会合の話し合いの中で、一部原告の中から、進行協議・口頭弁論開催時に地裁前で道行く広島市民や裁判所に対してアピール行動をしたいという提案がなされて、討議の結果「やろう」ということになり実現したものです。実際にどの程度の効果があるのかは全くの未知数ですが、裁判所にとって一番身近な世論は私たち原告やその支援者、あるいは広く道行く広島市民であり、その意志表示がもっとも大切という判断で実施に踏み切ったものです。
 アピール行動は12時30分から地裁前で開始、弁護士会館から出てきた原告らの「地裁乗り込み行進」と合流して盛り上がり、そのまま、大型バルーン(クジラと呼ばれています)や高裁決定の際の河合弘之弁護士による勝利宣言の写真を写し取った大旗などを掲げて地裁前に止まって口頭弁論期日中アピール行動をしました。常時5名が担当しました。報告によれば、道行く市民4人に口頭弁論が開かれていることの説明や伊方原発に関する説明をし、市民からは意見表明もあったとのことです。また道行く遠くからの市民の中には手を振ってくれる人もいて、大いに励まされたということです。
 私たちは確かに裁判闘争をしていますが、裁判至上主義ではなく、原発を現実的に止める手段として裁判が有効と判断しており、いわば裁判は「手段」です。最終的な目的は「原発に能動的・積極的な反対行動をとる市民」の世論喚起にあるわけで、今回の「地裁前アピール行動」はその目的に合致した試みとなりました。

「国策で人を滅ぼす原子力」「まず原子力を止めろ!必ず起きる過酷事故」と書かれたバルーン(クジラ)

「みんなで注目”裁判所”」の上のバルーンには、裁判所に向けて今回のコンセプト「未来への責任を果たそう」の文字が掲げられていました。


【口頭弁論意見陳述に思わず拍手】


 さて第10回口頭弁論は進行協議終了後10分の移動時間を挟んで3階の法廷で開催されました。冒頭、広島県神石高原町油木地区に住む第3陣原告の久保祐子さんの意見陳述から始まりました。
意見陳述書 原告 久保祐子 A4版3枚

 久保さんは、アフリカ在住時に現地の人などから福島原発事故による放射能汚染への懸念などを聞いていたが、日本に戻ってくると事故などまるでなかったかのように原発再稼働に拍車がかかっている日本の状況をどこかおかしいと感じ、原発の危険に関する懸念を口にしてみると、それまで関心がないと思われていた隣人たちも実は原発について不安をもっている事がわかり、市民運動グループをスタートさせたこと、今現実的に原発を止める手段は裁判闘争だと気がつき原告になったこと、中学生・高校生の母親として将来世代のために、今戦わなければならないと決意したことなどを切々と訴えました。
 陳述が終わると傍聴席から思わず拍手がでましたが、末永裁判長の「拍手はやめてくださいね」と注意が入り再び静まりかえりました。
 傍聴している女性の中には目頭を押さえている女性もいました。母親としての切々たる意見陳述に共感を覚えたものだと思います。

 この日法廷内原告席には、原告団長の堀江壯さん、副団長の伊藤正雄さん、2陣原告からは片岡あいらさん、3陣原告からは岡本秀子さん、そして久保さんの5人が座っていました。 片岡さんは生後4ヶ月の赤ちゃんを連れての入場となりましたが、赤ちゃんは泣いたわけではないのに、早々に法廷の事務官から法廷外に出すよう指示されました。 事務局はこんなこともあろうかと介添え役の女性を依頼していましたので、赤ちゃんはこの女性におとなしく抱かれて、法廷外の廊下へ。 口頭弁論が始まるころには女性の腕の中でスヤスヤと眠っていました。
 廊下といえば四国電力の社員とおぼしき男性の姿が多く見られました。みなさん抽選に外れたものと見えます。

 さらに春休みということもあって、満員の傍聴席には高校生や中学生、小学生の姿もありました。みんないい経験になったと思います。
 口頭弁論では、原告・被告側双方の準備書面及び証拠書面の確認、次回口頭弁論までに用意する書面の確認、次回口頭弁論期日の確認、次々回口頭弁論期日(前述のように8月6日)の確認があって、あっけなく終わってしまいました。


