被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
お問い合わせ

「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました

2017年3月4日「四国電力伊方原発瀬戸内海への危険性」
講演会・座談会


廿日市早坂講演、稔り多き成果、盛会のうちに終了

 2017年3月4日(土)、広島県廿日市市において開催された、広島大学大学院理学研究科早坂准教授による「四国電力伊方原発 瀬戸内海への危険性 新たな学術的知見」と題する講演会の報告を致します。(詳細報告及び講演速記録は後日掲載する予定です)

 会場は廿日市市商工保健会館交流プラザホール。開演は午後2時きっかり。早坂准教授の講演は3時20分ごろまで。休憩を挟んで3時30分から座談会・質疑応答が始まり、地元廿日市市民の方の「閉会のあいさつ」が終了したのが4時45分でした。

 

 会場は75席用意しました。開場は開演30分前の1時30分を予定していましたが、1時過ぎには遠方からお見えになった方もあり、早々と開場いたしました。思いのほか出足が良く、75席では席数が足りず最終的には補助椅子を壁際にずらりと並べる格好で通路も塞ぐような形に90人近い人たちが参加しました。廿日市市及び近辺の方々のこの問題に対する関心の高さを窺わせる結果とはなりました。広島市からの参加者も多かったのですが、お隣山口県岩国市、遠く神奈川県相模原市の方、北海道札幌市からの参加者もいらっしゃいました。しかし参加者の80%以上が廿日市市近辺からの参加者の方で文字通り「廿日市早坂講演」の名にふさわしいものとはなりました。

 早坂准教授の講演は、学術的知見を含んでおり(講演会レジュメ参照のこと)、普段地質学とは無縁の一般市民にはかなり高度な内容ともみえました。(後で准教授に聞くと、地質学専攻の大学3年生レベルの話だったそうです)にも係わらず、参加者は熱心で多くの方々がメモをとりながらの講演となりました。

 准教授の講演は後日速記録を掲載するのですが、中央構造線が約1億年以前に発生したこと、中央構造線と中央構造線活断層帯の違いなど基本的な知識を押さえた上で、「伊予灘―別府湾地域」の地下構造と中央構造線の位置、伊予灘地域(佐田岬半島は伊予灘地域に突き出しています)の最近の地殻変動と予想される地震、へと話が進み、結論としていえば次の5点に集約されます。

 1.別府湾―伊予灘地域は、第四期(地質時代の区分の一つで約260万年前から現在までの期間)、中央構造線を主断層とするハーフグラーベン(巨大な基盤の凹み)を形成している。
 2.いわゆる「中央構造線活断層帯」(具体的には四国電力の主張する「伊方原発前面海域断層帯群」は上記ハーフグラーベン形成時に副次的に形成されたもので、そのほとんどは深部で基盤に達していない。
 3.本来の中央構造線は伊方原発の約600m沖付近を通過しており、伊方原発は中央構造線のダメージゾーンに位置している。
 4.佐田岬北岸の中央構造線の位置(伊方原発敷地直近傍を含んで)に高角度の活断層が発生している可能性がある。
 5.四国電力の審査報告書(2013年及び2014年に原子力規制委員会提出)は以上の点についての検討が不十分であり、伊方原発を直ちに停止し、調査を根本からやり直すべき。


 学術講演らしく控えめな表現ながら、伊方原発敷地前面わずか600mの位置に、危険な高角度の活断層(ほとんど鉛直活断層)が存在している可能性を完全に排除しないまま、伊方原発を新規制基準に適合しているとして審査に合格とした原子力規制委員会の杜撰さ、さらに伊方原発の危険性を鋭くついた講演内容になっています。

 さらに今回講演では廿日市市の漁業関係者の方々のために「おまけ」として、瀬戸内海という閉鎖海域に伊方原発に加えて現在建設準備中の中国電力・上関原発が出現することの危険性、原発が海水温度から7℃も高い温排水を放出していること、100万kW級の原発が排水する温排水の量は、太田川や江の川が海に流れ込む際の流量に匹敵する毎秒70トンから75トンと膨大であること、冷却のため、海水を大量に取り込むことによって瀬戸内海の多量のプランクトン、魚卵、稚魚などを死滅に追い込んでいることなどの解説もありました。

 講演に続く座談会では、早坂准教授を中心に廿日市に住居や職場をもつなど生活の中心としている市民と、同じく廿日市に住む車いす生活の身体障がい者の市民計4人が登壇し、活発な質疑応答や意見発表がおこなわれ、それに引きずられるようにして会場の参加者からも活発な質疑応答や意見発表が続きました。会場は午後5時までに撤収・原状回復の上、明け渡さなければならない関係上、司会者は質疑応答を時間切れで打ち切らざるをえず、午後4時45分をもって閉会としました。

 伊方原発の、瀬戸内海とその沿岸住民の危険を実証的・科学的に多くの参加者が認識、知見を共有することができたという意味で、稔り多き成果を上げることができました。
(座談会・質疑応答の要点は後日詳細報告でお伝えします)

廿日市早坂講演「四国電力伊方原発 瀬戸内海への危険性~新たな学術的知見」講演会・座談会
日時:2017年3月4日(土)14:00~17:00
場所:廿日市市商工保健会館交流プラザ ホールA
入場無料・予約不要(資料代500円)
主催:廿日市早坂講演実行委員会

▽御案内チラシ(画像をクリックするとPDFでダウンロード頂けます)


▽早坂准教授講演レジュメ
(講演発表スライドです。画像をクリックするとPDFでダウンロード頂けます。※約84MBあります)


ページのトップへ戻る