「ふるさと広島を守りたい」ヒロシマの被爆者と広島市民が、伊方原発からの放射能被曝を拒否し、広島地方裁判所に提訴しました
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伊方原発・広島裁判メールマガジン第27号
2017年12月13日仮処分広島抗告審決定日記者会見から見えてくるもの
―広島仮処分の戦いはまだまだ続く
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2018年1月1日(月)発行
編集長:哲野イサク
編集委員:綱崎健太
編集委員:小倉 正
編集委員:網野沙羅
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▽本日のトピック▽
1.編集委員会からのひとこと(綱崎健太)
2.2017年12月13日仮処分広島抗告審決定日記者会見から見えてくるもの
―広島仮処分の戦いはまだまだ続く(小倉 正)
3.てんやわんやの広島高裁勝利決定日(哲野イサク)
4.2017年12月11日:反原発市民グループが高松で四国電力に申し入れ(小倉 正)
5.2017年12月15日:内容豊富な伊方3号山口仮処分第5回審尋期日
―小松証人尋問が正式に決まる― (哲野イサク・網野沙羅)
6.伊方3号大分仮処分は後2回の審尋期日
―広島高裁決定の影響は大きく―(哲野イサク)
7.メルマガ編集後記(網野沙羅)
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□ 編集委員会からのひとこと
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歴史的な決定から一夜明け、さて、新聞はどのように報じているだろうかと思い、
駅の売店でいくつかの新聞を片手に行列に並びます。
いつものせわしい風景ですが、新聞ラックには確かに「伊方原発」「運転差し止め」の文字が。
人格権保全が認められいつもより少し穏やかなような、これからの戦いを考えると肌が粟立つような、
なんとも不思議な感覚です。
行列を抜け出し早速広げたのは、たまたまですが産経新聞。
そのとき目に飛び込んできたまさかの文字列に思わず二度見してしまいました。
「実現不可能な『ゼロリスク』要求」
いや、なんと申しますか、私たちは提訴から一貫してゼロリスクなど要求していません。
なにより決定文180頁に
「原子力発電所であるとの理由でゼロリスクまで求めることはできない(このことは抗告人らも争っていない。)」
との記載があります。
▽決定文
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/karishobun/20171213_kettei.pdf
私が知る限り、広島高裁野々上決定に対して、ゼロリスクを求めているという
勘違い甚だしい批判を展開してきたのは産経新聞だけです。
まさかの差止決定に苛立ちを隠しきれずつい感情的になってしまったのかも知れませんが、
曲がりなりにも五大紙と呼ばれているのですから、事実確認はもう少し丁寧に、
せめて批判の根拠が事実無根であったことについての訂正記事を出すくらいのところは
見せてほしかったなと思いつつ、ここは冷静に、他山の石といたしましょう。
(綱崎健太)
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□ 2017年12月13日
■ 仮処分広島抗告審決定日記者会見から見えてくるもの
□ ―広島仮処分の戦いはまだまだ続く
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◆弁護団声明
◆主論と傍論
◆主論である火山事象
◆主論1「火砕流」
◆主論2「火山灰」
◆100km圏抗告人の意味
◆松山の薦田弁護士と福井の島田弁護士
◆期限付き問題
◆弁護団声明
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この日の記者会見は用意された弁護団声明を読み上げるところからはじまりました。
以下読み上げられた弁護団声明を全文引用します。
http://saiban.hiroshima-net.org/pdf/karishobun/20171213_bengodan_seimei.pdf
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弁護団声明
(広島高裁決定を受けて)
2017年(平成29年)12月13日 伊方原発運転差止広島裁判弁護団
1 広島高裁第2部(野々上友之裁判長、太田雅也裁判官、山本正道裁判官)は、
本日、伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件において、
伊方原発3号機の運転差止を命ずる仮処分を求める住民らの申立てに対し、
平成30年9月30日までの期限をつけて運転を差し止める旨の決定を出した。
