「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました
大津地裁(山本裁判長)が高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分を認めました。
昨日3/9(水)大津地裁(山本裁判長)が高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分を認めました。これで、福島事故後の原発の運転差し止め仮処分申し立てで原告側が勝利した例は、昨年の樋口判決と本件の2件ということになりますが、運転中の原発を止めた例は本裁判が初めてということになります。
本裁判と樋口判決の違いは、樋口判決の趣旨が“経済合理性と人格権は比較することができない。原発運転は人格権の侵害に当たる。”というものだったことに対して、本裁判は、電力会社の姿勢や、原子力規制委員会の新規制基準自体に裁判所が疑問・不信感を持ったというものです。
強い追い風が吹き始めています。
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伊方原発・広島裁判メールマガジン 創刊号
胡田弁護氏インタビュー(裁判と市民運動)
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2016年3月11日、東日本大震災そして福島第一原発事故から5周年となる明日はいよいよ「伊方原発運転差止広島裁判」提訴日です。
この運動を広げていけるよう、弁護団・原告団・応援団・支持者の皆様と事務局員が足並みを揃えるべく
弁護団の先生方がこの裁判に対しどのような考えを持っておられるのか
事務局の我々のみならずこの裁判に関わる方々、皆さまも知りたいところだと思い、
弁護団代表の胡田弁護士にインタビューを行いました。
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今日の見出し
■明日3/11(金)は「伊方原発運転差止広島裁判」提訴日となります。
■胡田弁護氏インタビュー(裁判と市民運動)
■インタビューを終えて(編集長感想)
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■明日3/11(金)は「伊方原発運転差止広島裁判」提訴日となります。2016年3月11日は提訴日です。
広島地裁にお集まり下さい。
3.11には是非、一緒に広島地裁に足を運びましょう。
ヒロシマが被曝を拒否する、初めての歴史的裁判になります。
そのあとの報告会や交流会にもご参加ください。
そして、市民同士が意見交換しましょう。
お近くの方や身の周りのかたも是非お誘い下さい。
この裁判に興味のある方でしたらどなたでもご参加できます。
(四国電力の社長だって参加できます)
▼3.11案内状(PDF)
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20160311.pdf
■胡田弁護氏インタビュー(裁判と市民運動)
原告団結成集会があった2/28(土)の開会直前の正午より
市内某所の胡田法律事務所にお邪魔して、胡田弁護士からお話を伺うことが出来ました。
以下にその様子をお伝えします。
編集部(以下略):この裁判を引き受けた理由をお聞かせください。
胡田弁護士(以下略):「そんなに深く、難しくは考えませんでしたよ。
弁護士の使命は基本的人権の擁護と社会的正義の実現です。それに尽きます。
基本的にはそういった依頼は断りませんし、今までも引き受けてきました。」
―正直なところこういった裁判は弁護士の利益があまりない裁判だと思うのですが、
「先程もお答えしたとおり、弁護士の使命は基本的人権の擁護と社会正義の実現です。
利益があるかないかで事件を引き受けるかどうかを決めません。
そういう考えの弁護士は多いですよ。
ただ、この業界の人員が増えて弁護士ひとりあたりが
受け持つ事件、つまり仕事が減ってきています。
ですから、こういった事件に注力することが厳しくなってきているのが現実です。
この現状は若い弁護士にとってとても切実な問題ですね。」
―3・11前と3・11後の原発に対する考え方は変わりましたか?
「私自身の原発に対する考えは3・11前も後も変わっていません。
危険で高くつく、ない方がいい、最初からそう思っていました。
3・11前から上関原発関連の事件に携わってきました。
事件を通して自分と原発との距離が縮まっていくのは感じていました。
ですから、今回の裁判の依頼が来た時も全く違和感はありませんでしたよ。」
―先生は、上関の裁判にも関わってきた経験がおありですよね?
「上関の裁判は3つのグループがありました。
ひとつは、祝島の漁業権について、つまり行政処分をめぐる裁判、ひとつは自然環境について争う裁判、
もう一つが、私が関わった裁判で四代正八幡宮の入会権(いりあいけん)をめぐる裁判です。」
上関原発(wikipediaより)
https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E4%B8%8A%E9%96%A2%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80&redirect=no
「私が関わった裁判は6審まで続き、7年間かかりました。
この種の裁判はどうしてもこれぐらいかかります。
直ぐに終わるということは負けるということなんですね。もつれて、もつれて、やっと勝算が出てくる、そういうものです。
私の関わった裁判も最終的には負けましたよ。
だけど反対運動がなかったら上関にガンガン原発が建てられていたところです。
裁判というのは運動の核になりうるのでそういう意味では目標は達せられたと言えます。」
―私は裁判に馴染みがなくて、裁判が始まると市民運動の手から離れていってしまうようで
【裁判と運動の一体化】にまだピンときていないのですが、具体的に詳しくお聞かせください。
「テーマにもよるのですが、市民運動的な観点からいうと、
特にこの裁判は存分に活用していただきたいですね。
裁判は長期間に渡ります。長く続くことが良いか悪いかは別として、
一ヶ月、二ヶ月この種の事件だと二ヶ月単位になるかもしれない、
それくらいの周期で期日が訪れ裁判が動く、それが市民運動のイベントになるんです。
その都度、反原発の志がある人が集まって説明会・報告会をする、
すると裁判の仕組み・原発関連情報・日本の社会構造などへの理解が深まっていく、
飽きて離れて行ってしまう人もいるかもしれませんが、興味を持った人が膨らんでいくこともある。
それが1年、2年、3年と続いていくんです。
これだけ長く続く運動は少ないです。
イベントというものはすごく苦労して作らなければならない。
そういった観点からいうと訴訟を利用しない手はないですよ。
全国にいる、原発に対して不安を抱いたり懐疑的になっている人たちが
ニュース・新聞などいろんな媒体を介して情報が来なかったら
『自分ひとりがこんなことを思っているのか』となるけど、
それはほとんど“死んだ状態”といっていいわけですよ。
しかし裁判のたびに、いろんな媒体から情報が出ていれば
そして『あぁ、そう思っているのは自分だけではなかったんだ』と勇気付けられる、話題になる。
そうしたら世論が動いて、世論に押されて政治が動いて、原発に対して批判的な声が高まり慎重になって、
体制側が反原発に変わることを余儀なくされる。
そこまで行けば、裁判所で良い判決が出るかもしれませんね。
運動を続けることで抑止効果になるし、変わることへの希望にもなります。」
―裁判官は世論に耳を傾けてくれますかね?
