被爆地ヒロシマが被曝を拒否する伊方原発運転差止広島裁判
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「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました

2018年3月20日広島高裁決定を受けて広島市長へ申入れ


昨年12月の広島高裁決定を受けて、3月20日(火)、伊方原発広島裁判原告団から広島市長へ「放射性物質の被害によって広島市民の生命・身体・財産が損なわれることのないよう広島市においてあらゆる危機管理対策を講ずることを求める」申入れを行いました。

<広島市長申入れ 当日の予定>
日時:2018年3月20日(火)
 13:40  広島市役所の北西角に集合(電車通りに面した、中区役所の向かい側)
 13:45  乗り込み行進開始
 13:50  広島市庁舎14階会議室に移動
 14:00  広島市長申入れ(市長代理:危機管理室 行廣危機管理担当局長)
 14:30頃 申入終了後、市議会棟4階第3委員会室に集合
 14:40頃 報告会・記者会見開始
 15:30頃 報告会・記者会見終了

広島市長への申入書

2018年3月20日

2018年3月20日広島市長申入書 「放射性物質の被害によって広島市民の生命・身体・財産が損なわれることのないよう広島市においてあらゆる危機管理対策を講ずることを求める。」
別紙1 災害対策基本法<抜粋>
別紙2 原子力災害対策特別措置法<抜粋>
別紙3 2017年12月13日広島高裁決定要旨

広島市長への申入れ報告


13時頃、19日から降っていた雨がやみました。広島市役所の前は早咲きのしだれ桜が咲いています。


13時30分、広島市役所北西角に集合しました。


13時45分から、山内議員と原告・支援者約20名が「被爆地ヒロシマが被曝を拒否する」の横断幕を掲げて市役所の玄関までの短い距離を乗り込み行進しました。春休み中の小学生の参加もありました。


14時00分から、 市庁舎14階の第3会議室で堀江原告団長が申入書を読み上げました。


行廣真明 広島市危機管理室 危機管理担当局長に申入書を手渡しました。


次に行廣真明危機管理担当局長から「みなさんの広島市民の生命・健康・財産を守るという活動に敬意を表します。」と所感がのべられ、討議して返答するとの回答がありました。


申入れには山内議員、中原議員、中石議員がお立ち会いくださいました。

その後、議会棟4階の第3委員会室に移動して、報告会・記者会見を行い、参加者から活発な発言がありました。


一つの焦点となったのが、申入書受け取り後の危機管理担当局長の「佐賀地裁の決定も出たことだし、さまざまに考えてみたい」というコメントでした。
本申入れの趣旨は、放射性物質に対する危機管理対策を広島市に求めるものであり、佐賀地裁決定がどのようなものであろうとまったく関係がないものです。
本申入れの趣旨について、広島市に伊方原発反対を求めているものだという誤解があるのではないだろうか、という分析がされました。

報告会終了後、山内議員が危機管理課の担当者を呼んでくださって、あらためて原告団の数人のメンバーとともに意思疎通を図りました。
本申入れで言う放射性物質とは、
1.伊方原発による放射性物質だけを問題にしているわけではない。
2.福島原発事故に由来する放射性物質を含んだがれきや土砂、産業用の放射性物質、あるいは被曝影響なども含んでいる。
3.原子力災害対策指針では空間線量率が20μSv/hを越えた場合「一時移転」とされている。
  伊方原発が福島原発事故並みの過酷事故を起こした場合の、原子力規制庁による放射性物質拡散シミュレーションでは
  広島市は約40μSv/hになる蓋然性が示されており、四国電力は否定していない。
4.福島原発事故後、広島市外、広島県外の人たちから「被爆地だから放射能被曝の健康影響に関し、知見の蓄積があるに違いない」
  という期待の言葉を良く聞く。だが広島市は被曝に関する独自の知見・知識や蓄積がない。

などを話し、「要は広島市は、危機管理の観点から放射線被曝に関してしっかり知見を持とうとしてほしい」趣旨なのだと説明して、ようやく危機管理課の担当者から、本申入れの趣旨への一定の理解が得られたようでした。

市からの文書による回答は、4週間後を目途とすることとなりました。

参加者からは
1.危機管理担当部局対応は大きな一歩。
2.報告会で活発な発言があったことはよかった。
3.マスコミが予想外に集まった(7社)。
という評価がありました。