2 高等裁判所として現実に原発の運転禁止を命ずるのは、史上初であり、
また、被爆地ヒロシマの裁判所においてこれ以上放射線による苦しむ人々を増やさない
決定がなされた意義はひとまず大きい。
これによって、四国電力は、伊方原発3号機について、現在行なわれている定期検査に伴う
運転停止を終えた後も(送電開始予定日は2018年(平成30年)1月22日)、
運転を再開することはできなくなった。
3 もっとも、本決定の内容については,原発の危険性について正しく認定していない点も見られる。
特に、傍論とは言いながら、地震動に対する原発の安全性については、
地震科学の不確実性を見誤って事業者の楽観的な主張を踏襲している点、
地震本部の策定したいわゆるレシピを絶対視して不確実性を踏まえない点で、
福島第一原発事故の教訓を活かしきれておらず、再び深刻な事態が生じかねない内容と
なっている点で極めて不当である。
ただし、これらの点はあくまでも傍論であり、判例的価値は有しないと考える。
(というか有しないのでございます。(河合))
4 なお、本訴において証拠調べをするためとの理由で平成30年9月30日までの
期限付の差止めとしている点でも不合理である。
現在本訴において証拠調べ等の審理の見通しは立っていない状況であり、
被告側は反論すら出していない。
そもそも、本決定で示された差止の理由は、火山事象に対して全面的に
本件原発が安全性を有していないという点であり、
火山ガイドの抜本的な見直しや十分保守的な対策が講じられない限り、
期限を経過したとしても、本件原発が安全でないという事実は何ら変わるものではない。
9月30日が迫った段階で本訴が終了していない場合、我々は、改めて
本原発差止仮処分の申請をする予定である。
また、四国電力に対しては、上記期限を経過した後も、本件原発を再稼働しないことを強く求める。
5 福島第一原発事故が発生してから6年9か月以上もの長い時間が経過した現在において、
その被害は収束するどころか、深刻さを増している。
国からは避難指示解除によって事故前の基準の20倍も汚染された地域で生活するように強いられ、
必死の思いで避難して、ようやくみなし仮設住宅に落ち着いた人たちは、
その住宅の明け渡し請求訴訟まで起こされている。
避難指示が解除されても、汚染された地域へ戻る人は少なく、
ふるさとの存続が危ぶまれる状況にある。
6 私たちは、本決定が現実に本原発の運転を差し止めたという事実を高く評価する。
また、火山事象に対する問題点は、全国の原発においても同様に当てはまる問題であるから、
他の原発においてもこの点を追求していく。
原爆を投下され被爆を強いられた広島の地において二度と放射線による被害(被曝)を
受けることを拒否するという申立人らの思いが実現するよう、
原発事故による被害が二度と生み出されなくなるまで、闘い続けることを宣言する。
以上
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◆主論と傍論
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「本決定が現実に本原発の運転を差し止めたという事実を高く評価する」としながらも
弁護団声明の中には3.「極めて不当である」
4.「不合理である」といった文字が並ぶものとなりました。
いわば、薄氷の勝ちを拾ったものという印象を与える声明となりました。
ここで河合弁護士は、結論を導いた主論部分と、結論にはつながってない傍論についての説明を始めました。
「地震本部の策定したいわゆるレシピを絶対視して不確実性を踏まえない点」などの傍論部分については、
高等裁判所の決定であっても、判例的な価値を持たず、一つの学説程度のものであって、
他の裁判に悪影響を及ぼすものではない、という旨の解説に河合氏は時間を割きました。
実際には400ページある決定文の内の2/3をこの傍論となる部分が占めている旨の解説もあり、
裁判官たちがどういう主張を是とし、何を退けたか、の豊富な具体例を作り上げてもらったことには、
定年退官する裁判長からの贈り物としての意味があるのかもしれません。
傍論は単なる学説にすぎないとしても、学説を参考にしたいと思う裁判官も中には居ることでしょう。
「それ以外のところは、傍論であるから、他のその余の判断をするまでもなく差し止める、とするのが普通(河合)」
であるからには、そうしなかった事実を活かすよう、後日河合弁護士か他の先生から、
この傍論部分の出来(それぞれの事実関係と論理構成)についての評価と解説をぜひ伺いたいところです。
それは今後の本訴訟のために原告団・応援団が(また、他の3つの地裁高裁での原告や申立人たちも)
学ぶ価値がある項目でしょう。
◆主論である火山事象
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「判例の価値があって高裁の重要性があるのは火山論の部分のところ、
そこについては私どもの言い分がほぼパーフェクトに認められたという状況でございます。
