伊方原発広島裁判メールマガジン第25号 2017年12月3日
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伊方原発・広島裁判メールマガジン第25号
伊方3号仮処分広島高裁判断は12月13日、「私たちは勝つ!」
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2017年12月3日(日)発行
編集長:哲野イサク
編集員:綱崎健太
編集員:小倉 正
編集員:網野沙羅
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▽本日のトピック▽
■編集委員からのひとこと-仮処分決定について
■伊方3号仮処分広島高裁判断は12月13日、「私たちは勝つ!」
◆異例ずくめの裁判指揮ぶり
◆すべてオープン、ガラス張り
◆伊方原発は瀬戸内住民全員への大きな脅威
■「火山灰バックフィット」プロセス始まる
◆なにがバックフィットだ!
◆四国電力伊方原発、悪用3つのシナリオ
◆伊方3号運転差止命令が唯一の解
■【寄稿】江田島市早坂講演を開催して
江田島市早坂講演実行委員会 実行委員長 山下徹
■短信記事
◆【寄稿】12月10日「STOP!伊方原発 高松集会~原発を止める。私たちは止まらない~」
◆伊方原発広島裁判 本訴期日の御案内
◆伊方原発3号機仮処分山口裁判第5回審尋期日と学習会・報告会
■メルマガ編集後記
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■ 編集委員からのひとこと-仮処分決定について
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ことし3月30日の広島地裁で「伊方3号運転差止仮処分申立て却下」の決定を受けとったとき、「こんな決定をもらってしまって皆に会わす顔がない、オメオメと松山へ帰れない」ということばしか思いつきませんでした。恥ずかしながら不意打ちを喰らった状態での感想でした。
今度の広島高裁の裁判官たちは、論点を、論理の方向性をすでに明らかにしています。
この論点では、あの論点では負けるはずがない、という思いも巡る中で、いやひょっとしたらまたどんでん返しで真っ逆さまに突き落とされるのかも、と、決定を受けるのがトラウマになったような心持ちになります。
「辛酸佳境に入る」。
第一次伊方裁判の最初の判決、松山地裁敗訴の時(1978年)に掲げられたバナーは、足尾銅山の鉱毒公害に取り組んだ田中正造翁のこの言葉を使っていました。
当時高校3年生の私は、そのニュースを知った時は、それは「逆境も本格的になった」的な意味だと勝手に思い込んでいたのですが、最近ネットで検索してみて、逆境で(エンドルフィンが出て来て)楽しくてしょうがないという意味の入った言葉だと知って、ちょっとした衝撃をうけたのでした。
漁場を、水源を、土地を護る闘いに負け続け、工事には着工され、運転も開始になってしまうまで経ってからの初めての地裁判決、最後のよりどころとして闘ったであろう裁判闘争の場での敗訴を伝える言葉としてこの言葉を使ったことに、地元のおじいさんおばあさんたちの「不屈」の意志を観るようです、私には、ちょっとマネは出来ませんが。
(小倉正)
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■ 伊方3号仮処分広島高裁判断は12月13日、「私たちは勝つ!」
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12月1日の金曜日、いまかいまかと待っていた広島高裁からの決定文交付日告知が届きました。
もちろん今係争中で、決定文が出るのを待つばかりとなっている、伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立事件、広島高裁抗告審の話です。
高裁抗告審(野々上友之裁判長、太田雅也右陪席、山本正道左陪席)の決定文交付日(高裁判断が示される日)は、2017年12月13日(水)、午後1時30分と広島高裁から告知されたのです。