これから、本申入れと同じ趣旨での広島市議会への請願活動も始めます。
引き続き、ご参加・ご支援よろしくお願い申し上げます。


広島市長申入書全文


申 入 書

放射性物質の被害によって広島市民の生命・身体・財産が損なわれることのないよう
広島市においてあらゆる危機管理対策を講ずることを求める。


広島市長 松井 一實 殿

災害対策基本法および原子力災害対策特別措置法は、国の責務、都道府県の責務、市町村の責務等を定め、特に基礎的地方公共団体である市町村は、自然災害や原子力災害から住民の生命・身体・財産を保護する責務がある、と定めています。これに対して国は指導・支援・助言の責務、都道府県は広域調整の責務に止まります。これがいわゆる「市町村の住民保護の第一義的責務」条項であります。(別紙1「災害対策基本法」および別紙2「原災対策特措法」条文抜粋参照のこと)
広島市に例をとれば、自然災害や原子力災害、あるいはそれらの複合災害から広島市民の生命・身体・財産を保護する第一義的責務は広島市長にある、ということとなります。

2017年12月13日、「被爆地ヒロシマ」の広島高等裁判所は極めて重要な決定を出しました。四国電力伊方原子力発電所3号炉の運転が住民の人格権侵害の具体的危険性があるので人格権保全を求めるとする仮処分命令申立事件において、「伊方原発から約100km離れた広島市民に関し、伊方原発3号炉の苛酷事故で放出される放射性物質によって、その生命・身体に直接的かつ重大な被害が及ぶ蓋然性がある」として同3号炉に運転禁止の仮処分命令を出しました。現在この裁判所命令は執行中です。(別紙3 同事件広島高裁抗告審「決定要旨」の争点①を参照のこと。傍線は申し入れ者)

広島高裁は、双方が提出する千頁以上の書面を読み込み、それに数十倍する証拠書類を参照し、2回の審尋を経て上記結論に達したものです。高裁決定という重みもさることながら、その判示内容には千金の重みがあります。

この広島高裁決定の重さに比較し、広島市行政のこうした分野での危機管理の在り方をみると、「被爆都市ヒロシマ」の名にふさわしからぬ内容の薄さです。たとえば、広島市地域防災計画をみてみると、福島原発事故で例示されたような自然災害と原子力災害との複合災害を全く想定していません。「広島市の地震被害想定」(平成25年度広島市危機管理室災害予防課)をみると「南海トラフ巨大地震」や「安芸灘~伊予灘~豊後水道の地震」などを想定しながら、これらが原子力災害と複合して発生することは全く想定していません。

2014年(平成26年)8月20日に発生した広島土砂災害では、その原因として自然環境的因子と並んで、砂防ダムなど土石流防護体制の不備、治山ダムの崩壊、土砂災害「警戒区域」・「特別警戒区域」の指定の遅れ、避難勧告・指示の遅れ、など人為的因子の存在も指摘されています。広島市は広島土砂災害を全く想定していませんでした。同様に巨大地震、破局的火山事象などと複合して発生する原子力災害、またそれに起因して発生する放射性物質による被害の破局的結末などは現在全く想定されていません。

しかし広島高裁決定に含まれた警告、またそこで検討された事実関係を重くみるならば、広島市において直近の伊方原発の苛酷事故で放出される放射性物質を含む、ありとあらゆる放射性物質から広島市民の生命・身体・財産を保護する、あらゆる危機管理対策を講ずるべきです。広島高裁決定の趣旨に照らしてみるならば「想定外だった」などという弁解は成り立ちません。

私たちは伊方原発からの、それを含むあらゆる「放射性物質の被害によって、広島市民の生命・身体・財産が損なわれないよう広島市においてあらゆる危機管理対策を講ずること」を広島市に求めます。

「被爆地ヒロシマ」は、あらゆる放射能による理不尽な被害を地球上から根絶する、またそれを主導する歴史的な使命を負っていると信じます。放射性物質による新たな被曝被害者を出してはならない。被爆地ヒロシマの高裁決定の重要性に鑑み、上記危機管理対策を早急に進めることを強く求めます。


平成30年(2018年)3月20日

伊方原発広島裁判原告団
〒733-0012 広島市西区中広町2-21-22-203
原告団長 堀江  壯
原告副団長 伊藤 正雄



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