しかもこの火山についての判示はですね、他の原発にもあてはまることなので、
水平展開をできる極めて重要なことでございます。
そこで完璧に勝ったことは大変喜ばしいこと。」
と河合氏は大絶賛しています。
「火山事象」を主体とする主論部分については、上級審の決定であることによる重みと波及効果があります。
主論部分(火砕流問題と火山灰問題の2つについて、火山ガイドに沿った疎明を四国電力が出来ていない)を
導き出すための「事実関係」については、川内原発の福岡高裁宮崎支部が
住民側の主張をほぼ認める認定をしていた部分が今回のための判例として役立てられていることになり、
福岡高裁宮崎支部決定では変だった「論理構成」をまともなものにした、という
僅かな一歩だけ前進したに過ぎないことになります。
(とくに広島地裁決定では権威のある上級審に倣うことを明言して
福岡高裁宮崎支部決定をそのまま取り込んで用いた点は司法の行政官化と批判されましたから、
広島高裁の裁判官はここを自分の頭で考えた、と。)
このように以前の裁判体の判断を極力活かし、手を加えない形で新たな(真逆の)判断を打ち立てたことは、
今後の異議審や最高裁上告時にひっくり返しにくくする対策なのではないか、と思われます。
河合弁護士に続いて、中野弁護士は2つの主論について解説しました。
(弁護団の中では、主に中野弁護士と海渡弁護士の2人が火山問題で勝つんだ、と言っていたそうです。
そして海渡弁護士は別途仕事のあった東京で、勝訴時のみという条件で記者会見を開きました。
▽東京での記者会見動画
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2197
◆主論1「火砕流」
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中野弁護士は次のようにいいます。
「阿蘇4。(9万年前にあった4回目の阿蘇カルデラの破局的噴火)に
設計対応ができない(=立地不適)ということ、
到達していればもう対応することができない危険なものですけれども、
そういうものが過去に到達しているという事実を踏まえて、
あるいは火山学の中でどういう規模の噴火が起きるのか事前に予測することも難しい、
ということが火山学者も多く発言していますがそのことを踏まえて、
火砕流のことを充分に検討できていない。
決定を一部読みますと『火砕流が到達しているケースでその影響が小さいというには
相当確かな立証をしていなければならない。』その立証ができていないということです。」
「火砕流」とは一体何だ?中野弁護士はいいます。
「マグマが噴出して非常に大きな噴煙柱という上の方に柱が立ち上り、
それがいろんなガスと一緒になって下っていく。温度でいうと500~600度、
速さでいうと時速100kmという猛烈な速度の、高速の気体密度流という言い方をするんですが、
それが非常に速く到達するのでもう建物とか構造物が全てふっとんでしまうというような
とてつもない被害が生じるものです。
みなさん雲仙の火砕流という言葉を聞いたことがあると思いますが、
あれよりはるかに大きい規模でして、もう全方向に向かって160キロ先にまで、
山口県にまで到達している(阿蘇4のケース)ことが明らかになっている。
そういうとてつもない規模の大噴火、それが起こると、
原発ももう対応のしようがないということで、冷却も出来なくなりますし
コントロールも出来ない状態になって、放射能が沢山放出されることになる。」
◆主論2「火山灰」
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続いて中野弁護士。
「私たち噴火の規模が予測できないから、もっと多い火山灰が降る可能性がある
ということを主張してきた訳ですが。
ガイドの改正の主眼は量ではなく濃度の点だったわけですね、濃度が過小評価していた、
今般の火山ガイドの問題ではなく、今回決定は、濃度、3.1g/立米。
それも過小の可能性あるという認定をしています。規模の予測ができないので、
そもそもどれくらいの厚さも認定することができないんじゃないですか、こういうことですね。」
「ですから現時点で原子力規制委員会がやっている、濃度さえなおせばなんとかなる、
という小手先の改正をしようとしているが、この改正はそれ自体充分なものではないといえないか、
という警鐘を鳴らす決定である。」
「一番問題になるのは、電源と冷却機能が喪失してしまうことでして。
外部電源託送電線がありますが、それに付着して漏電して外部電源が喪失してしまう。
その後、非常用ディーゼル発電機でなんとか冷却しようと試みるんですが、
空気を入れるところのフィルターが灰によって目詰まりしてしまって停止、
こういう問題を指摘してきました。冷却機能が維持できなくなる。
福島事故の時に『止める、冷やす、閉じ込める』と言う言葉がありましたが、
冷やすということができなくなる。
閉じ込めておくことができなくなっていく。
それによってメルトダウンが起こってフクシマのようなことが起こってしまう」
