被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
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「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました


伊方原発広島裁判メールマガジン第11号 2016年12月14日



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┃  伊方原発・広島裁判メールマガジン11号      ┃
┃  伊方原発広島裁判、この秋の動きとこれから    ┃
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2016年12月14日(水)発行
編集長 :大歳 努
副編集長:重広 麻緒
編集員 :綱崎 健太

メルマガの発行がしばらく滞っておりました。
またしても久しぶりの発行となってしまったことをお詫び致します。
前号がメルマガ第9号でしたから、本来ならばこの号は第10号になるはずですが、第11号としています。
理由は9月20日に行われた仮処分第5回審尋期日の報告を第10号に発行する予定でしたが、訳がありまして現在のところ発行を見合わせているという事情によります。
これに関しても近いうちに発行する予定ですので、本メルマガを今後とも宜しくお願いいたします。

 そういったことでこの第11号では仮処分第5回審尋期日以降に行われた審尋、講演会、上映会、口頭弁論、定例学習会を駆け足でご報告させていただきます。
また、仮処分の決定(Xデー)が近いのではないかという告知も同時にいたします。
(大歳)

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■今日の見出し

1.伊方原発広島裁判:仮処分命令申立事件広島地裁判断年内にも
2.四国電力伊方原発広島への危険性」早坂康隆准教授講演会
3.「百年後、遺したいのは放射能の恐怖なんかじゃない」神石高原町での自主上映会
4.本訴第3回口頭弁論
5.本訴第3回口頭弁論学習会
6.Xデー近し
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1.伊方原発広島裁判:仮処分命令申立事件広島地裁判断年内にも

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現在営業運転中の伊方原発3号機の運転差止仮処分命令申立事件に関する広島地裁の判断(裁判長:吉岡茂之裁判官、右陪席:原田宗輔裁判官、左陪席田中佐和子裁判官)は間もなく下される見通しで、場合によっては年内という可能性も強くなってきました。

 実質的に最終の審尋期日だった去る9月20日(第5回審尋)、吉岡裁判長は期日終了にあたって次のように債権者側及び債務者側に約束しました。
1. さらなる主張や反論があれば、10月31日までに書面で提出すること。この日までに提出された書面は必ず読む。
2. それ以上の説明が必要な場合は説明を求める。求釈明(裁判長から当事者に説明を求めることを求釈明というそうです)の回答期限は別途に設ける。
3. 判断日(Xデー)の一週間前には必ず告知する。

 11月末時点で債権者側にも債務者側にも求釈明が無かったことから、年内にも判断が下されるのではないかという観測が強まってきたものです。
伊方原発運転差止広島裁判-訴状・裁判資料全般については下記をご参照下さい。
http://saiban.hiroshima-net.org/source.html

 また、仮処分第5回審尋期日以降に債権者及び債務者が広島地裁に提出した書面は、上記ページから「第5回審尋以降、2016年10月31日までに広島地裁に提出された書面」の項目をご参照下さい。


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2.「四国電力伊方原発広島への危険性」早坂康隆准教授講演会