すでに弁護団は広島高裁に対して、「決定文交付日告知は、交付日前2週間にして欲しい」とする上申書を提出していました。
つまり2週間前には知らせて欲しい、ということです。
高裁はこの上申に対して確約を与えなかったものの、結果としてみれば、13日交付を1日に告知したわけですからできる限り弁護団の意向に沿ったということになりましょう。
欲目でしょうか、そこはかとなく高裁裁判体の弁護団に対する配慮を感じます。
◆異例ずくめの裁判指揮ぶり
ここで簡単に、広島高裁抗告審に至る過程を振り返っておきましょう。
2016年3月11日、本訴原告団から選出された3人の仮処分申立人(いずれも広島市在住)は、伊方原発3号機の即時運転停止を求めて広島地裁に仮処分を申し立てました。
さらに8月3日松山市在住の市民が申立人として追加提訴、申立人は4人となります。
広島地裁の裁判体(吉岡茂之裁判長、久保田寛也右陪席、田中佐和子左陪席)は、6回の審尋期日を経て2017年3月30日、「申立却下」の判断を示します。
この時の決定文についてはその結論を別にしても、その理解の浅さ・法律文書としての非論理性について、日ごろ原発再稼働に好意的なマスコミからも批判を浴びるほど酷い内容でした。
四国電力もさすがにその後の裁判で「広島地裁決定文」を証拠として使いませんでした。
4人の申立人は地裁決定を不服として直ちに広島高裁に即時抗告を行いました。
高裁抗告審の第1回審尋期日(7月12日)、第2回審尋期日(9月13日)を経て、抗告人4人の間には、「もしかして勝つかも知れない」という期待が静かに広がっていきました。
当初4人の抗告人の間では、地裁で負けた裁判を高裁でひっくり返すなどという事態は大きく期待していませんでした。
地裁以上に、高裁・最高裁では「ヒラメ裁判官」がうようよ泳いでいることを常識として知っていたからです。
ともかくも最後まで闘い抜こうという決意で即時抗告に踏み切ったのです。
動揺する申立人は一人もいませんでした。
事実、関西電力高浜原発3・4号機の福井地裁による運転停止仮処分命令決定(2015年4月14日。樋口英明裁判長)は、その後最高裁から送られた3人の刺客裁判官によって福井地裁の異議審でひっくり返されましたし、同じく高浜3・4号機の大津地裁の運転停止仮処分命令決定(2016年3月8日。山本善彦裁判長)は、大阪高裁の抗告審でひっくり返されています。(2017年3月28日)
◆すべてオープン、ガラス張り
ところが広島高裁の裁判体はどうもヒラメではなさそうだ、という期待が芽生えたのは第1回審尋期日が終わったあたり、7月も終わりのころでした。
このささやかな期待が、大きな希望に変化したのは、9月13日の第2回審尋期日あたりからです。
広島高裁抗告審裁判体の裁判指揮ぶりは異例ずくめでした。
まず第1回審尋では明確な裁判計画を明らかにし、すでに綿密に提出書面を読み込んでいることをうかがわせました。
そして決定は「12月上旬」とはっきり宣言しました。
裁判体は、緻密な計画と周到な準備を経て9月13日の第2回審尋期日を迎えたのです。
裁判体は第2回審尋期日を迎えるにあたって2回も抗告人側(申立人側)と相手方(すなわち四国電力側)に求釈明を求めたのです。
(“求釈明”はどうも裁判用語らしく、この場合は説明を求める、という意味です)
第1回目の求釈明文書(広島高裁第2部)を見てみると、
争点1として「司法審査の在り方」をあげ、
争点2として「新規制基準の合理性」、
争点3として「基準地震動策定の合理性」を指摘、
具体的論点を極めて高度に専門的な話題にわたって、さらに詳しく説明するように抗告人側に求めています。
一方相手方(四国電力側)には
争点3の「基準地震動策定の合理性」、
争点9の「火山噴火による降下破砕物(火山灰問題)」、
そして争点1「司法審査の在り方」、
争点6「地すべりと液状化現象による危険性」、
争点10「シビアアクシデントの対策の合理性」
について更なる説明を求めています。
この求釈明に対して抗告人側・相手方双方とも回答を寄せるわけですが、この回答に対してさらに2回目の求釈明が出されます。
つまり裁判体は、自らどのポイントにより多く興味を抱いているか、なにが決定の決め手になるのか全く隠そうとしていません。