さらに中野弁護士は、主論1の火砕流が関係するだろう原発はそんなに多くない
(川内、玄海もかなり問題になるかも、それから六カ所村再処理施設)が、
主論2の火山灰の方は、あまり影響を受けない原発は全国に数少ない、
非常に沢山の原発に影響がある重要な決定だった、とまとめました。
◆100km圏抗告人の意味
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甫守弁護士は、抗告人適格について、
「100キロ離れていても、それは原発事故によって身体・生命に危険およぶ地域だと、
その地域に居住していると認定されていますので、原発事故の範囲の広がりというところを
これまでよりも少し踏み込んだ判断になった」
とさらりと紹介していました。
あとから、抗告人の綱崎氏の方から、
「私たち100キロ離れているけれども、やはり放射線被曝は危険なんだということが認定された、
これは私たちにとって非常に重要なことです。
私たちは放射線被曝の危険性を、身を以て知っているヒバクシャを中心に立ち上がりました。
私自身も、自分の身体を通して放射線被曝、これがいかに人生を狂わせるかということを、
生活の中で実感してきたつもりです。
この原爆も原発も、同じ放射能の被害として、私たちは反対をしていかなければならない。」
と強く語りました。
この抗告人適格を認めている論理の、他の裁判所と比較しての読み解きも、
弁護団の方々から後日伺ってみたい項目となります。
◆松山の薦田弁護士と福井の島田弁護士
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その後、松山の薦田弁護士、福井から島田弁護士と各地域から集まった弁護士による感想が並びました。
現在廃炉か再稼働を目指すのかが未定な伊方2号炉について、松山の薦田弁護士は次のように語ります。
「今日の決定で、訴訟リスク(電力会社の側の視点ですが)が現実のものとなりましたので、
おそらく2号炉の廃炉はこれでほぼ決まったのではないかと思っています。」
遅くとも年度末には伊方2号炉廃炉決定のニュースが聞けるかもしれないとは、嬉しい託宣です。
福井の島田弁護士が強調したのは、「火山の問題、私ども福井にも関係してくる問題、
福井は阿蘇ではなくて鳥取県の大山の噴火が問題になって」おり、
「12月5日に名古屋高裁金沢支部が証人尋問を行わずに審理を終結するという不当な訴訟指揮をした。
今回の決定を力に、再開の申立をしていきたい。」
と直接的な波及効果があることを語りました。
主論2は本当に主論なのか、実は傍論なのではないのか…という趣旨の記者からの問いかけに対しては、
中野弁護士がこう答えています。
「難しい。…果たして阿蘇4一番大きかったのまで
考慮しなければならないかというのは疑問の余地がある、
社会的合意があるかどうか分からない、
なので、火山灰について(VEI6以下の小規模噴火の場合)も、
判断をしないといけない、とこういう論理」
ではないかと、裁判官も迷ったので火山灰についても主論2として
判定したものであるような答え方をしていました。
ここも、今後の異議審や最高裁上告時にひっくり返しにくくする対策なのではないか、
とも私などには思われます。
◆期限付き問題
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2018年9月30日までと期限を切った理由については、
これは弁護団声明の中でも(4.不合理である)と評価を下したところについてです。
河合弁護士に個人的見解を聞いた記者に対しては、
「9月30日までに期限を決めたのは、まあめでたさとしては3割減くらいだな、というふうに思っています。
それは一つはそういう期限を切ることによって社会的跳ね返りを少し緩和しようとしたのかな、
というふうにも考えられる。」
と答えています。
そして、弁護団声明にもあるように追加の仮処分申請をして、
期間延長を求める手段があると紹介しています。
「ただ、条件が来年の9月30日までと切った理由が、
さっき言ったように本訴で正式な証拠調べして、検証して判決が出る可能性がありますね、
と、まあ超スピードでやれば来年の9月30日までに本案判決出る可能性もあるかもしれない、
そうしたら、本案判決と仮処分決定が矛盾したら本案判決が優先するのはそうルールですから、
そういうのをみながら、超暫定的に、文字通り仮処分として止めるんだよと言っているわけですけど、
僕はさっき言ったように来年の9月30日までに判決がでるとは思っていません。
今はそんな進捗状況じゃないので、9月30日までに。
で、9月30日以降動かして良いという理由がない、この仮処分を失効させる理由がない、と思うので、
それを期限延長するための仮処分を地裁にするべきだなというふうに考えています。」
としています。ですから、実際には上級審なり本訴なりでひっくり返されるまでは、
期限の限定はなく続くことを期待できるのだと思います。
どちらにせよ、広島の仮処分の戦いはまだまだ続きます。
(小倉正)