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 2016年11月13日、メルパルク広島5階瀬戸の間で、広島大学大学院理学研究科・早坂康隆准教授の「伊予灘中央構造線の位置と伊方原発周辺の地震ポテンシャル~想定されるあらゆること~」と題する講演会が開かれました。
 講演の内容は、「本来の中央構造線は伊方原発の約600m沖海域を通過しており、同原発は中央構造線のダメージゾーンに位置している。」「佐田岬半島北岸の中央構造線の位置に、鉛直に近い高角度の活断層がある可能性があり、その場合これを震源とする伊方原発敷地直下型でマグニチュード8クラスの巨大地震が発生する恐れがある」というもの。同准教授は今年9月に開かれた日本地質学会でこの新知見を学術発表し、学者・研究者から大きな反響を呼んでいました。
 従来四国電力は、問題の伊方原発直近の活断層帯は伊方原発敷地前面海域5~8kmに位置するとし、それより近い活断層はないとしてきました。また、すでに再稼働している伊方原発3号機は、原子力規制委員会の規制基準適合性審査で四国電力の見解に基づく敷地から5~8km沖合の活断層帯を震源と想定して審査が行われ、基準地震動を650ガルに決めたいきさつがあります。早坂准教授の新知見はこの四国電力の見解に真っ向から対立するものです。
 講演会の後の座談会では、早坂准教授は参加者の質問に答える形で「私の思い描く最悪のシナリオは、伊方原発敷地直下型の巨大地震が発生し、制御棒を下ろすことが出来ず(炉心緊急停止に失敗)、伊方原発が核暴走したまま、伊方原発敷地全体が瀬戸内海に崩れ落ちていく事態です」と指摘しました。
 もしこのような事態になれば、伊方原発敷地内に溜め込まれた核燃料と使用済み核燃料の総量を考えれば、瀬戸内海は高濃度に汚染された”死の海”となるばかりでなく、瀬戸内海沿岸は人が住むことの許されない立ち入り禁止区域になり、東アジアや太平洋沿岸には放射能ホットスポットが生じ、史上最大規模の核事故になることは間違いありません。

伊方原発運転差止広島裁判-講演会・学習会
http://saiban.hiroshima-net.org/lecture/20161113.html

に、早坂准教授講演会のレジュメ、講演動画記録などが掲載されています。


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3.「百年後、遺したいのは放射能の恐怖なんかじゃない」神石高原町での自主上映会

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神石高原町の風を未来へとどける会の主催に伊方原発広島裁判応援団が全面協力する形で、2016年11月23日神石高原町ゆきコミュニティーセンター2階多目的ホールにて、「日本と原発~4年後」(河合弘之監督作品)の自主上映会が行われました。地元の主催者の呼び掛けに応えて当日は神石高原町議会議員を含む70人以上の市民が上映会に参加しました。
同センターの職員が「近年これほど人が集まったことはない」というほどでした。
 上映会後の交流会では、地域のコミュニティーを根こそぎ不可逆的に破壊された福島の現状に衝撃を受けた方々から、「これから自分たちは何をすべきか?何ができるか?」といった意見の交換が行われました。
また、今回の上映会に続く第2弾を期待する声も多くありました。
同時に広島県神石高原町も決して「原発無風地帯」ではなかったことが明らかになりました。
伊方原発運転差止広島裁判-プレスリリース
http://saiban.hiroshima-net.org/pressrelease/023_20161120.html


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4.本訴第3回口頭弁論

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 2016年11月30日、伊方原発運動差止広島裁判本訴第3回口頭弁論が、広島地方裁判所で行われました。(裁判長:末永雅之裁判官、右陪席:山本由美子裁判官、左陪席:岡村祐衣裁判官)
以下は、原告側提出書面です。
原告意見陳述書 小倉正
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/honso/20161130_ogura.pdf
準備書面2 「本件における判断の枠組み」
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/honso/jyunbi_02.pdf
準備書面3 「放射性物質の放出と拡散並びにそれによる被害について」
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/honso/jyunbi_03.pdf
尚、第4回口頭弁論は、2017年2月6日月曜日14時からの予定です。


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5.本訴第3回口頭弁論学習会

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本訴口頭弁論3日後の2016年12月3日、広島平和記念資料館地下1階会議室2にて、第3回口頭弁論定例学習会が開かれました。
テーマは「原発推進派が金科玉条とするLSSのいかがわしさ」です。
LSSとは、原爆被爆者寿命調査(Life Span Study)のことで、主にがんと白血病を被爆者の生涯にわたって追跡した疫学調査です。
当日報告レジュメは下記から閲覧できます。

第1報告 報告者 小田真由美
「LSSはどこが批判対象とされているか?」
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20161203_report1.pdf