それどころか、求釈明書を見ると、「裁判体はかくかくしかじかと考えているが、この点どうだ?」と議論を吹っかけている箇所すら見受けられます。
すべてオープン、ガラス張りなのです。
2回の求釈明といい、こうしたオープン、ガラス張りの姿勢といい、すべてが異例ずくめです。
異例ずくめの決定版は第2回目の審尋でのやりとりが、「審尋調書」として速記録に起こされ、抗告人側・相手方に配布されていることです。
私も全くの素人ですから、審尋でのやりとりが速記録に起こされているのは通常なのですか?と弁護団に聞いてみると、やはり「異例」という回答が返ってきました。
こうした一連の求釈明書、それに対する抗告人側・相手方の回答書、そして第2回尋問調書(第2回審尋期日の速記録)などを読んで見ると、「私たちは勝つ!」という結論しか出てこないのです。
もちろん、こうしたやりとりの文脈から全く切り離して、別な結論を導き出す決定文が書かれる可能性もあります。
しかしここまでオープン、ガラス張りの法廷指揮では、実際のやりとりから離れた決定文が書かれると考えるのは難しい、というのが率直な感想です。
◆伊方原発は瀬戸内住民全員への大きな脅威
以上のような見通しのもとに、私たちは12月13日の高裁抗告審決定文交付日に向けた取り組みを開始しました。
取り組みのポイントは大きく2つあります。
第1は、今回抗告審決定を幅広く広島を中心とした一般市民に知らせようという取り組みです。
そして理性的・科学的・実証的立場から、市民社会における「反・脱原発世論」を喚起していこうという取り組みです。
こうした観点から、はじめて「抗告審決定お知らせチラシ」を新聞折り込みにしようと企画をたてました。
選んだメディアは地元の中国新聞、朝日新聞、そして日本共産党機関紙の赤旗でした。
(創価学会機関紙の『聖教新聞』への折り込みも内部で提案されましたが、聖教新聞は折り込みチラシそのものを制度として採用していないということで見送りました)
ところが全く驚くべきことに、中国新聞・朝日新聞は、「係争中の案件については扱えない」ことを理由にチラシ折り込みを断ってきたのです。
別に裁判での私たちの主張を書き込んでいるわけではありません。
「高裁決定が出ます。当日お集まりください」という呼びかけチラシです。
納得はいきませんが、「扱えない」というものをどうするわけにもいきません。結局チラシ折り込みを受け入れてくれたのは赤旗だけでした。
第2の取り組みは、仮処分を提訴しているのは広島の私たちだけではない、松山(現在は高松高裁での抗告審)、大分(大分地裁で決定を待つばかり)、山口(山口地裁岩国支部で審尋中)の各地でも全く同じ訴えで裁判が起こされている、広島での闘いは独立した闘いではなく、こうした一連の裁判闘争の一環だ、各地の市民の共通した思いは、四国電力伊方原発は、中国地方、四国地方、九州地方、京阪神地方など瀬戸内海沿岸に住み、「瀬戸内を命の海」とする市民にとって大きな脅威だ、とアピールすることです。
こうした観点から私たちは幅広く、12月13日の、伊方原発3号機仮処分事件広島高裁抗告審決定日には、広島高裁前(集合場所は広島弁護士会館)にお集まりください、とよびかけています。
みなさまも是非当日、広島高裁前(集合場所は広島弁護士会館)にお集まりください。
(哲野イサク)
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■ 新規制基準、「火山灰バックフィット」プロセス始まる
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当メールマガジンの20号と22号で紹介していた「火山灰バックフィット」
(造語ですが、「耐震性バックチェック」と同様な固有名詞として今後使われることになるでしょう)
について、意見公募(パブコメ)の後の整理がようやく終わり、2017年11月29日の原子力規制委員会会合で、約20分間の簡単なやりとりの後、「火山灰バックフィット」の中身である、「規則」と「保安規定の審査基準」、「火山影響評価ガイド」の改訂が承認をされました。
文言の一部変更作業の後、近く公布されることになります。
当日配布資料:https://www.nsr.go.jp/data/000211412.pdf
◆なにがバックフィットだ!