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□ てんやわんやの広島高裁勝利決定日
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2017年12月13日午後1時30分、広島高等裁判所は期限付きながら
四国電力伊方原発3号機の原子炉運転差止の仮処分命令を出しました。
勝利決定をある程度予感していたとはいうものの、勝利の予感と
実際の勝利決定との間には無限の開きがあります。
この稿は「実際の勝利決定」のために入念な準備がメチャクチャになってしまったというお話です。
◆再び旗出し光景
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本メルマガ26号でもお伝えしましたが、再びこの日の旗出光景にふれなければなりません。
旗出は裁判の結果をみなさんに伝える重要なイベントでもあり、一種のセレモニーですらあります。
「不当判決!」「司法は生きていた」などの旗出文言を考え出し、
その裁判の結果を端的に伝えることを目的とします。
マスコミ報道も旗出の象徴的意義を理解して、大抵旗出光景を写真は映像で伝えようとします。
この日私たちは勝った場合「伊方3号機差止命令下る」「被爆地ヒロシマ原発を止める」の
日本語2本、「Hibakusha Block NPP」の英語1本の旗計3本を、また負けた場合には
「伊方3号差止ならず、またしても」「瀬戸内汚染危機続く」の2本の旗を用意していました。
旗の文言を決めるにあたっては喧々諤々の議論があったのですが、
その話は割愛して、旗出人は勝った場合に備えて3人送り出しました。(いずれも本訴原告)
ですから、広島裁判所の玄関から旗出人が3人飛び出してくれば勝ち、
2人であれば負けとわかっていました。
実際には26号でお伝えしたとおり、最初に玄関を飛び出して来たのは河合弘之弁護士、
続いて河合弁護士を追っかけるマスコミ報道陣、数秒遅れて勝ちを確認した旗出人3人。
河合弁護士が高裁前で支援者やマスコミに「勝った!勝ちました!」と叫んだ時には
まだ旗出人は高裁前に向かって突進していた時でした。
勝利を知らせる旗出順序が逆転したことを咎める人間は一人もいません。
この歴史的勝利の前には、そんなことは誰にとっても、
高裁前でコーディネーターを務めていた私にとっても、どうでもよかったからです。
◆勝利宣言の場所が違う
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飛び出して来た河合弁護士は、手にした決定文要旨を支援者や報道陣に示すように
「勝った!勝ちました」と叫びました。
報道陣は取り囲むように河合弁護士に詰め寄りました。
河合弁護士のコメントを聞き逃すまいという気持ちと自分の目で住民勝訴を確認したい気持ちと綯い交ぜです。
とにかくみんな必死で勝利を確認したいのです。
今考えてみるとここもメチャクチャです。
というのは報道陣と事前に打ち合わせをし、旗出の場所はここ、勝利宣言(または敗北宣言)の場所はここ、
ぶら下がり取材の場所はここと、高裁前見取り図を渡して入念な計画を練っていましたが、
河合弁護士の立っている場所はまるきり違うからです。
河合弁護士は報道陣に取り巻かれて動くこともできません。
そのうち追いついた旗出人3人が高裁前で、晴れやかに旗出をします。
こうしてみなさん、テレビや新聞報道でおなじみの「高裁前旗出光景」が現出しました。
場所は計画とはまるきり違います。今考えてみて高裁前コーディネーターの私自身が、
旗出の場所のことなど頭からすっとんでいました。よほど興奮していたのだと思います。
河合弁護士は報道陣に取り囲まれたまま、なにかしゃべりはじめます。
肉声の声は歓声や叫び声の中で全く聞こえません。
「マイク!マイク!」と私は慌ててマイクとスピーカーを探します。
当然マイクもスピーカーももともと計画していた「勝利宣言」の場所においてあるのですが、
人垣ができあがってしまい全く見えません。
マイクとスピーカーを取りにいって河合弁護士の勝利宣言がはじまりました。
もちろんスピーカーをよく聞こえように高く掲げるのは私の仕事です。
勝利宣言の場所が違う、などと文句をいってくる人間はいません。
私自身後で考えて見て場所が違っていたな、本当は支援者の方を向いてやらなければならなかったのに、と
気がついたほどでした。
◆なかなかはじまらない記者会見
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計画と大狂いはまだまだ続きます。高裁前の勝利宣言が終わると、
広島弁護士会館3階大ホールで記者会見・報告会を行う予定です。
すでに別場所で決定文の読み込み作業をしていた弁護団に河合弁護士を送り込んだ後、
私は急いで記者会見・報告会場に戻りました。
すでに約300人弱を収容できる3階大ホールはカメラクルーや報道カメラマンも含めると
100名近い報道陣や、テレビ報道を見て続々駆けつける支援者を含めほぼいっぱいの状況。
しかしなかなか記者会見が始まりません。