第2報告 報告者 哲野イサク
「避難基準100mSvの正当化に使われるLSS~LSS信仰を打破するのは広島市民の使命~」
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20161203_report2.pdf

参考資料(報告1・2兼用)
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20161203_sankou.pdf

また、特別報告として、最近原告になられた在広ドイツ人のバーンド・フィニックスさんより、ドイツで核技術者としてチェルノブイリを経験した彼の目から見た現在の日本の現状を語って頂きました。
下記URLが特別報告レジュメです。

バーンド・フィニックス 特別報告「在広ドイツ人の見る日本の原発再稼働」
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/20161203_special_report.pdf

質疑応答では、多くの出席者から、なぜ日本では再稼働が進んでしまったのかと嘆く声が聞かれました。
LSSによる「100mSv以下の低線量被曝の健康影響は確認されていない」から生まれた放射能安全神話がまさにその根底にあること、また、質疑応答中にエピソードとしてあった「低線量被曝の影響を科学者・研究者らは知っていても黙っている」といった話が結実したひとつの形が、今この国の核産業を取り巻く状況であろうと思いました。
この状況を変えるために、司法の場で実際に原子炉の稼働を停止させ、放射能安全神話を打破し、被曝を拒否することがコンセンサスであるという世論を形成していくことが重要であると私などは強く思った1日でした。
(綱崎)


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6.Xデー近し

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「伊方原発3号機運転差止命令仮処分申立事件」の審尋は10月10日の第6回審尋で期日は終結しました。
そして、10月31日までに両弁護団から追加書面が提出され、12月に入っても裁判官から求釈明がなかったことから、裁判官は今現在、判断へ向けて検討に入っていると思われます。
当初、年内の可能性は低く、来年1?2月の見込みが強い、遅くとも年度内であろうと予測していましたが、求釈明がなかったことから、年内の可能性も高まってきました。
仮処分申立が「決定」されるのか「却下」されるのか、判断が判る日すなわち「Xデー」は、裁判所から1週間前に弁護団へ通知されます。

申し立てが「決定」されれば、裁判所は運転差止命令を執行し、伊方原発3号機は稼働停止します。
もし、この仮処分申立が「決定」すると、日本で初めて営業運転中の原発を止めることになります。

高浜原発は再稼働後に停められたのでは?とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
大津地裁は3月9日に関西電力高浜原発3・4号機の運転禁止命令を出しましたが、その時点での当原発はまだ合格証を交付されていない、審査中の原発でした。
高浜原発3・4号機は規制基準適合性審査の一部である”起動後検査”の為に原子炉を起動させましたが、それは検査の為の起動であり、審査に合格したから起動したわけではありません。
この”起動後検査”の為の起動をマスコミは「再稼働」と謳い、あたかも当原発が審査に合格し営業運転に入ったかのように報道しました。
多くの方が「再稼働」と聞き、高浜原発が審査に合格したのだと思い込まされたのではないかと思います。
伊方原発は既に営業運転に入ってる原発なので当然、審査を通っています。
この仮処分決定が出れば、原子力規制委員会から合格証を交付された原発が司法によって停められる初のケースとなります。
この事件は前例となり、全国で起きている原発裁判へ大きな影響を与えるでしょう。
広島・長崎の被爆者が直近の伊方原発を止めたという事で、世界的な事件になるかもしれません。

Xデーは日本を取り巻く核産業にとって歴史的な1日となります。
告知が1週間前と、急になりますが、是非その歴史的な瞬間にお立ち会いくださいますようお願い申し上げます。
私たちの申立が認められなかったとしても、大分・松山の「仮処分包囲網」は存続します。
広島裁判の本訴も長い戦いとなります。
引き続き応援をよろしくお願いいたします。
(重広)
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伊方原発運転差止広島裁判
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◆伊方原発広島裁判メルマガ編集部◆
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