意見公募への回答の中には、電力会社が現状でも非常用ディーゼル発電機の常時2系統維持ができる運用をしている、とする現状認識の誤りが(指摘されているにも関わらず)そのまま明記されていて、あきれたお役所仕事ぶりでした。
(6.その他関連する御意見 6-6の回答部分「新規制基準に関する設置変更許可済みの炉に係る非常用ディーゼル発電機については、停止することなくフィルターを交換可能であることを聴取しており、非常用ディーゼル発電機片系の停止は前提としていません。」)
今回設置する改造フィルター装置の売り文句が、運転しながらフィルターを交換可能になることであるのに、以前からそれが出来ています、電力会社から確認しています、と返答しているのです。
また、メルマガ22号の中で特に問題にしていた猶予期間1年間の問題はそのまま採用されました。
1年間の猶予つきの「バックフィット制度」とはそれ自体形容矛盾です。
資料から引用しておきます。
「「経過措置」
施行日前に既に新規制基準適合性に係る保安規定の変更の認可を受けている者は、平成30年12月31日までの間は、なお従前の例による。
ただし、この期間における改正後の規定を踏まえた申請についてはこれ を妨げず、その間に行われる保安規定変更認可の審査においては、改正後の規定を適用する。 」
「ただし」の後の一文は、この規定は電力会社が自主的に新たな基準での規制審査を求めたときには規制当局は応じますよ、という意味です。
この火山灰バックフィットの経過措置の対象となるのは、九州電力川内1・2号機、四国電力伊方3号機、関西電力高浜3・4号機、九州電力玄海3・4号機、関西電力大飯3・4号機あたりまでだけで、他は、今後の新規制基準審査の中で初めから改訂後の新たな新々基準を適用されて審査されることになります。
◆四国電力伊方原発、悪用3つのシナリオ
この経過措置が設けられたことから、悪用される懸念が出てきます。
四国電力としては伊方原発3号機を来年1月に予定通り再々稼働させるために、以下の3種類の対応のうちのどれを採ってもよいのです。
<<第一のシナリオ>>設備の設置をし、新たな運用手順を定めた保安規定を策定し、その保安規定の審査を申請する。
当たり前の対応のように思えますが、この場合にはいつ審査が合格になって再稼働できるのか、の見込みが立ちません。
規制委員会の審査が、個別の原発についての会合が多くなりすぎて、滞っている現状からすると、そしてまた、火山灰バックフィットを要求される他の原発はすべて、運転間近であるか運転中のものですので、優先順位をどうつけて審査するのか、という重大問題が出てきます。
業界内の力関係では関西電力の高浜、大飯原発の再審査が最優先される可能性もありますし、実際に噴火中の火山が近くにある九州電力の審査を最優先とみる声もあがるでしょう。
どうなるのか、いつまで時間がかかるのか?
果たして数ヶ月以上の遅延のリスクを冒してまで、四国電力はこのまっとうな行動をおこすでしょうか?
(実際にはそんなに時間は掛けないで、各社の設備を一括して審議してしまうのかもしれませんが)
<<第二のシナリオ>>設備の設置はするが、当面は既存の保安規定のまま再稼働する。
審査を1年間猶予されているので、元々の旧基準の保安規定のままでも再々稼働にストップはかかりません。
設備を設置しておけば、想定通り働くかどうかは不明でも、モノが付いているのであれば大抵は機能するということで安心する人も出てくるでしょう。
それでも、新しい設備が取り付けてあっても、保安規定で決める運用の仕方が以前のままであれば、本来の機能を発揮できるとは限りませんから保証にはなりません。
<<第三のシナリオ>>非常用ディーゼル発電機の常時運転可能なフィルター設備の設置を先送りして再々稼働する
(元々12月中に設置との予定で、社長も発表をしていましたが、この経過措置を活用して、対策を1年間はしない場合)。
◆伊方3号運転差止命令が唯一の解
伊方原発3号機運転差止広島高裁抗告審で、四国電力は広島高裁にも即時対応をすることを約束していましたが(第2回審尋期日の際)、それを破っても法的には全くとがめ立てできません。
このような不適切な選択を引き起こしかねない規制は、世界一厳しい規制基準である、などとは到底言えないものだ、と指摘することができるでしょう。
この火山灰濃度問題に高い関心を持っている広島高裁がなすべきことは、第二第三のシナリオのようなおかしな問題が起こる恐れをなくすために、ひとまず運転差し止めの決定を出すことでしょう。これが唯一の解です。
(小倉正)
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■ 【寄稿】「江田島市早坂講演を開催して」
■ 江田島市早坂講演実行委員会 実行委員長 山下徹