【胡田弁護士による期日報告】


 口頭弁論が終わると、今度は参加者一同と地裁前アピール行動に参加した人たちが広島弁護士会館3階大ホールに集まって記者会見・報告会が始まります。
 裁判事務局は、3階大ホールを2つに仕切り、参加者席とパネル展示会場に設定して、記者会見・報告会に備えています。


会場内に設置された資料パネル展。
手前は恒例になった、ご参加いただいた方に一息ついてもらうための「お茶・お菓子コーナー」。

記者会見・報告会会場全体

 記者会見・報告会は午後3時15分ごろスタート。記者さんの出席は9社9人。
 (ただしテレビカメラクルーのスタッフは人数に入れていない)

 原告団事務局長の小田眞由美さんから、第10回口頭弁論期日で第2陣原告と第3陣原告の併合が無事行われたこと、これで第1陣から第4陣までの原告が一つの訴訟にまとまったこと、これからも第5陣、第6陣と提訴を続けること、目標とする原告は1万人であることなどが報告されました。

 口頭弁論期日に関する解説は、胡田敢弁護士の担当。胡田弁護士は今回期日に至ったいきさつを概観し、今回期日では(メルトダウン・メルトスルー時原子炉内で発生するだろう)「水蒸気爆発」の危険に関する準備書面を提出したこと、原告側の主張書面は恐らく次々回で予定されている「安全論」で一通り出そろい、後は四国電力側への反論、さらには再反論へと移行していくだろうと見通しを述べました。


解説する胡田弁護士

 注目の火山事象に関する四国電力の主張は、今回口頭弁論期日では提出されず、次回に持ち越されましたので、それに対する原告側の反論は次々回以降ということになります。
 続いて胡田弁護士は今回提出書面「水蒸気爆発」の解説に移ります。
準備書面15「水蒸気爆発」 A4版26枚

 詳しくは書面を読んでいただきたいのですが、要点をいえば、メルトダウン時の対策として四国電力が原子炉底部(キャビティ)に水を張って、メルトダウンした核燃料を冷却し、原子炉建屋基部コンクリート構造物の貫通を防止するとする対策は、かえって破局的水蒸気爆発を誘引することになりこの対策は不当である、またこの対策を妥当なものだとする原子力規制委員会の規則及びその審査の在り方も不当である、というものです。

 水蒸気爆発の破局的被害の危険性は、広く原子力産業界以外の一般産業界で共有されています。さらにその対策としては例え雨水一滴といえど、水分は徹底的に排除するというものです。原子力産業界だけが、水蒸気爆発に関する知見が共有されていない、これはおかしなことです。準備書面はこの点を鋭く衝いた内容となっています。

【2陣・3陣原告の意見陳述披露】


 胡田弁護士の解説に続いて第3陣原告の久保さんが、法廷での意見陳述を再現、さらに法廷での意見陳述は認められませでしたが第2陣原告を代表して片岡あいらさんが用意してきた意見陳述を披露しました。 片岡さんの意見陳述もじっくり読んでいただきたいのですが、子どもを生んだばかりの母親の立場から、「この子にはなんの責任もない。この子たちの将来は私たちが責任をもって安全を保障しなければならない。それが私たちが未来に責任を果たすことだ」とする内容でした。

意見陳述書 原告 久保祐子 A4版3枚
まぼろしの意見陳述書 原告 片岡あいら A4版3枚


久保祐子さんの意見陳述の再現

法廷で意見陳述をした第3陣原告の久保祐子さんと、まぼろしの意見陳述を披露した第2陣原告の片岡あいらさん。

【被団協佐久間理事長、広大崔准教授の発言】


 続いて参加者の中から、広島県被爆者団体連絡協議会(広島県被団協)理事長の佐久間邦彦さんに司会者が特に発言を求めました。壇上に立った佐久間さんは、被団協として福島事故被害者の人たちといろいろな交流を持っている、その交流の中からさまざまなことを感じている、広島原爆の被爆者として同じ核被害をもたらす原発事故は二度と起こってはならない、その立場から原発はなくしていかなければならない、とスピーチしました。