弁護団の決定文読み込み作業が終わらないからです。
午後1時30分が決定文交付時刻ですから、1時間もあれば記者会見は始まるという見込みは大幅に狂い、
弁護団会議の部屋から「今から出発する」と弁護団から連絡があったのはもう午後3時近く。
河合弘之仮処分弁護団長をはじめ弁護団が盛大な拍手で迎えられて、
さあ今から記者会見スタートとなったのは午後3時15分ごろ。予定を大幅に越えています。
◆なかなか終わらない記者会見
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会場のバックヤードにセットしたプリンターで弁護団声明を印刷して事務局スタッフが
手分けして会場参加の報道陣に配り終えるとすぐに記者会見が始まりました。
まず弁護団声明を読み上げるという異例のスタートとなりました。
記者会見の内容は、今回号のメイン記事で詳報していますが、なかなか記者会見が終わりません。
報道陣の質問が延々と続くからです。
予定では記者会見の後切れ目なしに報告会に移り、
原告や支援者の質疑応答、綱崎健太の「抗告人感謝の言葉」、
それから松山、大分、山口の仮処分裁判から来ている代表のコメント、
高松、福井、滋賀から来ている反・脱原発市民運動代表のコメント、
最後には広島市内反原発市民運動グループのコメントでいったん中締めで終了して、
その後は時間のある人で交流会や各地域代表が集まって今後連携などを相談する予定でしたが、
記者会見が終わらないでは、報告会が開始できません。
実は記者会見の後、報告会でさまざまな地域からやってきた裁判グループや
市民グループの人たちの質問や意見発表をじっくりしてもらって
今後の運動の展望を見出そうというつもりでしたが、
交流会や地域代表連携相談会はすべてカット。
午後5時近くになると遠方からの人は帰り支度をしなければなりません。
報告会の質疑応答もそこそこに、午後5時10分撤収の合図と共にこの日の行事をすべて終えました。
考えてみれば、何一つ計画通りに進めることができなかった広島高裁抗告審仮処分決定文交付日でした。
(哲野イサク)
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□ 2017年12月11日:反原発市民グループが高松で四国電力に申し入れ
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広島高裁仮処分決定のあった13日のつい2日前のこと。
市民グループとしての四電本店への申し入れ行動に2年ぶりに参加した。
前日の10日にはJR高松駅前で主催者発表500名参加の高松大集会があり、
その翌日に居残った東京や福島からの参加者も含め十数名で高松市内の四国電力本店に入り、
事前に提出していた「要請書」の中の疑問点について広報課の担当者から回答をもらいつつ
追加質問をしていく会合となった。
前日に続き松山からの「げんさよ楽団」は本店前で送り出しの時と
外から音楽の応援をお昼の時間までつづけた。
まず、入館時に、動画撮影お断り、音声記録も拒否と告げられる。
2年前は鷹揚に見逃されていたのでスマホ一台でできる「ツイキャス中継」を配信し
録画も残すことができていたが、今回はダメとなって抗議しつつ撮影を断念した。
マスメディアは結局一社も来ず、人民新聞の新人記者さんも運動関係者として(カメラも使わない約束で)入った。
会合の最初に、そもそも回答を文書で出そうとしない問題に抗議する。
記録を取らせないのなら、なぜ紙を出さない、と。
私たち市民グループとしての要請事項は伊方3号と2号の廃炉を求めることなので、
四電側は受け取って社長に確かに伝えるとしか返しようがないものである。
とはいうものの話のきっかけとなるよう、テクニカルな論点を8項目ほど詰め込んでいるので、
担当者から戻ってくる回答に、こちら側が誰でも随時ツッコミを入れていって、
話をつなげるスタイルとなった。
特に誰が何をしゃべるという役割分担をしないままで臨んだが、
今回は多すぎず少なすぎずのやりとりだったと思う。
◆火山灰フィルターの対策工事などは、迫る再・再稼働に関して重要な情報であり(とその時は思われたが、
広島高裁決定で良い意味で裏切られた)、とにかく聞き出すべき項目なので、とにかく問い質した。
(当メールマガジンNo.25記事「■「火山灰バックフィット」プロセス始まる」参照のこと)
http://saiban.hiroshima-net.org/mm/25_20171203.html
四電曰く、火山灰フィルターは、実際はその非常用ディーゼル発電機を運転したままで
交換が可能な仕様のものが付いており、大規模なフィルターに変える
今次の工事の前から運転したまま交換可能だったとのこと。(これは初耳。)
但し、今の(保安規則の中の)運用手順は2台の非常用ディーゼル発電機の内の1台ずつを停止してから
フィルターを交換することになっているためこの運用手順は
今もなお規制庁からすると違反のままのはずである。
そこで運用手順だけ変更すればよいはずだが、12月に実施した工事を受けて、