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11月23日(祝) に広島県江田島市能美町の江田島市農村環境改善センターで午後2時から『まずは知りましょう 学びましょう 四国電力伊方原発 瀬戸内海への危険性 最新の学術的知見から~私たちの海はどうなる?』と題して、江田島市早坂講演実行委員会の主催で広島大学大学院理学研究科・地球惑星システム学専攻 早坂康隆准教授 の江田島市講演会を開催しました。
広島湾に浮かぶ江田島と能美島からなる江田島市は、人口約24000人の瀬戸内海で4番目に大きな島です。
この江田島市で資料代500円という、おそらく初めての有料の講演会を「原発の危険性」をテーマに開催して70名を超える参加者を集めたことは、画期的なことだと思います。
早坂准教授は、
1.伊予灘中央構造線と伊方原発
2.原発事故における放射能の特異性
3.原発の温排水が海を殺す
と、大きく3つの面から伊方原発の危険性と瀬戸内海への影響を学術的な最新の知見をもとに90分にわたって多くの写真や図を使って講演されました。
講演後の質疑応答でも参加者から次々と質問があり、30分にわたる活発な質疑応答になりました。
中締め後も多くの参加者が残り、早坂准教授を中心に1時間にわたる懇談形式の質疑応答が続きました。
また、多くの人が資料を追加で求められました。
江田島市、は江田島市内の通勤通学のほか、広島市と呉市を通勤通学圏とする人も多いのですが、柑橘、花卉、キュウリ、トマトなどのハウス栽培、をはじめとする農業、カキ養殖を始めとする漁業に加え、新たなオリーブの島構想や民泊などの観光産業も発展しつつあります。
これらは温暖少雨の気候と多島美など、海、山、空の自然の恵みに江田島市民の生活がこれまでも、これからも依拠していることが前提となっています。
しかし、ひとたび伊方原発で事故が起きたら、この江田島市をはじめとする瀬戸内海の島嶼部、沿岸部で暮らす人々の生活がたちまち破壊されてしまいます。
また、事故が起こらずとも、伊方原発の稼働による温排水によって瀬戸内海の生態系が大きく影響を受けている可能性も指摘されています。
高齢化が進む保守的な土地柄での講演会の開催であり、他の複数のイベントとも競合する中での開催に不安もありましたが、実行委員のみなさんのご努力により、多くの江田島市民が参加して熱心に講演に聞き入っていました。
当実行委員会と参加者のみなさんが感じた手ごたえと教訓は、必ず次のステップへと進む際に活かされて行くと信じます。
最後に、各実行委員のみなさま、何度も江田島市に足を運んでいただき、資料準備、会場設営などの実務を引き受けてくださった伊方原発広島裁判原告団事務局のみなさま、本当にありがとうございました。
(寄稿:筆者は江田島市在住)
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【寄稿】「STOP!伊方原発 高松集会~原発を止める。私たちは止まらない~」
ぜひご参加を!
(寄稿:溝渕裕子 脱原発アクションin香川 共同代表)
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12月10日(日)、「STOP!伊方原発 高松集会」がJR高松駅前広場で開催されます。
私たちは、伊方原子力発電所を動かさない、そして廃炉にするために活動している市民の集まりです。
映画「日本と原発」をはじめとして、様々な原発関連の映画上映会や、講演会の開催、また原発の危険性などを広くひろめるために、街頭アピールとしてデモなどを行ってきました。
また、毎週金曜日の夕方には高松市にある四国電力本店前にて、有志による「金曜行動」が2012年より続けられています。
各人が思い思いのプラカードやグッズなどを持ち寄り、時には歌もありで、四電社員や市民に対して原発反対の思いをアピールしています。
しかし、昨年八月、四国電力は多くの人々の反対を無視して、伊方原発3号機を再稼働させました。
その時「なんで止まらんのよ」と、伊方原発の廃止を求めて50年以上闘ってきた女性が泣き崩れました。
5年3か月ぶりに3号機が再稼働された悔しさを私たちも忘れることができません。
そして現在、伊方原発3号機は10月からの定期点検のために運転停止をしています。
これを二度と動かさないために四国電力本店のある高松市で「原発いらない」「再々稼働させない」の声を上げていきたいと思います。
集会には、四国各県をはじめ、福島や若狭など、全国各地からの参加が見込まれています。
どうか多くの皆様のご参加をお待ちしております。
一緒に原発を止めましょう!それぞれが出来る方法で、原発を止める動きを作っていきましょう。
「STOP!伊方原発 高松集会~原発を止める。私たちは止まらない~」
日時:2017年12月10日(日)
場所:香川県高松市 JR高松駅前広場
13時~ライブパフォーマンス
14時~全国からのリレーアピール等
15時~デモ行進
絵本やおもちゃで楽しめる「こどもワクワクひろば」もあります。どなた様もぜひご参加ください!
