被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
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「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました


伊方原発広島裁判メールマガジン予告号2016年3月4日


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 伊方原発・広島裁判メールマガジン予告号
 2/28原告団結成集会が行われました。
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今月3月11日にいよいよ『伊方原発運転差止広島裁判』提訴日となっていますが、これに伴いまして伊方原発運転差止広島裁判のメールマガジンを創刊いたします。
詳細は現在のところ未定なものもありますが、今回はその助走というかウォーミングアップといたしまして予告号としてみなさまにお伝え致したいと思います。

申し遅れましたが、私は原告団事務局の大歳 努(おおとし つとむ)といいます。
今回より伊方原発運転差止広島裁判メルマガ編集部の編集を担当させていただくことになりました。皆様よろしくお願い致します。
伊方原発運転差止広島裁判メルマガ編集部にはもうひとり、原告団事務局員でもある女性スタッフの重広 麻緒(しげひろ あさお)がおります。
当面この二人が中心となって執筆・編集作業を行うことになりますが、お恥ずかしながら二人ともこうした作業に関してはドが付くシロウトでございますが故に皆様からのご協力、ご指導のほど、何卒宜しくお願い致します。

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今日の見出し
 ■2/28原告団結成集会が行われました。
 ■堀江 壮原告団長挨拶「なぜ私たちは提訴するのか」
 ■原田二三子応援団代表プレゼンテーション「伊方原発の危険と私たちの暮らし」
 ■原告団への質疑
 ■弁護団から挨拶と提訴説明
 ■弁護団への質疑
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■2/28原告団結成集会が行われました。
2/28原告団結成集会が広島弁護士会館で行われ、盛会のうち終わりました。これも応援してくださっている皆様のおかげです。厚く御礼申し上げます。
来場の方の中にははるばる滋賀からやってきてくださった方もいらっしゃいました。
私としては、3/11の提訴が本番となるので、今回の結成集会はプレオープンのようなものになるだろうと思いましたが、報道関係の方々も予想以上にお集まり下さり、早くも本番に突入した様相となりました。

司会を務める応援団事務局長・弓場則子から開会のアナウンスがされ、最初に原告団長・堀江 壮の挨拶とプレゼンテーション「なぜ私たちは提訴するのか」から会はスタートしました。

▽レジュメ
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20160228_rejyume.pdf
■堀江 壮原告団長挨拶「なぜ私たちは提訴するのか」
▽原告団長堀江壯プレゼンテーション資料
「なぜ私たちは提訴するのか」
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20160228_horie.pdf
我々の原告団の団長である堀江は幼少期に広島原爆によって被爆した経験を持ち、実父は投下の六日後に亡くしております。
実姉は50代、実兄は60代まで生きることができたようですが、二人とも癌になり、また団長自身も悪性リンパ腫を患っております。
そうした被爆体験を持つ団長がなぜ原発を容認することができないかを具体的な事例を挙げながら説明を行いました。
「(現在の日本の状況また世界の状況を知った上で、)行動を起こさないことは次世代の人に対して許されるだろうか?」
「(戦争の)悲惨さを訴えるだけでは平和はやってこない」

あの時代を経験した団長は次世代への責任を強く感じております。
次に応援団の代表である原田二三子のプレゼンテーション「伊方原発の危険と私たちの暮らし」が発表されました。

■原田二三子応援団長プレゼンテーション「伊方原発の危険と私たちの暮らし」
▽応援団代表原田二三子プレゼンテーション資料
「伊方原発の危険と私たちの命と暮らし」
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20160228_harada.pdf
原田代表のプレゼンテーションは伊方原発の運転リスクに関して、堀江団長の説明をさらに詳細に、具体的な数字や地図・グラフを用いて説明を行いました。
・もし伊方原発が福島事故並みの過酷事故を起こしたら広島市も1週間に4mSvの被爆状況になること
・その過酷事故の可能性は、30年以内に確実に起こると言われている南海トラフ大地震と、伊方原発自体が中央構造線という巨大な断層のほぼ真上に位置している事を考えれば、それほど低くはないということ
・加圧水原発である伊方原発は、通常運転によって危険な物質であるトリチウムを大量に環境中に放出すること

トリチウムの危険についての説明で使用した、森永徹先生の資料『玄海原発と白血病』では、加圧水型原発は、沸騰水型原発と比較しても、白血病と循環器系の疾病を統計的に有意に増加していることが示されていました。この発表がされたとき弁護士の方々含めて会場内には強い注目が寄せられました。

■原告団への質疑
原田代表のプレゼンテーションの後、質疑応答に入りました。会場からは「トリチウムに規制値はないのか?それをクリアーしているのか?」という質問が出ました。
これにたいしては「規制値というものはないが、管理値というものがある。これは事業者である電力会社が設定するもので特に人体影響を考慮して設定されたものではない」という回答となっています。
トリチウムに関しては我々メルマガ編集部でも特集を組みたいと考えております。
会場からはほかにも
「原発そのものが絶対に許せない。広島の経験から“核は絶対に許せない、核は絶対に悪である“ということを突き詰めるとそうなってくると思います。

一体どこに責任があるのか?政府か、電力会社か、報道か、司法か、つまり原発ムラというものが責任追求の対象になってくると思います。一緒になって戦いましょう。」
という、熱い激励のコメントがあると会場から大きな拍手が起こりました。