広島県被爆者団体連絡協議会(広島県被団協)理事長の佐久間邦彦さん

 同じく参加者の中で第一陣原告で広島大学准教授(大学院総合科学研究科 地域研究講座)の崔真碩(チェ・ジンソク)さんも発言を求められ、崔さんは大要次のように発言しました。 
 「久保さんの意見陳述に一字一句共感を覚える。と同時に裁判所と私たちの間に大きな落差を感じた。
 大学で学生たちに原発の話をするが、多くの学生は興味を示さない。しかし、福島原発事故がトラウマのように心に残っていることを感じる。なにも関心がないように見えて、トラウマ、福島ショックを抱えている今の若者たち。“気付き”が必要だ。当たり前、当然のように核廃絶の方向に導いてあげる必要がある。それには一つは裁判ではないだろうか?憲法はちゃんと生きている、司法は生きている。民主主義の最後の砦である憲法と司法が生きていることをちゃんと見せつけてあげないといけない。四国電力伊方3号機にいったん運転停止を命じたこの裁判は、いろんな意味で大切な裁判だと思う。 私たちに諦めるという選択肢はないわけで、みなさん、末永く頑張っていきましょう。」

広島大学准教授(大学院総合科学研究科 地域研究講座)の崔真碩(チェ・ジンソク)さん

【活発な質疑応答・討論】

 会はその後自然と質疑応答に入っていきます。
 記者団からは「高裁決定についてどのように捉えているか」という質問が出、胡田弁護士は「広島高裁決定は司法判断の枠組みをきっちり持っている。 その枠組みをしっかり守った上で、住民勝訴の決定を出した点が重要だと思っている」と回答しました。

 さらに参加者からは前回口頭弁論期日に提出した「人為事象」にも触れ、「9.11に代表されるようなテロなど故意の航空機衝突については、規制基準ではどのような定めになっているのか?」との質問も出てきて、松岡幸輝弁護士は「事実上なんの定めもない。そのような事象は想定していないといって過言ではない。そもそも日本では、テロ軍団に原発が襲われるという事態は想定していない。事実上軍隊にしっかり守られているアメリカの原発との大きな違いだ。」と述べました。

 また「3号機はウラン・プルトニウム混合燃料(MOX燃料)を使用していますよね。これまでの水蒸気爆発の実験では、すべて前提がウラン燃料ということでした。MOX燃料の場合の水蒸気爆発はどのような条件で発生するのでしょうか?」という質問に対しては、胡田弁護士は「重要な論点だ。これから鋭意勉強、研究させて欲しい」と答えていました。

 またこれに関連して「準備書面を読むと、MCCI対策(溶融炉心―コンクリート相互作用への対策。MCCIが進展すると圧力容器や格納容器が破局的損壊を受けるとしてもっとも警戒されている事象)としてわざわざ水蒸気爆発を誘発するような対策を規制基準で容認するのは、一体規制委や原子力業界はどのような考え方から?」という質問が出ました。

 これに対して胡田弁護士は、対策として準備書面にも提示したようにコア・キャッチャーを設けるなどロシアやヨーロッパではさまざまな対策がとられようとしている。ところが日本ではキャビティに水を張るなどといった安易な方法をとってかえって水蒸気爆発を誘発するような対策がとられている、準備書面でも引用したように、更田委員長も内心では水蒸気爆発の危険を感じながらも結局はこの方法を追認している、という意味合いのことを述べたあと、「理由は簡単ですよ。ただ水をはるだけですからね、コストはかからない。つまり対策として安価だからというに過ぎません。」と答え、これには参加者一同言葉を失いました。

 質疑応答を続けているうち、あっという間に時間が過ぎてしまい、時間切れで質疑応答打ち切り。

 続いて事務局の網野沙羅さんが、原告団が広島高裁決定を受けて「放射性物質の被害によって広島市民の生命・身体・財産が損なわれることのないよう広島市においてあらゆる施策を防災計画に盛り込むことを求める」申し入れを、広島市長に対して行ったことを報告、さらに6月の広島市議会へ向けて同趣旨の請願を提出するので、共同請願人になっていただくよう署名に賛同・協力して欲しいという呼びかけをしました。請願活動・共同請願人署名開始はこの日をもってスタートしました。

 最後は伊藤副団長が閉会の挨拶をしたのち、全員で「We Shall overcome」を合唱して午後5時頃散会しました。


閉会の挨拶をする伊藤副団長


「世界の命=広島の心を歌おうよ」のメンバーで、原告でもある渡辺朝香さんの主導でみんなで「We Shall overcome」を歌いました。

(哲野イサク記)




ページのトップへ戻る