共同主催:脱原発アクションin香川/原発さよなら四国ネットワーク/グリーン市民ネットワーク高知/脱原発市民ネットワーク徳島
連絡先:?090-8698-2114 Email:kyoudoukoudou@gmail.com
HP:http://kyoudoukoudou.wixsite.com/ikatahairo
なお、集会翌日の11日午前には、四電への申し入れと、四電本店前で再々稼働阻止の街頭行動があります。
また、年明け1月20日~21日には、愛媛県の伊方原発現地での集会等が計画されています。
詳細が決まり次第、お知らせさせて頂きます。
(寄稿:溝渕裕子 脱原発アクションin香川 共同代表)
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伊方原発広島裁判 本訴期日の御案内
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2017年11月8日第8回口頭弁論期日および第4陣提訴が終了いたしました。報告をまとめておりますのでご一読ください。
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第8回口頭弁論
http://saiban.hiroshima-net.org/honso/08_20171108.html
【次回期日】
第9回口頭弁論期日 2018年1月31日(水)14時進行協議 14:30口頭弁論
第10回口頭弁論期日 2018年3月26日(月)14時進行協議 14時口頭弁論
なお次回第9回期日に第4陣原告の意見陳述を予定しております。
司法を動かすのはみなさまの関心の高さです。
是非傍聴においで下さい。
(網野沙羅)
┏─短信──────────────────────────────────────┓
伊方原発3号機仮処分山口裁判第5回審尋期日と学習会・報告会
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2017年12月5日、山口県の住民が提訴している伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立事件の第5回審尋期日が、山口地裁岩国支部で開かれます。
同時に「伊方原発をとめる山口裁判の会」主催の学習会と報告会が開催されます。みなさんふるってご参加ください。
日時:12月15日(金)午後1時30分から
場所:岩国市中央公民館第2講座室(3階)
岩国市岩国4丁目4-15(電話:0827-43-0174)
*駐車スペースは27台。満車の場合錦帯橋河原の駐車場をご利用ください。(駐車代無料)
1.学習会:講師は愛媛大学名誉教授、小松 正幸
午後1時30分から
内容:「佐田岬半島と伊予灘の断層構造はどうのように形成されたか?」
2.裁判報告会
午後4時30分より
第5回審尋期日の内容、今後の予定など弁護団から報告
【問合わせ先】伊方原発をとめる山口裁判の会
事務局:周南法律事務所(山口県周南市3丁目2番地)
電話:0834-31-4132
(網野沙羅)
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◆ メルマガ編集後記
司法は“ブラックボックス”と化しています。たとえば、法廷内は撮影・録音を一切許しておりません。
商業報道陣にだけ、前もって申請すれば開廷前の撮影が許される場合があります。
実際に法廷に足を運ばなければ、どんな裁判があり、何を争点として争っているのかすらわかりません。
いや今や法廷を傍聴してすら何が行われているのかわからない、といった有様です。
しかしこれはおかしいと思います。
司法・裁判所こそ、オープンにし多くの人の目にさらされる場でなければならないのでは、法廷の運営は多くの人に分かりやすくならなければと思います。
確かに一部刑事事件や民事裁判においては、関係者のプライバシーや名誉、個人に属する秘密などオープンにすべきではないケースもありましょう。
しかし多くの係争中の事件では、特に社会性・公共性の高い事件では、審理の過程をオープンに、分かりやすくすべきです。
憲法76条はその第3項で裁判官の独立、身分の保障を高らかに謳っています。
裁判体の裁判指揮権もこうした観点から完全に裁判体に委ねられています。
しかし裁判体は指揮権を悪用することもできるのです。
政治権力と裏取引きをして指揮権を悪用するケースです。過去にこのケースが明るみにでたこともあります。
憲法76条第3項の規定を司法が悪用するなどということは、憲法は想定していません。
しかしだからといって「憲法76条第3項の規定」の悪用はやむをえないこと、とはなりません。
「憲法76条第3項の規定」を正しく運用させるのは、私たち一般市民の監視、批判の力です。
そのためにこそ、司法を、裁判の過程を、オープンにしガラス張りにしていく必要があります。
「憲法76条第3項」を実体化する努力も私たち市民社会に課せられた課題だということができるでしょう。
(網野沙羅)
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伊方原発運転差止広島裁判
URL http://saiban.hiroshima-net.org/
◆伊方原発広島裁判メルマガ編集部◆
メールマガジンを退会されたい方は
メルマガ編集部 mm@hiroshima-net.org
までご連絡ください
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