「今回のテーマは国策なのでね、世論では左右されないでしょう。
樋口裁判長のような方はほんの一握りですよ。
世論が影響する事件というのは凄惨な殺人事件などで
加害者への罰則を重くするべきだとかいう声には影響されますね。」
―【裁判と運動の一体化】を進める上で原告団・応援団・支持者・我々事務局に対して
思うことがあればお聞かせください。
積極的に参加して、形にして出していってくれたらいいなぁ、と思います。
ですから…、それはあなた方(事務局)の仕事(企画・発信など)ですよ?
―はい、そうですね!今やっているインタビューもその一環ですね!
では早速、続けます笑
胡田先生はこの裁判をどんな方向で進めていきたいですか?
「この手の裁判は専門家の助けを得にくいんです。
例えば医療問題や建築紛争で、助言してくれるお医者さん、建築士など
サポートしてくれる専門家が必要ですが、探すのに大変苦労します。
ですが今回の事件に関しては、
やっぱりみんなフクシマを見てますから、あれはやっぱりとんでもないものなんだと、非常に強い、そして専門的に批判的な意見を述べている方々が相当いますので、その方々の支援を我々は受けることができますね。
今まで原発に携わってきた高度に専門的な知識を持った方々からも支援が得られると思います。
このあいだも専門家の方に事務所に来て頂いてレクチャーを受けたばかりですよ。
そして原発問題は国際的な問題です。
日本の裁判所では、今ある知見を基準に判断をします。
しかし、その知見は国際的なレベルから見たらどうなのか?
国内の専門家から支援を受けながらそこまで進めたなら、海外の専門家を証人として招く、とか出来たらいいと思います。
しかし、証人を採用するのは裁判所ですから、その必要があるな、
と思わせるところまで行かなきゃならない。
実現すれば、マスコミも注目するだろうし、反原発運動も盛り上がるでしょうね。」
―海外の研究で核産業労働者の低線量外部被曝研究があったのを最近知りましたよ
(広島二人デモ:第142回チラシ)
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20151127.pdf
「今の日本の裁判所は高線量内・外被曝ですら容易に認めていませんからね。
その研究の上に立脚する理論は低線量外部被曝ですら危ない、放射線源がそばにあるだけで危険ということになりますよね、
そして伊方原発は事故を起こさなくても放射能を放出する、事故を起こさなくても危険なんだ、と。
今の裁判所の知見からすると全くそんなことは思わないでしょう。
ですから裁判を戦う材料にはなりませんね。おそらく今現在、本訴を担う弁護士は皆、そう認識していると思います。
原発は苛酷事故を起こす可能性があるじゃないか、それを認めてからやっと、
裁判所が考えようか、となる、というレベルですよ。
苛酷事故時の高線量外部被曝ですら認めるかどうかという地点です。
ですからそこは、究極の政治課題ですよ。司法課題にはね、まだならない。
低線量内部被曝の害に関することは、何かの折に主張に含められたらいいとは思います。
事務局の方からの強い要望も何度も頂いてますからね。」
―はい!是非ともお願いします。
本日は裁判準備でお忙しい中、貴重なお時間を割いて頂きありがとうございました。
■インタビューを終えて(編集長感想)
胡田先生は非常に率直で、ざっくばらんな方でした。
あまりにもざっくばらんにお話をされるので編集を余儀なくしている箇所がたくさんあります(笑)。
ただ上関の裁判と運動を間近で見ている当事者のおひとりでもあるので、
裁判と運動の相互作用について非常に説得力のある説明をされます。
原告団結成集会の報告と合わせて読んでいただくとより理解できます。
http://saiban.hiroshima-net.org/report/
私たちのほうも理解していかなければならないことは、
私たちは基本的に原発が嫌いなので、「原発のここが悪い、あれも問題だ」と蓄積されてきた思いがたくさんあるのですが、
弁護士の先生方は、そのなかで「何が訴訟のテーマになるのか」ということをしっかり考えなければならない立場であるということです。
しかし、私たちメルマガ編集部はそういった話題も出来るだけ取り上げていきたいと思います
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