被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
お問い合わせ

「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました



伊方原発3号機:16年4月5日使用前検査開始


 伊方原発3号機の使用前検査が2016年4月5日から開始されました。同3号機は3月23日に工事計画が認可され、3月24日に使用前検査を四国電力が原子力規制委員会に申請、3月25日にこの申請が受理されていました。
(http://www.nsr.go.jp/disclosure/law/INRF/00000849.html)

 申請書によれば、四国電力は3号機の「構造、強度又は漏洩に係わる試験をすることができる状態になった時」の検査(いわゆる一号検査)開始日を16年4月5日としていますので、この申請書通りに使用前検査が開始されたことになります。

 原子力規制委員会の規制基準適合性審査では、審査最終合格のためには、
 1.原子炉設置変更許可
 2.工事計画(変更)認可
 3.保安規定変更認可
 の3つの許認可を取得しなければなりません。さらに3つの許認可通りの状態に3号機が整備されているかどうかの検査実施を法令は義務づけています。これが「使用前検査」です。

 また使用前検査は、工事計画認可を取得していなければ検査申請そのものができません。

 伊方原発3号機の場合は、原子炉設置変更許可を2015年7月15日に取得(この時マスコミは一斉に“伊方原発3号機規制基準適合性審査合格”、あるいは“事実上の合格”と報道しましたが、実際には原子炉設置変更許可を取得したに過ぎません)、その後8ヶ月後の16年3月23日に工事計画が認可され、今回の使用前検査開始となったものです。

 今後は申請書に従っていえば、二号検査・三号検査を6月までに行い、7月から四号検査、8月には使用前検査の総合検査に相当する五号検査を実施しようという計画のようです。

 使用前検査は大きく「起動前検査」と「起動後検査」に分かれます。起動後検査は「原子炉」を実際に起動させて、「安定」して原子炉が動作し安定的に定格の電気出力ができるかどうかを検査します。起動後検査に合格すると原子力規制委員会から文書による「合格証」が交付され、晴れて原子力規制委員会の規制基準適合性審査の全過程が終了ということになります。

 この申請書では、「申請に係わる発電用原子炉施設の使用の開始の予定時期」を「平成28年8月」としているので、この時から「起動後検査」開始を計画しているのだな、とわかります。「起動前検査」の最終工程が「五号検査」であり、五号検査を終了しないと「起動後検査」に入れません。

 起動後検査は九州電力川内原発のケースでいえば、約1ヶ月かかっていますので、このまま行くと伊方3号機の再稼働は早くて9月はじめということになります。

 ここまで記事をお読みになった方の中には混乱を起こされている方も多いと思います。というのはマスコミが「伊方3号機の再稼働は7月末ごろ」と報じているからです。

 実際にマスコミ報道で「再稼働」と呼んでいる工程は、原子炉を起動して「起動後検査」に入る工程を指しています。ところが私たちが「再稼働」と呼んでいるのは、伊方原発が規制基準適合性審査の全工程を終了して合格証を取得し、通常営業運転に入ることを指しています。つまりマスコミ報道にばかり依存していると、「起動後検査」で原子炉起動をすることを「再稼働」と思い込まされる仕掛けになっているのです。

(哲野)


2016年4月5日伊方3号機使用前検査申請書


ページのトップへ戻る