直ちに新たな保安規則を原子力規制委員会に提出し審査(新たに「火山灰バックフィット」の審査)をしてもらうのか、
あるいは1年間の猶予期間を活用して今回の審査は先送りするのか、のどちらなのかを尋ねたところ、
広報としては情報を掴んでいない、という回答だった。
技術的な論点は何でも答えようとした前回の担当者奥田氏(エネルギー広報ワーキンググループリーダー)
とはエラい違いである。
今の担当者山下氏はマスコミ対応の紙に書かれた記述だけを読めばよいつもりの文系の人だ、という印象を受けた。
(ハッキリ言って広報担当の相手方が舐められている。)
質問の中には、以下の項目でのやりとりがあった。
・中央構造線についての小松/早坂説を否定しながら、関連のデータ開示も追加調査も行っていない問題、
・定常運転中に液体トリチウムを環境へ放出する問題、
・プルサーマル推進のための新MOX燃料追加装荷はしないのか?などや、
・再々稼働すれば3年目の燃焼となるため13ヶ月後には日本初の使用済みMOX燃料が16体出来上がることになるが、
その使用済みMOX燃料の緊急時搬出計画はあるのか、輸送用キャスクで持ち出せるのかという追加質問も出した。
・2年前に、「2、3年すれば実用化するのでその時には開示したい」と語っていた確率論的リスク評価における
非常用ディーゼル発電機の故障確率の開示については出せない、と後退した回答、
・南海トラフ巨大地震時には津波で火力発電所が被災して少なくとも1ヶ月は長期広域停電になる、という
2年前の確認事項に今も変わりはないことも言質が取れた。
最後の〆には、「福島の女たち」の黒田節子さんから、技術的な質問は沢山あるだろうけど、
四電が目を向けないといけないのは、この質問状の中には書かれていない、
福島の人々の数々の苦労を、そして子どもたちの被ばくをきちんと受け止めて
対応策を採っているのか、ってことだよ、と諄々と諭していただいたが、
これこそ馬の耳に念仏というもの。はるばるお越しいただいて話していただいて、
地元電力会社さんの担当者のまるで事故に対する危機感のないことを改めて確認した格好だ。
再・再稼働への障害になどならないだろう、と市民グループの追及を軽く見ている四国電力さんではあったが、
今回の仮処分決定ですんなり再・再稼働という当てが外れて、
さすがに本腰を入れた新たな態勢で待ち構えていることだろう。
なので、出席者同士の間でも(毎回徒労感が大きいだろうが)今後、回答を相互チェックし、
判断を付き合わせて再度、挑戦の質問状を作っていかなければならない。
得た情報をいかに広めるのかも大きな課題である。
きちんとやらないといけない活動が広島発の多幸症で消え失せてしまわないようにしたい。
(小倉 正)
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□ 2017年12月15日:内容豊富な伊方3号山口仮処分第5回審尋期日
■ ―小松証人尋問が正式に決まる―
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2017年12月15日、伊方原発3号機運転差止仮処分山口裁判第5回審尋期日が、
山口地方裁判所岩国支部で開かれました。
この日のホットな話題は何といっても、日本を代表する地質学者の一人で、
元愛媛大学学長の小松正幸氏の証人尋問が正式に決定されたことでしょう。
審尋後の報告会で担当の甫守一樹弁護士は次のように解説します。
「岩国支部の裁判長は、中央構造線が動く可能性があるのかどうか確たる心証を得るためには、
小松先生の証人尋問が是非とも必要と判断しました。
四国電力は証人尋問はおろか参考人尋問も不要という意見書を出していましたが、
裁判体は必要と判断したことになります。」
小松=早坂知見(伊方原発敷地から約600メートルに中央構造線断層帯が走っており
深刻な地震の震源となる可能性が高い)が正式に原発裁判の証拠として登場してくれば、
他の仮処分裁判(広島高裁、松山=現在は高松高裁の抗告審、大分地裁)ばかりでなく
本案訴訟(本訴)に対する影響も大きいでしょう。
小松証人尋問は次回2月8日(金)の第6回期日に行われます。
しかも小松尋問は口頭弁論の形で行われるため一般非公開の仮処分審尋とは違って公開で行われます。
今から傍聴券争奪が予想されます。
証人尋問は午後1時40分から行われ、申立人側60分、四国電力側の反対尋問も60分とのことです。
さらに弁護団事務局長の中村覚弁護士によれば、この日の審尋で、
期限付きながら伊方3号の原子炉運転を差し止めた広島高裁決定を山口地裁岩国支部に
早速証拠として提出したとのこと。
また火山事象に関する補充書面もこれから提出するとのことでした。
中村弁護士によると四国電力側も火山事象については積極的に取り組みたいとのことで
補充書面を提出するとのこと。
広島高裁決定でにわかに火山事象がホットな争点に早くもなりました。
その他この日の審尋期日では、「北朝鮮ミサイル問題」を準備書面として提出、
裁判体が大きな興味を示し、この問題の審尋に時間が大きく割かれたとのこと。