■弁護団から挨拶と提訴説明
次に弁護団を代表して、胡田 敢(えびすだ かん)弁護士のほうから弁護団のメンバーの紹介がありました。ご出席いただいた弁護士の方々は
 胡田 敢  弁護士
 能勢 顕男 弁護士
 前川 哲明 弁護士
 松岡 幸輝 弁護士
 竹森 雅泰 弁護士
 甫守 一樹 弁護士
です。続いて裁判における本案と仮処分の違いについて説明がありました。

(胡田弁護士):「いわゆる裁判であるとか、訴訟であるとか言われているものは、本案のほうであります。訴状を出して第一回期日が決まって、1~2月ごとに弁論期日が決まって審議が深まっていき、やがて判決に至る。
これが本案だとご理解ください。もう一つ仮処分というものは(本案はどうしても長くかかる、だからこれに対して緊急性があるので、仮に差し止めておこう)というのが仮処分であります。
最もこれほどの重大事件ですから、仮処分が必ずしも迅速になるかといえばそうはならないだろうけど本案よりかは早いということと、もうひとつ、本案のほうは控訴されると執行力がありませんので、仮に差し止めの判決が出てもすぐには止まらないのです。
これに対して仮処分の方は、(止めなさい)という判決が出れば、すぐにその場で止まります。そういう強い効力がありますので、本案と仮処分の二つをやろうということで3/11日を期日として我々は準備をしております。
最も本案と仮処分の両方をやろうとすると、それはそれなりに大変な負担になりますので、広島の弁護団は基本的には本案のほうに集中する、そして仮処分の方は各地の訴訟で経験豊富な東京の弁護団が中心となってやるようにしておりますが、ともに協力し合ってやろうしております。」

東京の弁護団からは、甫守(ほもり)弁護士が駆けつけてくださいました。
(甫守弁護士):「東京のほうから参りました甫守といいます。私のほうでは主に仮処分を担当するわけですが、仮処分の方では迅速な決定を下すということで、これまでの例で言いますと一審までに8ヶ月程度を目安に見ております。
通常は弁護士の方からは裁判の見通しから説明しなくてはなりませんが、今までの民事の仮処分で原発を止めようとしたことは2回あって、高浜と川内の裁判ですが、高浜のほうは、あの樋口英明裁判長が福井地裁にいらっしゃったことで勝ったわけですが、川内のほうはなかなか残念な結果になってしまいまた。
それ以外にも大津地裁のほうでは(内容では勝っているのだけれど結論では負けた)という、何とも言えないような結論になりまして、今まで勝った実績というのは一回しかないので、これは勝ちますね、と言えるような状況ではないということは残念ながら申し上げなければいけません。
しかし本案をやる弁護団の方々を前に言いにくいのですが、本案をやると最高裁に行くまで何年もかかるので、やっている途中に確実に再稼働されてしまう、その間に南海トラフ大地震が来たらどうするのだ、ということになりますので、やる以上は絶対勝つ必要があると考えています。」

■弁護団への質疑
弁護団への質疑は、訴訟方針についての議論になりました。
もし過酷事故がおこったとき広島でも重大な被害が出るという点、そして福井地裁の樋口判決で出た『人格権の侵害』が、訴訟方針の中心になることは当然のこととして、通常運転における被曝問題をどうあつかうか、またエネルギー・経済問題としての原発問題を、ここに盛り込むべきか、盛り込むならばどういうかたちがいいのかについて議論が起こりました。
これらに関しては協議が継続中なので、詳細は後日の報告とさせてください。

他にも会場からは「放射能や被曝を語る人が疎外されてしまっている」「使用済み核燃料の問題はどうなる?」という発言が出て、これらに関しては別の発言者の方からも「訴訟とそれ以外の政治的イシューは切り離して考えるべきだ」という鋭い指摘もされました。
こうしたやり取りの中から胡田弁護士は、私たちにとって重要な提言となる発言を頂きましたので紹介します。

(胡田弁護士):「世論を啓蒙するのは原告団・応援団の役割です。
裁判というイベントが、幾年か渡って何回もあるわけです。それを皆さんが大きなチャンスというか機会にして、世論に働きかける、それが力になって我々(弁護団)も訴訟活動が出来る。
そこで、やっていく上で(自然科学分野の)専門家の援助はどうしても必要です。それにはお金も必要です。それも原告団・応援団の役割です。」

私たちメルマガ編集部は、この結成集会が開かれる直前まで胡田弁護士のインタビューを1時間に渡って行っていました。
そこでも、胡田弁護士から同じ趣旨の発言をきいております。
胡田弁護士は上関の四代宮司解任事件の入会権裁判の担当弁護士でもあり、このときの一審の裁判官はなんと、現在は弁護士をやってらっしゃる本弁護団の能勢弁護士でした。
この事件は最高裁まで行き、最終的には僅差で敗れましたが、この事件を含め上関原発では様々な運動が起こり、結果的に原発は未だ建設されていません。
胡田弁護士は、裁判と反対運動が一体となって上関原発の建設が食い止められていることを現場で見ている当事者のお一人でもあるわけです。

次回、メルマガの創刊号はこの結成集会に我々が取材した胡田弁護士のインタビューを掲載する予定としています。



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伊方原発運転差止広島裁判
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◆伊方原発広島裁判メルマガ編集部◆
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