被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
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「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました


伊方原発広島裁判メールマガジン第9号 2016年9月19日



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伊方原発・広島裁判メールマガジン 第9号
2016年9月13日 仮処分第4回審尋の報告
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2016年9月19日(月)発行
編集長 :大歳  努
副編集長:重広 麻緒
編集員 :綱崎 健太 

まずは私、編集長・大歳の都合により永らくメルマガの発行が滞ってしまったことをお詫びいたします。裁判の進行状況をお伝えできずに大変申し訳なく思っております。
本号では、メルマガの再スタートとして、進展のあった仮処分第4回審尋についてのご報告をいたします。
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今日の見出し
■仮処分第4回審尋の報告
 ◇甫守一樹弁護士からの報告
 ◇大阪府立大名誉教授・長沢啓行教授から見た審尋の感想
 ◇報告会を聞いて(編集部後記)
■仮処分第5回審尋のお知らせ

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■  仮処分第4回審尋の報告
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さる9月13日(火)13時30分より広島地裁にて伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立事件の第4回審尋が行われ、この審尋終了後の17時50分より広島弁護士会館で報告会・記者会見が開催されました。
第4回審尋は債務者(四国電力)側によるプレゼンテーションで、内容としては『基準地振動の評価』がメインとなりました。

◇甫守一樹弁護士からの報告
この四電側のプレゼンテーションの内容について、原告側弁護団で東京弁護団の甫守弁護士から、このプレゼンテーションの要点要所の解説が行われました。
以下に甫守弁護士の解説をまとめました。

・プレゼンテーションを行ったのは四国電力の従業員であり、地震学会でも有名なマツザキさんでした。同氏のプレゼンテーションは、南海トラフ地震や海洋プレート内地震には一切触れず、中央構造線断層帯を震源とした地震のみ絞ったプレゼンテーションとなっていた。

・マツザキさんの説明に対して右陪席の久保田裁判官から鋭い質問があった。これは耐専式という経験式(この経験式は地震の規模と震源からの距離から地震の大きさを予測するものであるが、経験式から算出される数値と実際に起こる地震とでは倍半分ぐらいばらつき、場合によっては5倍というばらつきがある)に関する質問で、四電が準備した資料の中にもばらつきはあるが、このようなばらつきをどのように検証しているか、という質問であった。

・我々(原告側弁護団)は、安全側に見て、ばらつきが大きいほうに取らなければならないだろうと主張しているが、マツザキさんは「自分たちは詳細な地域特性の調査を行っているので、そのようなばらつきを考慮する必要はない」と主張している。

・原田裁判官の質問に足して、マツザキさんは「個々のばらつきに関する検証は行っていない。経験式は過去のデータから作られたものなので、ばらつきは生じるものなのだ」というざっくりした回答を返した。

・他にも裁判官から、『断層モデル』のパラメータの取り方が、四電側に有利になるように取られていないか等の質問があった。

甫守弁護士の解説をまとめるとこのような内容ですが、解説の中で度々、「南傾斜」「北傾斜」という言葉が出てきました。これは断層の傾斜の向きのことだと思いますが、甫守弁護士によれば、断層が北傾斜ではなく南傾斜であった場合、震源域が敷地の直下にかなり近づくということになってしまい、横ずれ断層であっても揺れがかなり大きくなってしまうそうです。
また、伊方原発近くの断層が南傾斜の可能性は十分高いという指摘は既に複数の学者からされているが、四電側は応答スペクトルに南傾斜は考慮しない(別の計算方法をとっている)としているので、甫守弁護士はここが重要な争点となると考えている、と説明がありました。

◇大阪府立大・長沢啓行名誉教授から見た審尋の感想
 甫守弁護士に続いて次回第5回審尋でプレゼンテーションを行う予定の大阪府立大・長沢啓行名誉教授から審尋の感想がありました。以下にまとめます。

・あまり関心のない裁判官かと思っていたが、準備書面をよく読んで理解していないと出てこないような専門的な質問が出てきたのでびっくりした。

・特に感心したのは右陪席の裁判官から、「69Km鉛直の耐専スペクトルをなぜ使わないのか?」というダイレクトな質問が出てきたが、この質問が出てくるということは裁判官の問題意識はかなり高いということができる。

・ばらつきの問題を次回のプレゼンテーションで行おうと思っていたが、今回の審尋はこれを先取りしていた内容となっていたので、次回のプレゼンテーションでは裁判官の問題意識とマッチした内容のプレゼンテーションが行えると思う。

・四電は「詳細な調査をしている」と言っているが、地震動の評価の歴史を見れば、短かかった活断層がどんどん長くなって基準地振動もどんどん大きくなってきたという経緯がある。そんな経緯をまるでなかったかのような、今ある基準が昔からあったかのような顔をしておられたので、そうした経緯についても説明したいと思う。

◇報告会を聞いて(編集部後記)
 今回の報告会では、地震学に関する専門的な用語が多用されていたため、一般的にはかなり難しい内容になったと思います。もっと深く理解したいという方は、『準備書面(5)基準値振動の過小評価』をご精読していただければと思います。
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/karishobun/h_ikata3_jyunbi_05.pdf

内容的には難しかったけれど、「勝てる見込みが出てきたぞ」というのが、審尋に立ち会った方、審尋の報告会に出席した方、全員の感想ではないかと思います。
伊藤副団長のほうから「勝てるんじゃないでしょうか?」という発言があったとき、甫守弁護士から「カープはリーグ優勝したけれど、万年Bクラスだった時の気持ちを忘れずに、この裁判も臨んでほしい」と釘を指す場面もありました。
実際に大津地裁で行われた高浜原発差止仮処分申立事件は、はじめは差止の決定は出ませんでした(その後にこの決定は覆り、高浜原発は運転停止命令が下されました)。この時の裁判長は山本善彦裁判長でしたが、裁判自体は原告側の主張が認められ、内容的には勝っていたのにも関わらず、逆の結果が出てしまいました。
もうひとつの関心は、いつごろ決定が出るだろうか、ということになると思いますが、甫守弁護士によれば、審尋がもう一回増える可能性もあるので、場合によっては年を越すことも考えられるようですが、年内ぐらいが目処になるのでは、とのことです。
大分で行われている同様の伊方原発差止仮処分が、速いペースで進行しているようなのでどちらが先になるのか?ということもありますが、双方で勝利できれば非常に素晴らしいことです。

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■  仮処分第5回審尋のお知らせ
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あす、9月20日、同じく広島地裁にて13時30分より仮処分第5回審尋(予定では最後の審尋)が行われます。
この審尋は傍聴ができませんが、審尋が行われる時間帯は、広島弁護士会館にて河合弁護士監督による映画「日本と原発 ~4年後~」の上映会が開催されます。まだ映画を見ていないという方はぜひご参加ください。
(詳しくはこちらを↓ご覧下さい。)
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20160918.pdf

そして第4回審尋と同じく広島弁護士会館にて、おそらく17時45分前後から報告会・記者会見が開かれる予定となっておりますので、続けてこちらもご参加ください。

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