山口裁判では申し立人がいずれも伊方原発から50km圏に住む山口県の市民。
伊方原発の苛酷事故が発生したら一体避難ができるのかどうかも争点の一つとして
裁判体が興味を示しています。
このため弁護団は手分けをして、申立人を訪問して現地調査や聞き取りを行って、
「避難不可能」とする書面を提出したことも報告されました。
いずれにせよ内容豊富な山口裁判第5回審尋期日でした。
(哲野イサク・網野沙羅)
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□ 伊方3号大分仮処分は後2回の審尋期日
■ ―広島高裁決定の影響は大きく―
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2017年12月20日、伊方3号大分仮処分の第10回審尋期期日が大分地裁で開かれました。
大分で伊方3号の仮処分提訴が行われたのは2016年6月28日のことですから、
仮処分裁判としては異例の長さになります。
私と網野沙羅は今度はいよいよ結審と、大分の仮処分審尋期日後の記者会見・報告会、
その後の大分駅頭チラシ撒きに参加しようと広島から出かけました。
行ってみるとなんと大分仮処分は第10では終わらず、後2回審尋期日を設けることになりました。
もちろん13日広島高裁抗告審差止決定の影響です。
もともと大分仮処分は前回第9回審尋で結審の予定とみられていました。
申立人側は「広島高裁決定を間近に控えているので、その決定を見て後1回審尋期日をもちましょう」と提案、
大分の裁判体がこれを認めて第10回審尋期日となったいきさつがあります。
次の審尋期日は18年3月1日(第11回審尋期日)。
この日は広島高裁決定を受けて「火山事象」に特化した期日となるということです。
「火山事象」に関し、申立人側・四国電力側双方それぞれ60分のプレゼンを行うとのことです。
次々回審尋期日は5月24日(第12回審尋期日)。
これでいよいよ結審なのか。それはその時の情勢次第でしょう。
いずれにしても大分でも申立人側の攻勢が目立ちます。
なお第11回期日も第12回期日もいずれも本訴口頭弁論期日と重なっています。
午前中に本訴期日を行い、午後から仮処分期日を実施するというスケジュール。
広島でも松山でも提訴したばかりの山口本訴でも、そして大分でもますます仮処分裁判と本訴訴訟が
一体化していくことになりそうです。
(哲野イサク)
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■メルマガ編集後記
メルマガ記事中、「あけましておめでとうございます」と誰も書きませんでした。
抗告人の綱崎が記者会見で言ったように、広島高裁野々上決定は、
私たち最初の被爆地ヒロシマの人間にとって、72年前から始まった、人類に対する無差別被曝攻撃の、
終止符を打つ闘いの幕開け、と感じているからかもしれません。
闘いの火ぶたが切られただけでなく、ルビコンの橋を焼き捨てた感があります。
私たちは311後、広島と長崎の被爆者の高線量外部被曝データが、
医科学的根拠もなく低線量被曝影響評価に外挿され健康被害の過小評価に繋がり、
永年にわたり世界中で、新たな被曝者を生み出すことに利用されていたことを知り愕然としました。
「放射能安全神話」はヒロシマから誕生した。ならばヒロシマが「放射能安全神話」の息の根を止める。
それが広島に住む我々の義務だ。まず私たちが低線量被曝をきっぱり拒否すること。
それが立ち上がった私たちの揺るがない思いでした。
しかし、この事実を被爆者を含め多くの広島市民はまだ知りません。
広島高裁野々上決定は、伊方原発の存在そのものすら知らない、多くの瀬戸内住民、特に広島県民に、
伊方原発の存在と危険を知らせ、自らに降りかかるであろう低線量被曝による危険の問題を、
目の前に突きつけ、向かいあわせてくれました。
気がつき、知る機会を与えてくれたのです。
それだけではありません。野々上裁判長は「火山大国日本は原発立地不適地である」と、
日本国民のみならず、風と水によって遮るものなく拡がる放射能汚染と被曝を心配する世界中の人々に、
最後に明るい希望の灯火を贈ってくれたのだと思います。
この灯火を大きな炎にしたい。そのためにはみなさんの力が必要です。
これから本格的になっていく本案訴訟で勝利をもぎ取らなければなりません。
そのためには多くの人が、「被曝とはなにか」「そもそも原発とは何か。誰にとってなぜ必要だったのか」
を知って頂くことが、大きな力になってまいります。
共に未来を変えていきましょう。「二度と過ちを繰り返さない」ために。
明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。
(網野 沙羅)
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伊方原発運転差止広島裁判
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